来週の為替相場見通し:『日米欧金融政策イベントに注目。催促相場に要警戒』(4/25朝)

ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重い」展開が想定されます。

来週の為替相場見通し:『日米欧金融政策イベントに注目。催促相場に要警戒』(4/25朝)

日米欧金融政策イベントに注目。催促相場に要警戒

今週のレビュー(4/20−4/24)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初107.57で寄り付いた後、@新型コロナウイルスの感染拡大を受けたリスク回避ムードや、A原油先物価格の急落(WTI原油先物価格が一時史上初となるマイナス圏に沈んだこと)を受けた投資家心理の悪化、B米・3月シカゴ連銀全米活動指数の急低下(2009年1月以来となる低水準)、C上記@ABを受けた株価の下落が重石となり、翌4/21には、約1週間ぶり安値となる107.28まで下落しました。しかし、心理的節目107円ちょうどをバックに下げ渋ると、Dトランプ米政権が5000億ドル規模の追加対策(新型コロナ対策第4弾)に合意したことや、E一部メディアによる「日銀が4/27の金融政策決定会合で無制限の国債購入及び、CP・社債の購入上限額倍増など追加金融緩和を検討」との報道が支援材料となり、4/23には一時108.04まで上昇する場面も見られました。もっとも、108円台では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、再び反落。結局107.54まで押し戻されての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0875で寄り付いた後、早々に週間高値1.0898まで上昇しました。しかし、心理的節目1.0900をバックに伸び悩むと、@原油先物価格の暴落(WTI原油先物価格が史上初となるマイナス圏に沈んだこと)を受けた投資家心理の急速な悪化や、Aユーロ圏・4月消費者信頼感指数の急低下(2009年3月以来となる低水準)、Bイタリアやスペインにおける新型コロナウイルスの感染拡大、Cスペイン議会による都市封鎖延長(5/9まで)、Dユーロ圏経済指標の冴えない結果(フランス・4月製造業およびサービス業PMI、ドイツ・4月製造業およびサービス業PMI、ユーロ圏・4月製造業およびサービス業PMIが軒並み急低下)、

EEU首脳会合にて「新型コロナ対策案について合意に至らなかった」ことに伴う失望感、Fドイツ・4月IFO企業景況感指数が史上最低水準に落ち込んだこと等が重石となり、週末にかけて、約1ヶ月ぶり安値となる1.0727まで急落しました。もっとも、その後は、Gイタリア国債がジャンク級に格下げされる可能性が低下したことや、H上記Eが最終合意に至るとの期待感が下値を支え、結局1.0821まで持ち直しての越週となっております。

来週の見通し(4/27−5/1)

<ドル円相場>
ドル円は、4/6に記録した高値109.39をトップに反落に転じると、4/14には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(足元107円台半ばへ持ち直すも戻りは鈍く、200日線やボリンジャーミッドバンドをバックに上値の重い展開が続くと予想されます)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、大規模緩和を続ける米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大長期化懸念(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(逆オイルショック)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力。来週以降、本邦主要企業の決算発表が複数予定)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重い」展開が想定されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション入り懸念(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、引き続き、新型コロナウイルスを巡るヘッドラインや、原油先物価格および世界的な株価の動向、日米欧の金融政策動向(4/27の日銀金融政策決定会合、4/28ー4/29のFOMC、4/30のECB理事会)を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、日銀金融政策決定会合では、4/23に一部報じられた通り、追加緩和(国債購入及び、CP・社債の購入上限額の変更など)発表の可能性が高まりつつあります。しかし、既に大規模パッケージを発表しているFRBなどと比べるとサプライズ感は見られず、「追加緩和発表→更なる追加緩和催促→円買い」の波及経路(催促相場)に注意が必要でしょう(FOMCについては一旦様子見姿勢に入ると想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):106.00ー109.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、4/15に記録した約2週間ぶり高値1.0991をトップに反落に転じると、今週末(4/24)にかけて一時1.0727まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、3/23安値と4/6安値を結んだサポートラインも下方ブレイクするなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(引けにかけて持ち直すも戻りは鈍い)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感(IMFは世界経済見通しの中でユーロ圏の成長率予測を大幅に下方修正。ユーロ圏の2020年見通しは▲7.5%成長予測)や、AECBによる金融緩和長期化観測(4/30に開催されるECB理事会での追加緩和観測は根強い)、B英合意なき離脱の再燃リスク、C新型コロナウイルスの感染防止を目的としたロックダウン及び外出規制の長期化リスク、D原油先物価格の下落を受けたリスク回避ムードの再燃リスク(対ユーロでのドル買い・円買い)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的でも、「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルス関連のヘッドライン(欧州圏における外出制限の撤廃時期など)や、欧米株及び欧米長期金利の動向(特にドイツと周辺国の利回り格差)、4/30に開催予定のECB理事会(資産買入増額を発表する公算大)を睨みながらも、来週はユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避ムード再燃→ユーロ円下落→ユーロドル下落の波及経路)。但し、月末ロンドンフィキシングに向けた一時的な需給の偏り(ドル売り・ユーロ買いなど)には注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0700−1.1000

日米欧金融政策イベントに注目。催促相場に要警戒

ドル円日足

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