次期財務長官人事巡り思惑交錯、154円を挟んで揉み合う
〇昨日のドル円、午前に153.54へ下落後154.71まで戻すも深夜に153.62に下げ、再び154円台へ戻す
〇ベッセント氏米財務長官指名をきっかけに午前から金融相場大きく動き、乱調な展開に
〇米次期財務長官人事報道から米長期債利回りは急低下、ダウは最高値更新
〇今夜は米住宅関連統計、11月消費者信頼感指数、明朝に11月のFOMC議事要旨公表
〇153.54割れからは11/19安値153.28試しとし、11/19安値割れからは152円台中盤への下落を想定
〇154.71超えからはいったん戻しに入るとみて155円台前半試しを想定
【概況】
トランプ次期米大統領が11月22日に著名投資家とされるスコット・ベッセント氏を財務長官に指名したことで25日午前序盤から金融市場全般が大きく動き、米主要株価指数先物が急伸、米長期債利回りが大幅低下、為替市場はユーロやポンドが反騰する一方で豪ドルが早朝の上昇から下落する等まちまちの展開となった。
ドル円は22日夜に155.00円を付けて154.83円で先週を終えていたが、25日午前に153.54円へ下落、いったん夕高値154.71円まで戻してから深夜に153.62円まで下げ、再び154円台へ戻す乱調な展開となった。
25日午後に米メディアがレバノンのシーア派武装組織ヒズボラとイスラエルが停戦協議で合意するとの報道で中東情勢の緊張緩和感がリスク選好感を増したこともあり、安全資産のゴールドや中東産原油供給不安を抱えていた原油が急落する一方、NYダウは連日の史上最高値更新とした。
22日の欧州諸国のPMI悪化によりポンドドドルやユーロドルが急落して9月後半以降の最安値としたが、25日午前から揃って反騰したことと米長期債利回りの大幅低下によりドル高に一服感が出ている。
ベッセント氏はソロス・ファンドで活躍後、自身のヘッジファンド「キースクエアグループ」を設立した投資家であり、投資家出身の財務長官は景気拡大と株高に寄与するとの思惑で株高を招いた。同氏を巡ってはトランプ氏が掲げてきた大型減税や規制緩和、対中関税強化等を推進するとの見方がある一方、財政規律を重視して金融市場の混乱を回避する政策姿勢を採るのではないかとの見方もあって市場の思惑は交錯している。ドル高を有益とするのか、米国の輸出を有利とするためにドル安を有益とするのかという点の見方も分かれている。
ベッセント氏は24日付け米WSJ紙で「選挙公約の減税実現を優先し、関税の導入、歳出削減、基軸通貨としてのドルの地位維持にも注力する」と述べている。
ドル円は11月15日午前高値156.74円で9月16日安値139.57円以降の最高値とし、トランプ・ラリーによるドル買い円売りが一巡して下落に転じたが、先週は153円台を繰り返し買われて底固さを見せている。25日の下落時も19日安値153.28円割れを回避しているが、戻り高値は切り下がり基調で推移しており、25日夕の反騰時も22日深夜高値には届いていない。155円台を回復すれば上昇再開感が強まると思われるが、19日安値153.28円を割り込む場合は11月15日からの下落が二段階目に入るため円高優勢の流れを作りやすいと注意したい。
今夜は米住宅関連統計、コンファレンス・ボードの11月消費者信頼感指数、明朝には 米連邦公開市場委員会=FOMC議事要旨(11月6日-7日分)の公表がある。
【米次期財務長官人事報道から米長期債利回りは急低下、ダウは最高値更新】
米次期財務長官人事報道をきっかけに25日の米債券市場は債券売り・利回り低下となった。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.12%低下の4.28%となった。11月15日に4.51%まで大幅上昇して9月17日に付けた3.60%以降の最高としてから19日に一時4.34%まで低下した後は4.40%を挟んでほぼ横ばいで持ち合っていたが、25日の急低下で持ち合いから下放れた。FRBによる利下げペース鈍化とトランプ次期政権によるインフレ再燃への懸念等がこれまでの上昇要因だったが、財務長官人事報道で過度の懸念が後退したと思われる。
30年債利回りは先週末比0.12%低下の4.47%、2年債利回りは0.11%低下の4.27%と揃って大幅低下した。
一方でヘッジファンド出身の新財務長官人事は株式市場の投資家心理をかなり楽観的なものとし、NYダウは先週末比440.06ドル高と大幅上昇して3連騰とし、取引時間中の史上最高値を更新するとともに2日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も51.19ポイント高で21日から3連騰とし、S&P500指数は18.03ポイント高で18日から6連騰として取引時間中の史上最高値を6020.75へ伸ばした。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は19日夕安値153.28円からの反騰が20日夜高値155.88円で一巡して下落期に入り、22日は154円割れを買われつつ155円を抵抗とした持ち合いとしていたが、25日午前の下落で持ち合いから下放れた。その後の戻りでは155円に届かずに上値の重い展開が続いているのでまだ下落余地ありとし、25日午前安値を目先の底として底割れする場合は28日午前から12月2日午前にかけての間へ下落期が伸びる可能性もあると注意する。
11月25日夕反発時高値154.71円超えからはいったん戻しに入るとみて25日午後から26日夜にかけての間への上昇と155円台中盤試しを想定するが、20日夜高値155.88円に届かずに失速する場合は11月15日以降の右肩下がりの展開を続けやすいと考える。
60分足の一目均衡表では右肩下がりの展開でジグザグ推移しているので遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠けるが、先行スパンが上値抵抗帯となっているため、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は25日午前の下落時には30ポイント割れを回避したが夕刻の反発時には60ポイントに届かず、26日未明以降は50ポイント以下での推移が続いている。40ポイント割れから続落の場合は20ポイント台への低下を想定し、55ポイント超えからは60ポイント台前半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月25日午前安値153.54円を下値支持線、25日夕高値154.71円を上値抵抗線とする。
(2)154.71円以下での推移中は下向きとし、153.54円割れからは19日夕安値153.28円試しとし、19日夕安値割れからは152円台中盤(152.65円から152.35円)への下落を想定する。152.50円以下は反騰注意とするが、154円を下回っての推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)154.71円超えからはいったん戻しに入るとみて155円台前半試しを想定する。155.25円以上は反落注意とするが、154.71円を超えた後も154.50円以上を維持しての推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
11/26(火)
23:00 (米) 9月 FHFA住宅価格指数 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (米) 9月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (8月 5.2%、予想 4.7%)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算 (9月 73.8万件、予想 72.5万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 4.1%、予想 -1.8%)
24:00 (米) 11月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (10月 108.7、予想 111.8)
24:00 (米) 11月 リッチモンド連銀製造業指数 (10月 -14、予想 -11)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨・11月6日-7日分
11/27(水)
09:30 (豪) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.3%)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 4.25%)
18:30 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -18.3、予想 18.8)
22:30 (米) 7-9月期 GDP・改定値 前期比年率 (速報 2.8%、予想 2.8%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費・改定値 前期比年率 (速報 3.7%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE・改定値 前期比年率 (速報 2.2%)
22:30 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 -0.1%、予想 0.0%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 -0.8%、予想 0.5%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.4%、予想 0.1%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.8万人、予想 189.2万人)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前月比 (9月 7.4%、予想 -2.0%)
24:00 (米) 10月 住宅販売保留指数 前年同月比 (9月 2.2%)
24:00 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 PCE(個人消費支出) 前月比 (9月 0.5%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.3%)
24:00 (米) 10月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
24:00 (米) 10月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (9月 2.7%、予想 2.8%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.26
ドル円、下落後に反発するなど下値は堅い。ベッセント氏の次期財務長官起用の影響は限定的か(11/26朝)
週明け25日(月)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.25
東京市場のドルは154円台を回復、ベッセント氏発言がドル買い材料となるか(24/11/25)
東京時間のドル・円は、153円台まで下落していたが、次期米財務長官に指名されたベッセント氏によるドル高容認発言が伝わったことで154円台まで値を戻した。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。