米新財務長官人事報道から円高優勢、トルコリラ円は3営業日続落
〇昨日のトルコ円、ドル円と共に午前に4.48から4.44へ下落、4.47まで戻してから深夜に4.44へ下落
〇対ドル、11/25は概ね34.62から34.03の取引レンジ、2営業日連続で終値最安値を更新
〇トルコ製造業信頼感指数は悪化、設備稼働率も停滞
〇4.44割れからは4.42前後への下落を想定
〇4.48超えからは反騰継続とみて4.49前後への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月25日は概ね4.48円から4.44円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.46円で先週末終値の4.48円からは0.02円の円安リラ高だった。
9月16日の史上最安値4.10円(ベンダーによっては4.11円や4.05円等)からドル円の上昇を追いかけて11月15日高値4.56円へ高値を伸ばしてきたが、トランプ・ラリーが一巡してドル円が失速したため、11月19日夕安値4.43円へ反落し、20日夜高値4.52円までいったん戻した後はジリ安の推移が続いている。
11月22日にトランプ次期政権の財務長官人事が発表されたことをきっかけに25日午前序盤からユーロやポンド等が反騰する一方でドル円が下落したため、トルコリラ円は早朝高値4.48円から昼前安値4.44円へ下落し、夕刻に4.47円まで戻してから再び失速して深夜に4.44円へ下落、小数点下四桁では昼前安値4.4420円から深夜安値4.4395円へと安値を若干切り下げた。
トランプ次期政権の財務長官に指名されたベッセント氏はソロス・ファンドや自身のヘッジファンド「キースクエアグループ」で活躍した投資家であり、投資家出身の新財務長官誕生を株式市場は好感してNYダウが史上最高値を更新、米長期債利回りはトランプ政権後のインフレ再燃とFRBの利下げペース鈍化への過度の懸念が後退したとして大幅に低下、ドル円は昼前安値で153.54円へ下落してから夕刻に154.71円まで戻した後に深夜安値153.62円へ失速する乱調な展開だったが、11月15日高値156.74円から20日夜高値155.88円、22日深夜高値155.00円と高値を切り下げてきた流れの範囲にとどまっており、19日安値153.28円を割り込むようだと円高継続感が増しやすい状況にあると思われる。
トルコリラ円も11月15日高値から20日高値へ高値ラインを切り下げており、日足は11月15日早朝高値を頭、11月7日高値と20日高値を両肩とした三尊型を形成しつつある。11月8日と19日の両安値4.43円によるフラットな下値支持線を割り込む場合は三尊完成により9月16日以降の上昇トレンドから転落して下落が長期化することも懸念される。
【ドル/トルコリラは終値の史上最安値更新で週を終える】
ドル/トルコリラの11月25日は概ね34.62リラから34.03リラの取引レンジ、26日早朝の終値は34.55リラで先週末終値の34.54リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新した後は取引時間中の最安値更新を回避しているものの、日足終値ベースでは15日から18日へ2営業日連続で史上最安値を更新し、22日に4日ぶりに終値史上最安値を更新してから週明けも2営業日連続で終値最安値を更新した。
25日はトランプ次期政権の財務長官に著名投資家のスコット・ベッセント氏が指名されたことで、株式市場は楽観してNYダウとS&P500指数が取引時間中の史上最高値を更新、米長期債利回りが大幅低下、ユーロやポンドが反騰してドル円も一時下落するなどドル安が優勢となったが、豪ドルやNZドルが25日早朝の上昇から下落に転じるなどまちまちの動きも見られ、トルコリラにとっては決め手に欠くものだった。
25日午後にレバノン・ヒズボラとイスラエルが停戦協議で合意したとの報道があり、トルコのエルドアン大統領がNATOのルッテ事務総長と会談して「ロシアとウクライナの戦争終結」に向けた方策等を協議したとも報じられたことは、トルコ近隣の地政学的リスクを低下させるものとしてリラにはプラス要因だが、市場の反応は限定的だった。
【トルコ製造業信頼感指数は悪化、設備稼働率も停滞】
11月25日にトルコ中銀が発表した11月の製造業信頼感指数は100.4となり10月の100.9から悪化した。今年4月の106.1をピークとして8月の98.5まで悪化したところから、9月の98.8,10月の100.9へと2か月連続で改善していたために11月も10月を上回るのではないかとみられていたが、100の大台を維持したものの期待外れに終わった。
11月の設備稼働率は76.1%で10月の74.9%から大きく改善したものの76%台序盤に留まった2023年11月の78.0%をピークとして低下に転じ、今年9月の74.9%でこの間の最低とし、10月も同水準にとどまっていたところから改善したのだが、今年1月から7月にかけて続いた低水準の範囲であり、トルコの実体経済・製造業関連の低調さが払拭されずにいる印象だ。
29日には7-9月期GDPの発表があるが、前期比が4‐6月期の0.1%から1.8%程度へ改善すると見込まれる一方で前年同期比は4‐6月の2.5%から1.9%へと鈍化するのではないかとみられている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月19日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、20日夜へ続伸してからの反落により21日午前時点では4.47円割れから弱気サイクル入りとし、21日夕への下落時に4.47円を割り込んだため、22日午前時点では20日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午後から26日夕にかけての間への下落を想定した。
25日深夜へ続落して26日午前序盤も安値圏にとどまっているのでまだ一段安余地ありとし、25日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れからすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性も懸念される。
強気転換は25日夕高値4.48円超えからとし、その際は26日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では20日夜高値からの下落基調が続く中でジグザグの推移で安値を切り下げているため、遅行スパンは実線と交錯しているものの先行スパンから転落したままのため、先行スパンを上抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は25日午前の下落で30ポイントへ下げてからは50ポイント台へ戻すところを売られて上値の重い展開のため、55ポイントを超えないうちは20ポイント台への一段安余地ありとし、55ポイント超えからは反騰入りとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.44円を下値支持線、4.48円を上値抵抗線とする。
(2)4.48円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.44円割れからは4.42円前後への下落を想定する。4.42円以下は反騰注意とするが、4.46円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.47円から4.48円手前を戻り売り有利とするが、4.48円超えからは反騰継続とみて4.49円前後への上昇を想定する。
【当面の主な予定】
11月28日
16:00 10月 貿易収支確報 (9月 -51.3億ドル)
16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 98)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 グロス(11/15時点 940.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 ネット(11/15時点 590.6億ドル)
11月29日
16:00 7‐9月 GDP 前期比 (4‐6月 0.1%)
16:00 7‐9月 GDP 前年同期比 (4‐6月 2.5%)
12月2日
16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 45.8)
12月3日
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 2.88%)
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 48.58%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.29%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 32.24%)
注:ポイント要約は編集部
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