ドル円、リスクオフ再燃で一時下落するも米新型コロナ対策第4弾合意を受けて反発
海外時間の為替概況
21日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に持ち直す展開。@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムードや、A原油先物価格の急落(WTI原油5月限が史上初となるマイナス圏に沈んだこと)を受けた投資家心理の悪化懸念、B上記@Aを受けた株安が重石となり、欧州時間序盤にかけて、安値107.29まで下げ幅を広げました。しかし、心理的節目107円をバックに下げ渋ると、Cトランプ米政権が5000億ドル規模の追加対策(新型コロナ対策第4弾)に合意したことや、D石油輸出機構(OPEC)が「減産・前倒し」を検討しているとの一部報道が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値107.89まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.77近辺で推移しております。尚、昨日発表された米・3月中古住宅販売件数(結果527万件、予想530万件、前回576万件)は、昨年4月以来最低の水準となっております。
昨日のユーロドル相場は狭いレンジ内で一進一退。@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムード(ドル買い・円買い)や、A原油先物価格の急落を受けた投資家心理の悪化懸念(ドル買い・円買い)、B上記@Aを受けた株安が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0817まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した安値1.0812をバックに下げ渋ると、Cトランプ米政権による5000億ドル規模の追加対策(新型コロナ対策第4弾)合意が支援材料となり(リスク回避ムードの後退)、一時1.0881まで反発する場面も見られました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0858近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した高値109.39をトップに反落に転じると、4/15には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(足元107円台後半へと持ち直すも戻りは鈍く、200日線をバックにした「戻り売り」優勢の展開が続くと予想されます)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク(金正恩氏の健康不安説)、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(買い手不在の中、保管コストを嫌気した投げ売りが加速し、史上初となるマイナス圏に沈むパニック相場)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも上値の重い展開が想定されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、本日も、新型コロナウィルスを巡るヘッドラインや、原油先物価格および世界的な株価の動向(23:30に予定されている石油在庫統計に注目)、米主要経済指標の結果(住宅関連指標)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(原油下落→株価下落→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路に要注意)。尚、通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると、円コールオーバーが拡大するなど、円高リスクを織り込む動きが足元で広がりを見せつつあります。
本日の予想レンジ:107.20ー108.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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