トルコリラ円見通し トルコ中銀利下げするもトルコリラ円は動かず(20/4/23)

4月21日夜安値以降も横ばい程度の持ち合いのため、持ち合い下放れからさらにトルコリラ円としての史上最安値更新を試して行きやすい状況にあると思われる。

トルコリラ円見通し トルコ中銀利下げするもトルコリラ円は動かず(20/4/23)

【概況】

トルコリラ円は4月9日夜高値16.41円からの反落で4月2日早朝安値15.89円を割り込む一段安となり、4月16日早朝安値15.46円で2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込んだ。4月16日夜安値15.43円の後は落ち着いていたが、4月21日夜には15.32円まで安値を更新した。
4月22日の日中からは15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばい推移となっている。22日夜にはトルコ中銀が8会合連続の利下げを行ったこと等でトルコリラが対ドルでこの間の安値を更新したが、その一方で暴落していた原油相場や2日間で1200ドル以上の下げとなっていたNYダウが戻して金融市場全般がやや落ち着いたためにドル円が円安気味に推移したため、リラ安ドル高の影響をさほど受けずに横ばい推移にとどまったという印象だ。ただ、ドル高リラ安基調は継続しており、4月21日夜安値以降も横ばい程度の持ち合いのため、持ち合い下放れからさらにトルコリラ円としての史上最安値更新を試して行きやすい状況にあると思われる。

【トルコ中銀、8会合連続利下げでリラ売り強まる】

トルコ中銀は4月22日の金融政策決定会合で政策金利の引き下げを決定した。トルコリラの下落が続き、新興国通貨安も目立つ中にあっても景気対策及びコロナショック対策による利下げを妥当としてこの1年間で8会合連続の利下げとなった。政策金利の1週間物レポレートは従来の9.75%から8.75%へ引き下げられた。市場の事前予想は9.25%への引き下げが見込まれていたが、据え置きの可能性もあった。
利下げ発表直後からトルコリラは対ドルで売られて7.0074リラの安値を付けたが、その後は売り物一巡でやや戻した。

トルコリラは4月10日から16日まで5日連続の下落となり、17日は下げ渋ったものの4月20日からは3日連続で一段安に入っている。7リラ台を付けるのは2018年8月のトルコ通貨危機による暴落でつけた7.2349リラ以来の水準であり、月間足は7か月連続の下落で徐々に下落角度が加速している。
4月22日はブラジルレアルが対ドルでの史上最安値を更新しており、コロナショックによる新興国通貨売りの流れは継続している。トルコも感染爆発期に入っており、今週末には週末三度目のロックダウンも控えている状況であり、新興国通貨売りの流れの中でトルコリラも売りのターゲットとされて続落しやすい状況に入っている印象だ。
4月22日に発表された4月のトルコ消費者信頼感指数は54.9となり3月の58.2から悪化したが強弱分岐点となる50を超えている。今後の感染拡大状況によってはさらに悪化することも懸念される。

【トルコの感染者数は10万人に迫る】

トルコ保健相によると4月22日の新型コロナウイルス感染による死者は117人増えて2376人に達した。感染検査は24時間で3万7535人に実施されて感染者は3083人増となり累計で9万8674人となった。また退院は22日に1559人で回復者数累計は1万6477人となった。前日比で4000人を超えるペースが続いてきたが、日々の増加ペースはやや頭打ちに入っているかもしれない。
トルコのエルドアン大統領は4月20日に4月23日からの4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)すると発表している。トルコはこれまでに4月11日と12日、4月18日と19日の週末に二度のロックダウンを実施してきた。今回は4月23日がトルコ祝日にあたるために4日連続でのロックダウンとなる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月16日夜安値の後に17日夜へいったん戻してから反落したため、4月16日夜安値を直近のサイクルボトム、17日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきた。またボトム形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定されたが、21日夜安値の後はやや戻していたので22日午前時点では21日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたと仮定し、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月22日はほぼ横ばいのためまだ上昇余地も残るが、底割れへの余裕も乏しので弱気転換注意とし、21日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定。

60分足の一目均衡表では4月21日夜安値の後は横ばい推移のため、遅行スパンは実線と交錯し、先行スパン下限が上値抵抗となっている。15.47円超えからは横ばいから脱却してくるために遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、21日夜安値割れからは一段安入りとなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は横ばい推移のために50ポイントを挟んで方向感に乏しい。60ポイント超えからは上昇しやすくなるとみるが、40ポイント割れからは下げ再開が疑われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月21日夜安値15.32円を下値支持線、15.47円を上値抵抗線とする。
(2)15.47円以下での推移中は一段安警戒だが、15.47円超えからは15.60円前後への上昇を想定する。15.60円以上は反落警戒とするが、21日夜安値割れ回避が続くうちは24日も高値を試す余地が残るとみる。
(3)4月21日夜安値割れからは一段安入りとなるため15.20円、さらに15円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)
4月30日
 16:00 3月貿易収支 (2月 -29.8億ドル)
 16:00 第1四半期観光収入
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(MPC)議事要旨

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