南アランド週報:『大型景気対策発表も上値は重い。史上最安値更新が射程圏内』(4/25朝)

南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「続落リスク」が警戒されます。

南アランド週報:『大型景気対策発表も上値は重い。史上最安値更新が射程圏内』(4/25朝)

大型景気対策発表も上値は重い。史上最安値更新が射程圏内

来週の見通し(4/27−5/1)

今週の南アフリカランド円相場は、週初5.71円で寄り付いた後、早々に週間高値5.76円まで上昇しました。しかし、@新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した南アフリカ経済への下押し圧力(ラマポーザ大統領は「アフリカ大陸は新型コロナウイルス脅威に対して脆弱であり支援を必要とする」と発言)や、A原油先物価格の暴落(史上初となるマイナス価格を記録)を受けた資産現金化の流れ、B先週発表された南アフリカ準備銀行(SARB)による緊急利下げ(5.25%→4.25%へのサプライズ利下げ)、C南アフリカ航空のリストラ発表(全従業員の解雇など)、D南アフリカ・3月消費者物価指数(結果4.1%、予想4.2%)の伸び率鈍化(更なる追加利下げを想起)、

E南アフリカ国内における都市封鎖(ロックダウン)の延長(今月末まで)が重石となり、週後半にかけて、約3週間ぶり安値となる5.61円まで下落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局5.64円での越週となっております。尚、南アフリカ政府は4/22、総額5000億ランド(≒2兆8500億円)規模の大型景気対策を発表しましたが、市場の反応は限定的となりました(財源不足のため、5000億ランドの内、3700億ランドを世界銀行やIMFからの借り入れで対応する計画)。

来週の見通し(4/27−5/1)

南アフリカランド円相場は、2/21に記録した高値7.48円をトップに反落に転じると、4/6には史上最安値となる5.60円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状が続いております(現在も安値圏での推移が続いており、史上最安値更新が射程圏内)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFやムーディーズは南アフリカ経済見通しを大幅下方修正。長引くロックダウンも同国経済に下押し圧力)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速)、B米中対立再燃リスク(米中対立リスクが再燃すれば、経済的な結びつきの強い南アフリカ経済に悪影響が及ぶ恐れ)、Cムーディーズによる格下げを受けたWGBI(World Government bond Index=世界国債インデックス)から除外決定(WGBIの構成見直しは4月末予定)、D中東を巡る地政学的リスク、E南アフリカ国内における感染者数の増加リスク、F南アフリカ国債利回りの上昇に伴う財政赤字拡大懸念など、不安材料は山積みです。

以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「続落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた南アフリカ経済の下押し圧力や、ムーディーズによる格下げ決定を受けた「株安・通貨安・債券安」のトリプル安(南アフリカ・SELL)の流れは続くと見られ、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は史上最安値更新を想定)。尚、来週月曜日(4/27)・来週金曜日(5/1)は南アフリカ市場の休場となります。

来週の予想レンジ(ZARJPY):5.30ー5.90

大型景気対策発表も上値は重い。史上最安値更新が射程圏内

南アフリカランド円

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