北情勢が波乱要因に浮上、原油相場も要注意(20/4/21)

21日の東京市場は、ドルが冴えない。とは言え、107円半ばを中心とした40ポイントレンジで、明確な方向性も乏しかった。

北情勢が波乱要因に浮上、原油相場も要注意(20/4/21)

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21日の東京市場は、ドルが冴えない。とは言え、107円半ばを中心とした40ポイントレンジで、明確な方向性も乏しかった。

ドル/円は107.55-60円で寄り付いたのち、しばらくは底堅い。オープンレベルを安値にやや小高い値動きをたどるも、底割れするとそのまま日中安値107.40円レベルへと値を崩している。詳細を後述する北朝鮮情勢が材料視され、円買いが志向されていたようだ。ただドルの下値も攻め切れず、結局16時現在では小戻した107.45円前後で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、それとは別に円主導といった側面は否定しないがユーロやポンドがなかなか大きな変動。たとえばポンド/円は、日中高値である134円台から一時90ポイント近い下げを記録している。

一方、材料的に注視されていたものは、「原油相場」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、20日のNY商業取引所で、米WTIの先物価格(5月物)が1バレル=マイナス37.63ドルと、史上初めてマイナス価格で取引を終えたことが話題に。前週末の終値からは、実に50ドルを超える暴落になる。ただ、その後の本日東京時間には急反発に転じるとVの字型の上昇となりプラス圏を回復。また、限月交代となる6月物も堅調推移をたどるなど、混乱も一服した感がうかがえた。
対して後者は、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNK」が、「金委員長が最近、心血管系の手術を受け、現在も地方の別荘で治療を受けていることがわかった」と報じ一部で物議を醸すなか、CNNが続報として「金委員長は手術後に危険な状態に陥った」などと指摘したことで健康不安説が一気に広がった。なお、そうした北の情勢不安を嫌気し、韓国ウォンが一時対ドルなどで急落している。
その後は関連ニュースが混在。たとえば、「米国は重体との情報を得ている」との報道が見られた反面、韓国大統領府は「通常と異なる動きなし」と火消しに動いていたようだ。

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ここしばらくは、新型コロナに関する話題が金融市場を席巻するなか、本日の東京時間はまったく関連性がない話ではないものの、久しぶりに新型コロナを主役としない話題が取り沙汰されていた。具体的には、前述した「原油相場」と「北朝鮮情勢」についてで、とくに後者である北委員長の容体については見方が交錯している状態だ。まだ判然としない面も大いにくすぶる。このあとも続報などには注意を払いたい。

材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題で、なかでも米国情勢の動きならびに、「コロナ債の導入」などをめぐり南北で意見の相違が際立ってきた欧州情勢を懸念する声も少なくない。さらには、再び波乱要因として急浮上してきた「北朝鮮情勢」にも要注意。

テクニカルに見た場合、先週火曜日以降、過去1週間程度は106.90-108.10円という値動きで、1.2円ほどのレンジ内にとどまっていることが見て取れる。新型コロナウイルスなどが依然として波乱要因として取り沙汰されているものの、為替市場の反応はかなり鈍くなっている感を否めない。いずれにしても、まずは前述した1.2円レンジをしっかりとブレークできるか否かが注目されている。

本日は3月の中古住宅販売件数といった米経済指標が発表される予定となっている。ここ最近発表される米経済指標が冴えず、昨日発表された3月のシカゴ連銀全米活動指数も予想を下回る内容だっただけに、本日の米指標も一応要注意。
また、それとは別に発表される米企業決算や、米財務省による航空会社支援報道などにも引き続き注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.80-107.80円。ドル高・円安方向は、107.50-60円に弱い抵抗がうかがえるが、それを上回るとここ1週間程度のレンジ上限である108.10円レベルが次の抵抗に。
対するドル安・円高方向は、先週末安値の107.30円が最初のサポート。ただ、割り込んでもかなり底堅いイメージで、直近安値107.16円、4月安値106.93円など下方向のテクニカルポイントは数多い。

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