トルコリラ円見通し 15円台中盤の持ち合い、トルコは欧米以外最大の感染国に(20/4/21)

対ドルで4月20日は終値は6.9418リラで4月16日終値を割り込んで終値ベースとしてはこの間の安値を更新しており、引き続きトルコリラ円の上値を抑えている。

トルコリラ円見通し 15円台中盤の持ち合い、トルコは欧米以外最大の感染国に(20/4/21)

【概況】

トルコリラ円は4月2日早朝安値15.89円から16円台序盤での持ち合いを続けてきたが、4月9日夜高値16.41円からの反落で16円を割り込み、4月16日早朝には15.46円まで続落して2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込んだ。
4月17日夜にはドル高リラ安が緩んだところで15.77円まで一時的に反発したがその後はドル高リラ安がぶり返し、ドル円も軟調なままとなったために15.40円台へ失速して先週を終えた。
週明けは15.60円台まで戻す場面も見られたが手掛かりに欠けて小動きにとどまった。

【トルコリラは対ドルで終値ベースの安値を更新中】

ドル円は4月15日午前への下落で4月2日未明安値106.91円と同値まで下げたが底割れをひとまず回避し、4月16日と17日に108円台に到達したものの維持できず、15日から安値ラインがやや切り上がり気味となり三角持ち合いの様相だ。決め手に欠く状況で20日から21日朝にかけては107円台後半での小動きにとどまっている。三角持ち合いを維持するうちは持ち合い上放れにより円安へ進んでトルコリラ円上昇要因となる可能性も残るが、17日夜安値107.30円を割り込むと持ち合い下放れとなりダブル底試しへ進み、仮に106.91円のダブル底ラインを割り込む場合は円高の加速となってトルコリラ円の下落を加速させかねない。

トルコリラは対ドルで4月10日から16日までは5日連続の日足陰線で下落となり、4月16日には6.9605リラの安値を付けた。その後は新たな安値更新を回避しているものの4月20日は前日比0.54%のドル高リラ安となり、終値は6.9418リラで4月16日終値を割り込んで終値ベースとしてはこの間の安値を更新しており、引き続きトルコリラ円の上値を抑えている。

【トルコは欧米以外で最大の感染国に】

トルコのエルドアン大統領は4月20日に、4月23日からの4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)すると発表した。トルコはこれまでに4月11日と12日、4月18日と19日の週末に二度のロックダウンを実施してきた。今回は4月23日がトルコ祝日にあたるために4日連続でのロックダウンとなる。

4月21日朝時点における新型コロナウイルスによる世界の感染者数は約248万人、死者は17万人を超えた。米国では感染者78.4万人、死者4万2138人(前日比1563人増)となった。
トルコの感染者数は21日朝時点で9万0980人で前日比4674人増、死者は2140人(同123人増)となった。4月20日朝時点でこれまで中東の最大感染国であったイランの感染者を超えたが、21日朝時点では中国の公式発表である感染者8万2747人を超えており欧米以外での最大の感染者数となった。英国の感染者12.5万人と死者1万6550人と比較すれば死者はかなり抑えられており、海外への医療物資支援等も行われていることで医療崩壊的なパニック報道は見られないが、極めて深刻な状況に入ってきていると思われる。
感染者の増加数は3月31日以降に日々2千人を超え、4月4日からは3千人を超え、4月8日から18日までは4000人を超えるペースが続いてきた、19日は4000人を若干割り込んだが20日は再び4000人を大幅に超えている。

トルコ政府が国営銀行への資本注入を検討しているとブルームバーグが報じた。企業への支援を銀行に促す狙いとされるが、国内資金需要のひっ迫や国営銀行の財務悪化が懸念される。資本注入にはリラ建て国債の発行も検討されており、国内最大手のトルコ農業銀行とハルク銀行及びバキフラール銀行の国営3行が対象とされる。コロナショックは新興国経済を直撃しており、トルコも経済対策・企業防衛・国民性格支援への対応を迫られている状況だろう。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月16日夜安値の後に17日夜へいったん戻してから反落しているため、16日夜安値を直近のサイクルボトム、17日夜高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。ボトム形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとするが、17日夜高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月16日夜安値以降は持ち合い推移のために遅行スパンは実線と交錯して方向感に乏しい。先行スパンに対しては上下へ抜けやすい位置にあるがいったん好転しても再び悪化しやすい状況でもある。このため、持ち合い放れを目安とし、17日夜高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、16日夜安値割れからは一段安入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い推移のため50ポイントを挟んで方向感に乏しい。65ポイント超えからは上昇再開感が強まると思われるが、45ポイント割れからは下げ再開が疑われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月16日夜安値15.43円を下値支持線、17日夜高値15.77円を上値抵抗線とする。
(2)15.60円以上での推移が続く場合は17日夜高値試しとするが、16.70円以上は反落注意とする。仮に17日夜高値を上抜く場合は15.90円試しとその後の反落を想定する。
(3)15.50円以下での推移が続く場合は下向きとし、16日夜安値割れからは持ち合い下放れに入るためまず15.20円、さらに15円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月22日
 16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 9.25%)
4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)

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