ドル円、狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。新規失業保険申請件数に注目
海外時間の為替概況
22日(水)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。@新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムードや、A原油先物価格の急落(WTI原油5月限が4/20に史上初となるマイナス圏に沈んだこと)を受けた投資家心理の悪化が重石となり、欧州時間朝方には、一時107.51まで下げ幅を広げました。しかし、海外勢参入後に、B米主要株価指数や原油先物価格が反発に転じると、連れてドル円も底堅さを取り戻し、米国時間には日通し高値107.93まで上昇する場面も見られました。もっとも、心理的節目108円手前では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.72近辺で推移するなど、方向感を見出しづらい時間帯が続いております。尚、トルコ中銀は昨日、市場予想(50bp)を大幅に上回る100bpの利下げを実施し、政策金利を8.75%まで引き下げました。
昨日のユーロドル相場は上昇後に急反落。@トランプ米政権による5000億ドル規模の追加対策(新型コロナ対策第4弾)合意や、A米株高・原油高を受けたリスク回避ムードの後退(ドル買い圧力の後退)が支援材料となり、米国時間朝方には、一時1.0885まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線および基準線に続伸を阻まれると、Bユーロ圏・4月消費者信頼感指数(結果▲22.7、予想▲20.0)が2009年3月以来となる低水準に落ち込んだことや、Cイタリアにおける新型コロナウイルスの感染拡大、Dスペイン議会によるロックダウン(都市封鎖)の延長(5/9まで)などが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0803まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0821近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した高値109.39をトップに反落に転じると、4/15には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(足元107円台後半へと持ち直すも戻りは鈍く、200日線をバックに上値の重い展開が続くと予想されます)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大長期化懸念(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(買い手不在の中、保管コストを嫌気した投げ売りが加速し、史上初となるマイナス圏に沈むパニック相場)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重い」展開が想定されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、引き続き、新型コロナウイルスを巡るヘッドラインや、原油先物価格および世界的な株価の動向、米主要経済指標の結果(新規失業保険申請件数や、米製造業・サービス業PMI、新築住宅販売件数など)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(一巡後の反落リスクに要警戒)。
本日の予想レンジ:107.20ー108.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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