ドル円見通し 107円台の持ち合いからそろそろ動きだすところか(週報4月第四週)

4月24日はNYダウが前日比260.01ドル高と上昇して4月22日から3日続伸となった。

ドル円見通し 107円台の持ち合いからそろそろ動きだすところか(週報4月第四週)

ドル円見通し 107円台の持ち合いからそろそろ動きだすところか

【概況】

ドル円は4月15日午前安値で4月2日未明安値と同値の106.91円を付けたものの安値更新をひとまず回避して戻したが、4月16日午後高値108.08円と17日朝高値108.07円でダブルトップ気味に上値が抑えられ、その後も107円台を中心とした持ち合いにとどまっている。4月23日夜には日銀の無制限国債購入検討報道等で108.02円を付けたものの108円台を維持できずに失速し、24日の日中は107.50円を上回って推移していたが25日早朝は107.50円を割り込んで終了している。

【株式市場の持ち直し傾向には同調せずにドル円は横ばい】

4月24日はNYダウが前日比260.01ドル高と上昇して4月22日から3日続伸となった。22日は米製薬会社ギリアド・サイエンシズによる抗ウィルス剤の中国での治験失敗報道から上げ幅を大きく削っていたが、24日は5月中旬にも同社の治験結果が判明すると報じられたために期待が持ち直した。トランプ大統領が4840億ドルの感染対策法案に署名したことや4月の米ミシガン大消費者信頼感指数が速報値の71.0から71.8へ改善して市場予想の68.0を上回ったことも株高に寄与した。
しかし、株高にもかかわらずドル円は動かずに終わった。リーマンショック後のように暴落相場から出直ることにやや楽観が先行している株式市場に対して為替市場は慎重だ。米経済指標も市場予想よりも良い場面もあるものの軒並み悲惨な状況にある。24日の米商務省による3月の耐久財受注も前月比14.4%減となり5年7か月振りの悪さだった。

4月23日に発表された4月18日までの米週間新規失業保険申請は442万7000件となり前週の523万7000件を若干下回ったもののかつてない急激な失業者増加であり、3月中旬から5週間の累計は約2600万件に達している。1週遅れの統計となる4月11日までの週間失業保険受給者総数は1597万6000人となったが、2000万人超えも確実な様相だ。
米議会予算局(CBO)は4月24日、2020会計年度(19年10月−20年9月)の連邦財政赤字が過去最大の3兆7000億ドル(約398兆円)に達するとの予想を示したが、これは第2次世界大戦以来の赤字規模となる。また同局長は2020年4-6月の米GDPを年率換算で39.6%減とし、失業率は7-9月期に16%に達するとの見通しも示した。

感染爆発が峠を越え、治療薬開発が進み、経済封鎖が解除される見込みが現実味を持てば一挙に株高へと走る可能性はあるだろうが、感染爆発の惨状は続き、中東や中南米、アフリカへと拡大し、それらがまた欧米へ第二波、第三波を招くのではないかとの懸念もある。株式市場が再び失望へ陥れば、金融市場全般の萎縮が進み、投資マネーの還流、リスク回避による総崩れも懸念されるが、その際にドル円がリスク回避通貨として買われるのか、3月9日から急騰したようなドル高によって円売り反応となるのか、あるいは日本の感染拡大が一段と深刻化する中で日本売り的な円安が発生するのか、まだ定まっていない状況と思われる。

【4月27日、日銀金融政策決定会合】

4月23日夜、日銀が4月27日の金融政策決定会合で80兆円のマネタリーベース増加目標を撤廃し無制限の国債購入やCP・社債の購入額倍増を検討していると一部報道があり、ドル円が108.02円まで一時的に上昇してすぐに失速する状況があった。
日銀は現状において既に年80兆円規模の国債購入を可能と打ち出してきたが、現実には10兆円強程度の購入にとどまっており、80兆円規模というのも形骸化している。コロナショック対策で政府が100兆円を超える大規模経済政策を打ち出してそのすべてを日銀が引き受けるとするか、休業補償財源等に苦しむ地方自治体に対して無制限の地方債購入等を打ち出し、米連銀並みの対応姿勢を示すならばコロナショック不況を耐えきって復興相場を期待するような展開になるかもしれないが、これまでの政府による財政支出姿勢を見る限りは現実味は薄いだろう。

【宙づりの持ち合いに決着つけるか?】

ドル円は2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円へ10.98円の急落、3月24日高値111.71円へ10.48円幅のV字反騰、4月1日(2日未明)安値106.91円まで4.80円幅の反落となり、その後は膠着状態での横ばいが7日間続いている。ダブルボトム型で下げ渋ったもののその後が横ばいにとどまっているため、現状は宙づり状態にある。106.91円を割り込めば3月24日高値からの下落は二段下げに入り、円高感が強まって3月9日安値を目指す下落期に入る可能性が高まるが、4月16日高値108.08円を超えればここ7日間の持ち合いから上放れに入って4月6日高値試しへ向かい、4月6日高値も上抜けばダブルボトム完成による円安感が一挙に強まると思われる。

凡そ1円弱の値幅での持ち合いが丸7日間も続いているのだが、2月20日高値へ一段高する直前の2月6日から2月18日までの9日間も同様のケースでの持ち合いだった。持ち合い放れからは2円強の急騰だったので、今回も持ち合い放れ発生からはまず2円強の値動きを想定する。2月20日の場合はその後に揺れ返しで暴落に転じてるので、新たな乱高下開始の合図になるかもしれないが、いずれにしても大きく動き出す前夜情勢と思われる。相場はいつまでも煮詰まってはいられずに持ち合いを放れるものだ。

【当面のポイント 持ち合い放れにつく】

【当面のポイント 持ち合い放れにつく】

(1)4月15日安値106.91円と4月16日高値108.08円の範囲内での推移中であり、この持ち合い放れからの流れに追従するスタンスで構えるところと考える。
(2)4月25日早朝安値107.33円を割り込む場合は106.91円試しとし、安値更新からは持ち合い幅の倍返し105.74円、次いで4月1日夜から4月6日への上昇幅の倍返しで104.45円前後を目指すとみる、先行きは3月9日安値101.23円を目指す流れと考える。
(3)4月16日高値108.08円超えからは持ち合い上放れとして4月6日高値109.37円試しを想定する。4月6日高値を超える場合は4月1日夜と15日午前の両安値によるダブルボトム完成となるので110円超への上昇へ進み、先行きは3月24日高値111.71円を目指す流れと考える。(了)<27日1時>

【当面の主な予定】

4/27(月)
休場ニュージーランド、南ア、
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見

4/28(火)
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
08:30 (日)) 3月 失業率 (2月 2.4%、予想 2.5%)
08:30 (日) 3月 有効求人倍率 (2月 1.45、予想 1.40)
22:00 (米) 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (1月 3.1%)
23:00 (米) 4月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (3月 120.0、予想 90.0)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 2、予想 -35)

4/29(水)
休場、日本
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 5.94億NZドル)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前期比 (前期 0.7%、予想 0.1%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (前期 1.8%、予想 1.9%)
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 94.5)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感・確定値 (速報 -22.7)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前月比 (3月 0.1%)

21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 1.4%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (前期 2.1%、予想 -3.7%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比 (前期 1.8%、予想 -1.3%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比 (前期 1.3%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 2.4%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 11.5%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

4/30(木)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前月比 (2月 -0.3%、予想 -5.2%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (2月 -5.7%、予想 -8.0%)
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年同月比 (2月 1.7%、予想 -4.6%)
08:50 (日) 3月 百貨店・スーパー販売額 前年同月比 (2月 0.2%、予想 -7.0%)
10:00 (中) 4月 製造業PMI (3月 52.0)
10:30 (豪) 1-3月期 四半期輸入物価指数 前期比 (前期 0.7%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 -12.3%、予想 -16.0%)
14:00 (日) 4月 消費者態度指数・一般世帯 (3月 30.9、予想 33.5)

16:55 (独) 4月 失業者数 前月比 (3月 0.10万人、予想 15.00万人)
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 5.0%、予想 5.3%)
18:00 (欧) 3月 失業率 (2月 7.3%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (前期 0.1%、予想 -4.2%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (前期 1.0%、予想 -3.6%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 0.7%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (3月 1.0%)

20:00 (メ) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (前期 -0.1%)
20:00 (メ) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (前期 -0.5%)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 3月 個人所得 前月比 (2月 0.6%、予想 -1.5%)
21:30 (米) 3月 個人消費 前月比 (2月 0.2%、予想 -4.2%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前年同月比 (2月 1.8%、予想 1.4%)
21:30 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 3月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (2月 1.8%、予想 1.5%)
21:30 (米) 1-3月期 雇用コスト指数 前期比 (前期 0.7%、予想 0.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 442.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1597.6万人)
22:45 (米) 4月 シカゴ購買部協会景況指数 (3月 47.8、予想 40.0)

5/1(金)
休場、シンガポール、中国、香港、トルコ、スイス、フランス、ドイツ、メキシコ、南ア
08:30 (日) 4月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (3月 0.4%、予想 0.1%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (前期 0.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.4%)
17:30 (英) 4月 製造業PMI改定値 (速報 32.9)
22:45 (米) 4月 製造業PMI改定値 (速報 36.9)
23:00 (米) 3月 建設支出 前月比 (2月 -1.3%、予想 -3.6%)
23:00 (米) 4月 ISM製造業景況指数 (3月 49.1、予想 37.5)

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