ドル円見通し 決め手に欠いて107円台中後半での持ち合い続く(20/4/24)

23日夜には108.02円を付ける一時的な反発も見られたが長続きせずに失速し、24日朝は107.50円強の水準で小動きとなっている。

ドル円見通し 決め手に欠いて107円台中後半での持ち合い続く(20/4/24)

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で4月2日未明安値と同値の106.91円を付けたものの安値更新をひとまず回避して戻したが、4月16日午後高値108.08円と17日朝高値108.07円でダブルトップ気味に上値が抑えられ、21日夕刻には107.27円まで下げた。その後は新たな安値更新を回避し、23日夜には108.02円を付ける一時的な反発も見られたが長続きせずに失速し、24日朝は107.50円強の水準で小動きとなっている。
4月23日夜に108.02円まで上昇したのは、日銀が4月27日の金融政策決定会合で80兆円のマネタリーベース増加目標を撤廃し無制限の国債購入やCP・社債の購入額倍増を検討しているとの一部報道を反映したようだが実際の決定及び効果に対する市場の反応を見定めたいとして円安反応も長続きしなかった。

2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円へ10.98円の急落(円高ドル安)となり、3月24日高値111.71円まで10.48円幅のV字反騰となったが、4月1日(2日未明)安値106.91円まで4.80円幅の反落となり、その後は膠着状態でほぼ横ばいだ。コロナショックによるリスク回避の円高圧力と、それを上回る規模のドル資金需給ひっ迫での円安圧力、今後の日本における感染拡大の影響懸念と米国の感染爆発収束への期待等が交錯しており、方向性の決め手に欠いているところだ。

【米経済指標の悪化続く】

4月23日のNYダウは前日比39.44ドル高と小幅上昇した。一時は400ドルを超える上昇も見られたが、米バイオ医薬品会社ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」を新型コロナウイルス患者に投与する治験で失敗した事例があったとの報道から上げ幅を削った。米国での感染爆発がそろそろピークに近いと経済活動再開への期待等で持ち上げられてきた株式市場だが、やや楽観的過ぎるとして4月17日高値の後は新たな高値更新へ進めずに上昇にブレーキがかかっている印象だ。

米経済指標はコロナショックを反映した悪い数字が続いている。
米労働省が発表した4月18日までの週間新規失業保険申請は442万7000件で市場予想の420万件を上回った。前週の523万7000件を若干下回ったものの、3月中旬から5週間の累計は約2600万件に達している。1週遅れの統計となる4月11日までの週間失業保険受給者総数は1597万6000人となり前週から406万4000人増加した。
IHSマークイットが発表した4月の米総合PMI(購買担当者景況指数)は27.4となり3月の40.9から大幅低下して2009年の調査開始以来の最低となった。サービス業PMIが過去最低の27.0(3月は39.8)、製造業PMIが36.9(同48.5)で11年ぶり低水準だった。

米商務省が発表した3月の新築住宅販売件数は年率換算で前月比15.4%減の62万7000戸となり、2013年7月のマイナス20.2%以来6年8カ月ぶりの大幅低下となった。
米議会下院は4月23日に新型コロナウイルス対策として中小企業への追加支援等の4840億ドル(約52兆円)の対策予算法案を可決した。上院は既に可決済みのためトランプ大統領の署名で成立するが、米国の新型コロナ対策は総額で3兆ドルに迫った。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月15日午前安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、4月16日と17日の両高値をダブルトップとして下落に転じた。4月21日夕刻へいったん下落してから持ち直したために23日朝時点では21日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は21日から24日にかけての間と想定した。
4月23日深夜にいったん反騰してから反落したために既に23日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるが、反騰前の23日夜安値を割り込まない内は上昇余地が残るとみる。23日夜安値107.34円割れからは弱気サイクル入りとして24日夕から28日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では107.50円を挟んだ持ち合い相場が続いているため方向感に乏しい。4月16日高値を超えて続伸に入るところからは持ち合い上放れとなるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、23日夜安値107.34円割れからは下げ再開をみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は23日夜の反落時に30ポイントを割り込んだがその後の反騰で50ポイント台を回復、24日朝は50ポイント前後で様子見の動きとなっている。持ち合い上放れに入れば70ポイント前後を目指すとみるが、50ポイント前後で膠着状態のうちは下向きとし、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月23日夜安値107.34円を下値支持線、4月16日高値108.08円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円以上での推移中は上向きとし、108.08円超えからは持ち合い上放れとして当初108.50円前後試しを想定する。108.50円前後は戻り売りも出やすいとみるが、108円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすくなるため、4月6日高値109.37円を目指す可能性も出てくるのではないかと考える。
(3)107.34円割れからは下げ再開とみて4月15日安値106.91円試しを想定する。106.91円割れからはダブル底破れによる一段安入りとなるので106円台前半、さらに先行きで105円台を目指す流れへ進むとみる。

【当面の主な予定】

4/24(金)
13:30 (日) 2月 全産業活動指数 前月比 (1月 0.8%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.3%、予想 -4.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 0.0%、予想 -4.7%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -0.5%、予想 -3.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 0.5%、予想 -4.7%)
17:00 (独) 4月 IFO景況感指数 (3月 86.1、予想 80.0)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 1.2%、予想 -11.9%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 -0.6%、予想 -5.8%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報値 (速報 71.0、予想 68.0)

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