ドル円見通し 株安原油暴落は一服、107円台後半での持ち合い続く(20/4/23)

4月16日午後高値108.08円と17日朝高値108.07円でダブルトップ気味に上値が抑えられ、21日夕刻には107.27円まで下げて4月17日夜安値をわずかに割り込んだ。

ドル円見通し 株安原油暴落は一服、107円台後半での持ち合い続く(20/4/23)

ドル円見通し 株安原油暴落は一服、107円台後半での持ち合い続く

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で4月2日未明安値と同値の106.91円を付けたものの安値更新をひとまず回避して持ち直したが、4月16日午後高値108.08円と17日朝高値108.07円でダブルトップ気味に上値が抑えられ、21日夕刻には107.27円まで下げて4月17日夜安値をわずかに割り込んだ。
4月20日にNY原油5月限が21日の納会を控えてマイナス価格まで暴落する異常事態が発生し、NYダウも20日から21日にかけての2日間で1200ドル強の下落となる中でやや円高気味の推移となっていたのだが、107円台を維持して22日未明には107.89円へ上昇、22日深夜も原油相場が持ち直し、株式市場も反発したことでドル円も107.93円まで戻り高値をわずかに切り上げた。

4月15日午前安値から17日夜安値まではほぼ1直線で下値支持線を形成し、14月16日と17日の両高値でほぼフラットな抵抗線を形成していたために三角持ち合い型となり、21日夕刻への下落ではこの下値支持線をいったん割り込んだが持ち直したため、下値支持線を4月15日と21日の両安値を結んだラインへとやや緩めて持ち合いを継続している印象だ。

【マイナス価格へ暴落していた原油相場、やや落ち着く】

NY原油5月限は4月20日に翌日の納会を控えて悲観売り一色となり、前日比55.90ドル安のマイナス37.63ドルとなった。納会当日の21日は10.01ドルまで戻して取引を終了したが、コロナショックによる急激な経済活動停滞により地上・洋上在庫が満杯となり、相場の早期回復が見込めない中では保管コストもかけられないとして買い方が投げ売りに出たことが背景だった。22日から当限に回った6月限は20日終値20.43ドルから21日安値6.50ドルまで大幅下落したが、マイナス圏に沈むことはなく22日は前日比2.21ドル高の13.78ドルまで戻した。
OPEC加盟国とロシア等非加盟国による産油国協議体制をOPECプラスと呼ぶが、その中の複数国が電話会議を行い、5月に緊急会合を開く動きが報じられたことで追加減産への期待がもたれた。またトランプ米大統領が「イランの軍艦が嫌がらせをしたら砲撃し破壊して良いと海軍に指示した」とツイートしたことで中東情勢の緊張が高まるのではないかとの思惑も生じて原油価格を落ち着かせた。

原油暴落を嫌気してNYダウは4月20日に592.05ドル安、21日に631.56ドル安と大幅続落していたが22日は原油相場の持ち直しにより456.94ドル高と反発した。このため金融市場全般の動揺もやや落ち着き、ドル円も円高へ傾斜せずに持ち合いを継続する動きとなったようだ。

しかし、中東で戦争が勃発したり感染拡大により油田や製油所の操業が各所でストップするようなことでも起こらない限りは、経済活動の停滞が長引く程に燃料・石油製品需要は大幅な落ち込みが続く。すでに保管タンクも満杯の状況になっていても、石油会社は月次の借り入れ金の利払いのためにも日銭を稼ぐために操業を続けざるを得ず、供給過剰と在庫積み上げは続いてゆく。また石油関連業界が価格低迷により連鎖倒産に追い込まれれば金融機関の貸し倒れも発生して金融市場全体も揺らぐことになりかねない。そうした状況はまだしばらく続くため、原油相場が暴落一服でリバウンドに入ったとしても再びマイナス価格相場となりかねない状況にあり、コロナショック後の復興需要期待でのリスク選好相場入りも難しいのではないかと思う。ドル円としても当面は原油相場動向も踏まえて方向性を探る展開が続きそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月15日午前安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、4月16日と17日の両高値をダブルトップとして下落に転じた。4月21日夕刻へいったん下落してから持ち直しているため、21日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っている。今回のトップ形成期は前回のダブルトップを基準として21日から24日にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地が残るが、既に反落注意期にあるので107.50円割れを弱気転換注意とし、21日夕安値を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りとして24日夕から28日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では21日夕刻安値からの反発により先行スパンを上抜けているが、108円前後を抵抗とした持ち合いの範囲にあるため遅行スパンは実線と交錯している。4月16日高値を超えて続伸に入るところからは持ち合い上放れとなるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、107.50円割れからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い相場のため、60ポイント前後が抵抗となり、50ポイント割れは買い戻されている。4月16日高値を超えて続伸に入れば70ポイント前後への上昇を見込むが、107.50円割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を下値支持線、4月16日高値108.08円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円以上での推移中は上向きとし、108.08円超えからは持ち合い上放れとして当初108.50円前後試しを想定する。108.50円前後は戻り売りも出やすいとみるが、108円以上での推移なら24日の日中も高値試しへ進みやすくなるため、4月6日高値109.37円を目指す可能性も出てくるのではないかと考える。
(3)107.50円割れからは下げ再開の可能性が高まると注意し、4月21日夕安値107.27円割れからは4月15日安値106.91円試しを想定する。106.91円割れからはダブル底破れによる一段安入りとなるので106円台前半、さらに先行きで105円台を目指す流れへ進むとみる。

【当面の主な予定】

4/23(木)
休場、トルコ
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・改定値 (速報 92.1)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・改定値 (速報 95.8)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 2.7、予想 -1.8)
16:30 (独) 4月 製造業PMI速報値 (3月 45.4、予想 39.0)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 31.7、予想 28.5)
17:00 (欧) 4月 製造業PMI速報値 (3月 44.5、予想 38.0)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 26.4、予想 22.8)
17:30 (英) 4月 製造業PMI速報値 (3月 47.8、予想 42.0)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 34.5、予想 29.0)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 524.5万件、予想 415.0万件
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1197.6万人、予想 1647.6万人
22:45 (米) 4月 製造業PMI速報値 (3月 48.5、予想 38.5、予想 37.0)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 39.8、予想 32.5)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (2月 76.5万件、予想 64.5万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 -4.4%、予想 -15.0%)

4/24(金)
08:01 (英) 4月 GFK消費者信頼感 (3月 -9、予想 -40)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.4%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (2月 0.6%、予想 0.4%)
08:30 (日) 3月 全国消費者物価指数・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (2月 0.6%、予想 0.6%)
08:50 (日) 3月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (2月 2.1%、予想 1.8%)
13:30 (日) 2月 全産業活動指数 前月比 (1月 0.8%、予想 -0.5%)
17:00 (独) 4月 IFO景況感指数 (3月 86.1、予想 80.0)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 1.2%、予想 -12.0%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 -0.6%、予想 -5.8%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報値 (速報 71.0、予想 67.9)

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