ドル円見通し 株安原油暴落で現金化のドル買い進み、107円台中後半の持ち合いに留まる(20/4/22)

21日夕刻には107.27円まで下げて4月17日夜安値をわずかに割り込んだ。しかしその後は107円台後半へ再び持ち直している。

ドル円見通し 株安原油暴落で現金化のドル買い進み、107円台中後半の持ち合いに留まる(20/4/22)

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で106.91円を付けて4月2日未明安値と同値としたものの安値更新をひとまず回避して持ち直したが、4月16日午後高値108.08円と17日朝高値108.07円でダブルトップ気味に上値が抑えられ、21日夕刻には107.27円まで下げて4月17日夜安値をわずかに割り込んだ。しかしその後は107円台後半へ再び持ち直している。
4月15日午前安値から17日夜安値まではほぼ1直線で下値支持線を形成し、ダブルトップ型の上値抵抗線と共に三角持ち合い型を形成し、21日夕刻への下落ではこの下値支持線を割り込んだのだが、その後の反発により三角持ち合い下放れによる下落再開入りには待ったがかかり、現状は107.50円を中心としたボックス型の持ち合いに変容した。

【原油のマイナス相場入りの余波、リスク回避のドル買い】

4月20日はNY原油5月限がマイナス圏に沈む異常な暴落となりNYダウも592.05ドル安と下落した。NY原油5月限は20日に翌日の納会を控えて悲観売り一色となり、前日比55.90ドル安のマイナス37.63ドルとなった。納会当日の21日は10.01ドルまで戻して取引を終了したが、当限に回る6月限は一時は6.50ドルまで大幅下落し、前日比8.86ドル安の11.57ドルで終了するなど暴落的な波乱が続いている。原油相場の異常な展開を嫌気してNYダウも前日比631.56ドル安となり、2日間で1200ドル以上の大幅下落となった。
原油相場暴落をきっかけに国際商品市場全般がポジション圧縮と換金売りに見舞われ、NYパラジウム6月限が前日比219.9ドル安の1907.60ドルへ暴落、白金7月限が37.6ドル安の758.4ドルと大幅下落となり、通常はリスク回避なら逃避先として買われて前日の混乱時でもしっかりしていたNY金6月限も23.4ドル安の1687.8ドルで終了した。

3月16日にかけても金融市場全般が総崩れとなる中で通常なら安全資産買いされる金まで暴落した経緯があるが、今回の原油暴落を発端とする商品市場全般の下落と欧米株の大幅下落は当時の総崩れ及び換金売りを再現するのではないかとの懸念も出始めているようだ。
原油相場がマイナス価格となるということは、買いポジションを持つものが納会で現物を渡されても保管場所を確保できず、また将来の価格上昇への期待が乏しいいために保管コスト回収も見込めないとして、売り方に金を払ってでもポジションを整理したかったという市場心理を示している。コロナショックによる経済活動の停滞は全世界で一挙に進んだため、物流停滞により原油をはじめとする国際商品全体が流通ストップとなり過剰在庫、荷余りが加速していることを示している。
株式市場はこれまでパンデミック終息後の経済復興期待を背景に3月後半から反騰に入り、NYダウは直前の暴落に対する半値戻しを実現したが、原油相場の異常な展開を見れば楽観的な復興期待は時期尚早という印象になるだろう。

原油暴落により新興国通貨・資源輸出通貨が売られた。ブラジルレアルは4月3日に対ドルでの史上最安値を更新した後は4月9日まで反発していたが、再び下落し始めて4月21日には4月3日安値に迫っている。南アランドも同様に4月6日に対ドルで史上最安値を更新してから下落一服していたが4月9日からの下落再開で最安値に迫ってきている。また豪ドルも3月19日まで株安と同調しての暴落一巡で4月14日まで二段上げで戻していたが失速し始めて21日も続落している。カナダドル、NZドル等も下落しており、新興国通貨危機への懸念、資源輸出国通貨安再開への懸念が株安とも重なって換金売りによるドル買いを助長している。そのことが21日にいったん反落したドル円を支えて持ち直させたようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月15日午前安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、4月16日と17日の両高値をダブルトップとして下落に転じた。ボトム形成期は20日午前から22日午前にかけての間と想定されたが、21日夕刻へいったん下げてから戻しているため、21日夕安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は前回のダブルトップを基準として21日から24日にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、21日夕安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして24日夕から28日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では21日夕刻への下落時には遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後は持ち直している。4月16日以降が107.50円を挟んだ横ばい型の持ち合いに変容しているので、4月16日高値を上抜くところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、21日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は21日夕刻の下落で40ポイントを割り込んだがその後の反発で50ポイント台を回復している。持ち合い中で方向感に欠けるが、16日高値を上抜く場合は70ポイント台への上昇を想定し、21日夕安値を割り込むところからは20ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を中心に、4月21日夕安値107.27円を下値支持線、4月16日高値108.08円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円以上での推移中は上向きとし、108.08円超えからは持ち合い上放れとして当初108.50円前後試しを想定する。108.50円前後は戻り売りも出やすいとみるが、108円以上での推移なら23日の日中も高値試しへ進みやすくなるため、4月6日高値109.37円を目指す可能性も出てくるのではないかと考える。
(3)107.50円以下での推移中は下向きとし、107.27円割れからは新たな弱気サイクル入りとしてまず4月15日安値106.91円試しとし、106.91円割れからはダブル底破れによる一段安入りとなるので、106円台前半、さらに先行きで105円台を目指す流れへ進むとみる。

【当面の主な予定】

4/22(水)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.0%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 1.7%、予想 1.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.7%、予想 1.6%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前月比 (2月 0.5%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.2%)
15:00 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 9.75%、予想 9.25%)
22:00 (米) 2月 住宅価格指数 前月比 (1月 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感速報値 (3月 -11.6、予想 -20.0)

4/23(木)
休場、トルコ
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・改定値 (速報 92.1)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・改定値 (速報 95.8)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 2.7、予想 -1.7)
16:30 (独) 4月 製造業PMI速報値 (3月 45.4、予想 39.0)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 31.7、予想 28.1)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI速報値 (3月 44.5、予想 38.0)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 26.4、予想 23.5)
17:30 (英) 4月 製造業PMI速報値 (3月 47.8、予想 42.0)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 34.5、予想 29.0)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 524.5万件、予想 450.0万件
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1197.6万人、予想 1727.1万人
22:45 (米) 4月 製造業PMI速報値 (3月 48.5、予想 38.5、予想 36.0)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 39.8、予想 31.3)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (2月 76.5万件、予想 64.3万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 -4.4%、予想 -16.0%)

オーダー/ポジション状況

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