トルコリラ円見通し 年初来安値をさらに更新、目先は下げ渋りだが新興国通貨安に圧迫される(20/4/22)

ドル高リラ安がぶり返す中で軟調推移となり、4月21日夜には15.32円まで一段安となった。

トルコリラ円見通し 年初来安値をさらに更新、目先は下げ渋りだが新興国通貨安に圧迫される(20/4/22)

【概況】

トルコリラ円は4月9日夜高値16.41円からの反落で4月2日早朝安値15.89円を割り込む一段安となり、4月16日早朝安値15.46円で2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込み、16日夜には15.43円まで安値を切り下げた。その後はやや落ち着き、ドル高リラ安の一服及び円高一服により4月17日夜には15.77円まで一時的に反発した。しかし勢いは続かずにドル高リラ安がぶり返す中で軟調推移となり、4月21日夜には15.32円まで一段安となった。
4月2日午前は15.40円強で横ばい推移にとどまっている。
1月17日高値18.82円から3月9日安値16.26円まで大幅下落となり、3月25日に17.44円の戻り高値を付けてから一段安へ進んできた。4月2日早朝安値を割り込み、4月16日夜安値からの下げ渋りも続かずに安値を更新しており、1月17日からの下落基調は継続中で、3月9日までを一段目とし、3月25日からは二段目の下げに入ってその途中にあるという印象だ。新興国通貨安とコロナショックがトルコリラ安を助長している。

4月22日夜にはトルコ中銀の金融政策決定会合があり、利下げが予想されている。

【トルコリラは対ドルで2018年11月以来の安値を更新】

ドル円は4月15日午前に4月2日未明安値106.91円と同値を付けたものの底割れを回避し、その後は108円台に到達しても維持できずに107.50円を中心とした持ち合いにとどまっている。4月21日夜には107.27円まで下げたが終盤はドル高感が強まる中で107円台後半へ持ち直している。

トルコリラは4月21日に対ドルで6.9766リラを付けて2018年11月以降の安値を更新した。2018年11月からは2019年5月までを一段目の下落とし、2019年8月からは二段目の下落に入っているが、2018年8月のトルコ通貨危機でつけた対ドルでの最安値7.2169リラへ徐々に迫っている。すでにトルコリラ円では2018年8月底を割り込んで史上最安値を更新しているので、対ドルでの安値更新も時間の問題となりつつある印象だ。

4月20日にNY原油5月限が翌日の納会日を控えて売り一色となり、前日比55.90ドル安のマイナス37.63ドルへと暴落した。納会当日の21日は10.01ドルまで戻して終了したが、中心限月に回った6月限は一時は6.50ドルまで大幅下落するなど異常な暴落商状が続いている。
原油相場暴落をきっかけに国際商品市場全般が全面安となり、ポジション圧縮と換金売りが集中しているが、為替市場においても新興国通貨・資源輸出通貨が売られている。ブラジルレアルは4月3日に対ドルでの史上最安値を更新してから下落一服だったが4月21日には4月3日安値に迫り、南アランドも4月6日につけた対ドルで史上最安値に迫っている。豪ドルやカナダドル及びNZドル等の下落も目立った。

原油相場の異常な暴落に象徴されるようにコロナショックによる世界全体のリセッションへの懸念は益々拡大しており、新興国通貨危機への懸念、資源輸出国通貨安再開への懸念が株安再燃とも重なって、手元の現金化を急ぐドル買いを助長している。トルコリラもトルコ国内の感染拡大も踏まえて下落が加速しているため、ドル円が多少下げ渋っていてもドル高リラ安に押されてトルコリラ円が安値を試してゆく流れがまだ続きそうだ。

【トルコの感染拡大ペース落ちず】

4月22日朝時点における新型コロナウイルスによる世界の感染者数は約255.4万人、死者は17.7万人を超えた。米国では感染者81.7万人(前日比2万5193人増)、死者4万5279人(同2765人増)となった。
トルコの感染者数は22日朝時点で9万5591人で前日比4611人増、死者は2259人(同119人増)となった。4月20日朝時点でイランの感染者を超えて中東最大の感染国となり、21日朝時点では中国を超えて欧米以外での最大の感染国となった。感染者の増加数は3月31日以降に日々2千人を超え、4月4日からは3千人を超え、4月8日から18日までは4000人を超えるペースが続いてきた、19日は4000人を若干割り込んだが20日と21日は再び4000人を大幅に超えており、感染拡大ペースは緩んでいない。

トルコのエルドアン大統領は4月20日に、4月23日からの4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)する。トルコはこれまでに4月11日と12日、4月18日と19日の週末に二度のロックダウンを実施してきた。今回は4月23日がトルコ祝日にあたるために4日連続でのロックダウンとなる。
エルドアン大統領とプーチン露大統領は4月21日に電話会談を行い、新型コロナウイルス対策における協力、両国関係、地域問題を協議した模様。またエルドアン大統領はツイッターで「8300万人が皆一緒に行動することによってのみこの感染症を克服できる。団結、一体、兄弟愛を受け入れる限り自信をもって未来を見ることができる」と述べて感染対策への国民の協力を要請した。チャウショール外相も中国外相と電話協議するなど協力体制をアピールしている。繰り返される週末のロックダウンがいつまで続くのかという不安とともに、医療崩壊や国内企業の連鎖倒産発生や国内金融機関のバランスシート悪化等が懸念される。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月16日夜安値の後に17日夜へいったん戻してから反落しているため、16日夜安値を直近のサイクルボトム、17日夜高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りした。ボトム形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定されたが、21日夜安値の後はやや戻しているので21日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたと仮定する。底割れからは新たな弱気サイクル入りとして24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定するが、底割れ回避のうちは22日夜から24日夜にかけての間への上昇余地ありとする。

60分足の一目均衡表では4月21日夜へ一段安したために遅行スパンが悪化し、先行スパン殻も転落した。しかしその後は下げ渋りからややジリ高で推移しているため遅行スパンは好転しやすい位置にある。このため、遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行周防杏の上下限が戻り抵抗となりやすいと注意し、遅行スパンがいったん好転した後に再び悪化するところからは下げ再開と一段安を警戒する。

60分足の相対力指数は21日夜の下落で30ポイントをいったん割り込んだがその後の反発で50ポイントまで戻している。40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開が疑われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月21日夜安値15.32円を下値支持線、15.50円を上値抵抗線とする。
(2)4月21日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、15.50円超えからは15.60円前後試しを想定する。15.60円以上は反落警戒とするが、21日夜安値割れ回避が続くうちは23日も高値を試す余地が残るとみる。
(3)4月21日夜安値割れからは一段安入りとなるため15.20円、さらに15円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月22日
 16:00 4月消費者信頼感指数 (3月 58.2)
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行9.75%、予想 9.25%)
4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)

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