下落後に反発するなど下値は堅い。ベッセント氏の次期財務長官起用の影響は限定的か
〇ドル円、米国時間に一時154.73まで反発
〇イスラエル・ヒズボラ停戦合意に関する観測報道、次期財務長官のドル価値維持方針表明等が背景
〇ユーロドル、米金利低下等に米国時間朝方にかけて、一時1.0530まで反発、底堅い推移
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも円キャリー継続、トランプトレード本格化期待等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:153.50ー155.50
海外時間のレビュー
週明け25日(月)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。(1)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(リスク回避の円買い圧力)や、(2)トランプ次期大統領によるスコット・ベッセント氏の次期財務長官への起用発表(ベッセント氏はマーケットに深く精通していることからトランプ氏の歯止め役になるとの期待感浮上→米財政赤字拡大に伴う米国債利回り急上昇への懸念が後退)、(3)上記2を背景としたトランプ・トレードの巻き戻し(米金利低下・米ドル売り)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値153.55まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)一部メディアによる「イスラエルとヒズボラの停戦合意が近づいている」との観測報道や、(5)次期財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏による「自身の政策上の優先事項はトランプ大統領のさまざまな減税公約を実行すること」「世界の準備通貨としてのドルの地位を維持する」との見解発表、(6)上記5を背景としたドル円ショートの巻き戻しが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値154.73まで反発しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/26午前3時00分現在)では、154.30前後で推移しております。尚、昨日発表された米10月シカゴ連銀全米活動指数(結果▲0.40、予想▲0.20)、米11月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲2.7、予想▲2.4)はいずれも市場予想を下回る結果となりましたが、ドル売りでの反応は限られました。
週明け25日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。(1)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、(2)レーンECB専務理事による「金融政策は長期間にわたって過度に制限的であることを避けるべき」「金利を段階的に引き下げるべき」とのハト派的な発言、(3)ラトビア中銀カザークス総裁による「12月にさらなる利下げが必要」とのハト派的な発言が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0449まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買い(ユーロドルは11/6に記録した高値1.0937をトップに反落に転じると、わずか12営業日後の11/22に一時1.0333まで大幅下落)や、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0530まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/26午前3時00分現在)では、1.0480前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ11月IFO企業景況感指数(結果85.7、予想86.0)、ドイツ11月IFO現況指数(結果84.3、予想85.5)、ドイツ11月IFO期待指数(結果87.2、予想87.0)は強弱まちまちの結果となった為、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は一時153.55まで下げ幅を広げるも、海外勢参入後に持ち直す動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していること(昨日の下落局面においても21日移動平均線が確りとサポートとして機能)や、強い買いシグナルを示唆する「短期線と中長期線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値余地は限定的)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続(日銀による年内利上げ観測後退と、米FRBによる年内利下げ見送り観測台頭の組み合わせ。CMEが提供するFed Watch Toolによると、次回12/18に予定されている米FOMCでの金利据え置きの織り込み度合は44.1%)や、トランプ・トレードの本格化期待(市場ではスコット・ベッセント氏がトランプ政権の暴走に歯止めを効かせる役割を担うとの期待が一時的に高まりましたが、同氏による「自身の政策上の優先事項はトランプ大統領のさまざまな減税公約を実行すること」「世界の準備通貨としてのドルの地位を維持する」との発言を受けて沈静化)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米経済指標(米9月S&Pケースシラー住宅価格指数、米10月新築住宅販売件数、米11月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、米11月リッチモンド連銀製造業指数)が良好な結果を示す場合や、米FOMC議事要旨にて追加利下げに慎重なスタンスが示される場合には、米金利上昇・米ドル買いの経路で、ドル円に再び強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:153.50ー155.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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