トルコリラ円見通し 15円台中盤の持ち合い続くが上値も重い(20/4/24)

24日午前は15.40円台での推移にとどまっている。

トルコリラ円見通し 15円台中盤の持ち合い続くが上値も重い(20/4/24)

【概況】

トルコリラ円は4月16日早朝安値15.46円で2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込み、4月21日夜には15.32円まで安値を更新した。その後は15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばいの推移が続いている。4月22日夜にはトルコ中銀が8会合連続の利下げを行ったことでトルコリラが対ドルでこの間の安値を更新したもののドル円がやや円安気味の推移だったためにトルコリラ円では目立った動きにならなかった。
4月23日はドル円が日銀が無制限金融緩和方針を検討と報道されて一時108円を超えた流れで15.53円まで上昇したものの勢い付かず、24日午前は15.40円台での推移にとどまっている。

【新興国通貨安とトルコ中銀の連続利下げでドル高リラ安基調は続く】

【新興国通貨安とトルコ中銀の連続利下げでドル高リラ安基調は続く】

トルコ中銀は4月22日の金融政策決定会合で政策金利の引き下げを決定した。コロナショック対策で世界各国が利下げや量的金融緩和へ進んでおり、トルコ中銀も8会合連続の利下げに踏み切ったのだが、3月からは新興国通貨安が目立ち、トルコ国内も3月後半から感染爆発状態に入ったことで過度の利下げがトルコリラ売りを助長するのではないかと危惧される中で市場予想を超える利下げ幅だった。
政策金利の1週間物レポレートは従来の9.75%から8.75%へ引き下げられ、市場予想の9.25%を下回った。発表後にトルコリラは対ドルで7.0074リラの安値を付けたが、その後は売り物一巡となり、23日深夜には6.9245リラまで上昇した。しかし2018年11月以降の安値を更新したばかりであり、2018年8月のトルコ通貨危機による暴落でつけた7.2349リラへ徐々に迫る下落基調は継続している印象だ。

今後はトルコ国内の経済活動停滞による経済指標悪化も目立ち始めると思われる。また感染爆発が峠を越えつつあるとして経済活動再開の動きも欧米で見られるもののやや楽観的過ぎる動きであり、先行き不透明感が拡大すれば新興国通貨売りがさらに加速し、物価上昇率を踏まえれば既に実質ゼロ金利ないしはマイナス金利状態にまで利下げが進んできたトルコリラへの売り圧力も増してくるのではないかと懸念される。

【トルコの感染者数は10万人に迫る】

4月23日終了時点での世界の感染者数は271万人を超え、死者は19万人を超えた。米国は感染者が87.9万人に増加、死者も前日から2292人増えて49812人となった。
トルコは感染者数が10万1790人となり10万人を超えた。前日からの増加数は3116人であり、一時は増加数が4000人を超える状況が続いていたが、高水準の中でやや増加ペースが頭打ちとなってきている可能性がある。
保健相によれば、死者は115人増えて2491人となったが、23日の1日で4万962人の検査が行われている。23日の退院は2014人で回復者の累計は1万8491人となった。大量の検査を実施し、かつ英国に対しては第三次の医療物資支援便を贈る等、医療崩壊や内政混乱等の危険な状況は見られないようだ。
トルコは4月23日から4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)する。3週連続の週末ロックダウンとなる。エルドアン大統領は感染拡大が落ち着いてきたとの認識を示し、5月下旬のラマダン(断食月)明けには「生活の正常化を目指す」と述べている。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月16日夜安値の後に17日夜へいったん戻してから反落したため、4月17日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定してきたが、21日夜安値の後は新たな安値更新を回避しての推移が続いたために22日午前時点では21日夜安値で直近のサイクルボトムと仮定し、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月23日夜へ戻り高値を切り上げてからやや失速しているので23日夜高値でサイクルトップを付けた可能性がある。23日夕安値15.36円を割り込まないうちは上昇余地ありとするが、23日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月23日夜の上昇で先行スパンを上抜いたが、再び転落しやすい状況でもある。遅行スパンも好転しているが再び悪化しやすい位置にとどまっている。23日夜高値を超えるところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、23日夜安値割れからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は23日夜の上昇時に60ポイント台後半へ進んだがその後は失速して50ポイント前後の推移となっている。60ポイント超えからは上昇再開の可能性ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月23日夕安値15.36円を下値支持線、23日夜高値15.53円を上値抵抗線とする。
(2)15.36円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.53円超えからは15.60円前後への上昇を想定する。15.60円以上は反落警戒とするが、15.36円以上での推移が続くうちは週明けも高値試しを続ける可能性があると考える。
(3)15.36円割れからは弱気サイクル入りとみてまず21日夜安値15.32円試しとし、21日夜安値割れからは一段安入りとなるため15.20円、さらに15円試しへ向かう流れと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月24日
 16:00 4月景況感指数 (3月 99.7)
 16:00 4月設備稼働率 (3月 75.3%)
4月30日
 16:00 3月貿易収支 (2月 -29.8億ドル)
 16:00 第1四半期観光収入
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(MPC)議事要旨

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