2018年夏に発生したトルコショック以来の安値を試す展開
今週のレビュー(4/20−4/24)
今週のトルコリラ円相場は、週初15.51円で寄り付いた後、早々に高値15.69円まで上昇しました。しかし、先週末金曜日(4/17)に記録した高値15.78円をバックに伸び悩むと、@新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気下押し懸念(※トルコ国内の感染者数は10万人を突破し、イランを抜いて中東最大に)や、Aエルドアン大統領による「4/23から4日間、主要都市のロックダウンを実施」との発言、B原油先物価格の暴落(史上初となるマイナス価格を記録)を受けた資産現金化の流れが重石となり、4/21には、2018年夏のトルコショック以来となる安値15.35円まで下落しました。その後も、Cトルコ中銀による追加利下げ(市場予想を上回る100bpの利下げを実施。政策金利は8.75%へ)を背景に上値は重く、結局15.39円での越週となっております。
来週の見通し(4/27−5/1)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した高値18.44円をトップに反落に転じると、今週前半(4/21)にかけて、約1年8ヶ月ぶり安値となる15.35円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(2018年8月のトルコショック時に記録した安値15.31円が射程圏内)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(都市封鎖を通じた景気下押し圧力)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(外貨準備は2月以降急減中)、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(直近9ヶ月間で計1525bpの利下げ幅)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した世界的なリスク回避ムード(トルコの感染者数が中東最大規模へ急増)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した投資家心理の悪化や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力(トルコへの投資妙味の減退)、同国感染者数の急増を受けた景気下押し圧力(株安・通貨安・債券安のトリプル安)は続くと見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(2018年8月に記録した安値15.31を割り込む展開を想定)。尚、来週は4/30に発表されるトルコ・3月貿易収支、トルコ中銀・インフレレポート、トルコ中銀・金融政策決定会合議事要旨に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):15.00ー15.60
トルコリラ円日足
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