ドル円、安値更新後に急反発。資産現金化のドル買い需要が背景か
海外時間の為替概況
15日(水)の外国為替市場でドル円は下落後に急反発。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードや、AFRB(米連邦準備理事会)による大規模量的緩和を背景とした広範なドル売り圧力(FRBは4/14より商業手形の購入を開始)、B国際通貨基金に(IMF)による世界経済見通し(WEO)の大幅下方修正(2020年の世界経済がマイナス3.0%に落ち込むとの見通しを4/14に発表)を受けた株安・円買いの流れが重石となり、アジア時間朝方には、一時106.93(4/1以来となる安値)まで下げ幅を広げました。
しかし、一目均衡表基準線(106.86)をバックに下げ渋ると、C本邦公表相場(5・10日)における需給要因(ドル不足に伴うドル買い圧力)や、D原油先物価格の下落を受けた投資家心理の悪化、E上記Dを受けた資産現金化のドル買い圧力(リスクアセット売り→ドル回帰の流れ)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値107.86まで急伸しました。もっとも、その後は、米経済指標(米・3月小売売上高<結果▲8.7%、予想▲8.0%>、米・4月ニューヨーク連銀製造業景況指数<結果▲78.2、予想▲35.0>、米・3月鉱工業生産<結果▲5.4%、予想▲4.0%>、米・NAHB住宅市場指数<結果30、予想55>)の冴えない結果が重石となり、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、107.44近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は下落後に反発。@国際通貨基金に(IMF)による世界経済見通し(WEO)の大幅下方修正(2020年の世界経済がマイナス3.0%に落ち込むとの見通しを4/14に発表)や、A原油先物価格の下落を受けた投資家心理の悪化、B上記Aを受けた資産現金化のドル買い圧力(リスクアセット売り→ドル回帰の流れ)が重石となり、米国時間朝方には、一時1.0857まで下げ幅を広げました。しかし、C欧州圏における新型コロナウィルス感染拡大ペースの鈍化期待(ドイツ政府は経済活動を早々に再開させる計画を発表)や、D先般のユーロ圏財務相会合で決定された5400億ユーロ規模の景気対策期待(ユーロ買い)が支援材料となると、米国時間午後にかけて、1.0939まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、1.0913近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した高値109.38をトップに反落に転じると、昨日(4/14)は一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。足元反発に転じるも上値は重く、目先は一目均衡表基準線が走る106.86近辺を試す動きが想定されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模量的緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の軟調推移、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも下落リスクが警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴ない結果(ドル売り要因)、本邦経済の先行き不透明感(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、リスク回避ムードの再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、本日も、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(特に楽観ムードに水を差す識者や要人の発言に注意)や、原油先物価格および世界的な株価の動向、米国の主要経済指標(米・3月住宅着工件数や、米・4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数など)の結果を睨みながらも、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(昨日は資産現金化需要を背景に一時的にドル買い(対円)が進んだものの、こうした動きは長続きせず、一巡後の再反落に注意が必要)。
本日の予想レンジ:106.90ー107.90
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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