トルコリラ円見通し 4月21日夜安値以降の持ち合い続く(20/4/27)

24日深夜には15.34円まで下げて21日夜安値への余裕が乏しくなった。

トルコリラ円見通し 4月21日夜安値以降の持ち合い続く(20/4/27)

【概況】

トルコリラ円は4月16日早朝安値15.46円で2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値15.52円を割り込み、4月21日夜には15.32円まで安値を更新した。その後は15.40円を挟んだ持ち合いでほぼ横ばいの推移が続いている。4月22日夜にはトルコ中銀が8会合連続の利下げを行ったもののトルコリラ円では目立った動きにならず、4月23日夜にドル円が一時108円を超えたところで15.53円まで上昇したものの勢い付かず、24日深夜には15.34円まで下げて21日夜安値への余裕が乏しくなった。
4月21日夜安値への下落により2018年8月のトルコ通貨危機でつけた安値を割り込んで史上最安値を更新している。ベンダーによってはまだ底割れに至っていないところもあるが、史上最安値近辺まで下げて下げ渋りの横ばいにとどまっている現状は、いずれにしてももう一段安へ進んで史上最安値を試して行く展開が懸念される姿と思われる。

【ドル円の持ち合い放れ待ち】

ドル円は4月15日午前に106.91円を付けて4月1日夜安値と同値としたが底割れを回避してその後の7日間は107.50円を挟んでほぼ横ばいの推移にとどまった。高安レンジが1円に満たない持ち合いであり、そろそろその持ち合いも煮詰まって持ち合い放れを発生させるところに近づいていると思われる。
4月27日午前には日銀金融政策決定会合があり、日銀が無制限の国債購入や企業支援への有効な手立てを打ち出すのかどうか注目されている。昨年10月の消費税増税により落ち込んだ日本経済をコロナショックが直撃しているため、リーマンショック時を超える不況入りへの警戒感が強まる中で日銀もあらゆる手を打ち出したいところだが、既に国債買い入れ年80兆円規模という上限についても現実的には10兆円規模の実施にとどまっていること、政府が現状で出しているコロナ対策予算案についても復興需要刺激策を入れても新規国債発行額が30兆円前後規模にとどまっているため、新たな金融緩和策とは受け止められずに手詰まり感を露呈する可能性もある。

コロナショックに対するドル円の立ち位置はまだ不安定であり、2月20日から3月9日への急激な円高、その後の急激な円安と反落というように、リスク回避の円高・クロス円の買い戻し優勢の展開になるのか、ドル全面高ないしはドル全面安の流れに同調するのかははっきりしない。当面は4月15日安値以降の持ち合いを上下いずれへ抜けるのかにより、トルコリラ円の方向性も大きく左右されると思われるが、特にドル円が持ち合い下放れに入る場合はトルコリラ円の下落も加速しかねないと注意する。

【新興国通貨安とトルコリラ安は続く】

トルコリラは2018年8月のトルコ通貨危機の際に対ドルで7.2349リラの史上最安値を付け、同年11月へいったん反発したが、その後はドル高リラ安基調を続け、今年に入ってからはトルコ中銀の利下げ継続、米国とイランの一時的な軍事衝突、シリア情勢を巡るロシアとの対立等を背景にリラ安が進み、コロナショックによる新興国通貨全面安の流れにより下げ足を速めてきた。
コロナショック対策で世界的な利下げ・金融緩和政策が拡大する中でトルコ中銀も金融政策決定会合毎の利下げを続けて4月22日には8会合連続の利下げに踏み切ったが、新興国通貨安が危険な領域に入る中での利下げ断行によりトルコの実質金利の低さが際立つこととなり、リラ売りに拍車がかかっている。
4月22日に7.0097リラの安値を付けて2018年8月以来の7リラ台への下落となり、その後は新たな安値更新を回避しているもののリラ安ドル高基調は継続している印象だ。

新興国通貨安ではブラジルレアルの下落が目立っており、4月24日には対ドルで史上最安値を更新している。南アランドも4月6日に付けたばかりの史上最安値に再び迫っている。中南米や中東、アフリカへの感染拡大、コロナショックによる経済活動の世界的停滞と新興国投資マネーの逆流による新興国通貨売りの流れは収まりが見えない印象だ。

【トルコ国内の感染拡大と経済停滞】

4月24日にはトルコの4月景況感指数の発表があったが、前月の99.7から66.8へ大幅低下して市場予想の80を下回った。設備稼働率も61.6%となり前月の75.3%から悪化して市場予想の72.57%を下回った。
トルコ国内の感染拡大は3月後半から徐々に始まり、4月に入って爆発的に増えている。このため3月までの経済指標は現在の停滞状況を反映していないが、今後の経済指標は徐々に実態を反映してくると思われる。

4月27日早朝時点での世界の感染者数は299万人を超え、死者は20万人を超えた。米国は感染者が98.6万人台に増加、死者も5万5396人となった。米国は感染拡大の峠を越えて経済活動を再開させたいという動きもみられるがまだ感染増加に歯止めがかかったとは言えない状況だ。
トルコは感染者数が11万130人となり前日からの増加数は2357人だった。一時は増加数が4000人を超える状況が続いて4月11日には5138人増ということもあったが、4月22日からは3000人前後へ落ち着いている。ただ、4連休のロックダウン中であり、ロックダウン明けに感染者が急増するようだと状況がさらに悪化しかねないと思われる。
トルコは4月23日から26日までの4日間を全国31都市でロックダウン(都市封鎖)した。3週連続の週末ロックダウンであり、ロックダウン中の動静についてはまだ報道が見られない。感染爆発の峠を越える兆しがあるのかどうか連休明けのデータに注目したい。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月21日夜安値の後は新たな安値更新を回避しての推移が続いたために22日午前時点では21日夜安値で直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
4月23日夜へ戻り高値をいったん切り上げてから21日夜安値へ迫るところまで下げたため、23日夜高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は4月24日夜から28日夜にかけての間と想定されるので既にサイクルボトムを付けた可能性があるが、23日夜高値を超えないうちは一段安余地が残る。23日夜高値超えからは強気サイクル入りとして28日夜から30日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い相場のために遅行スパン及び先行スパンが実線と交錯を繰り返しているが、27日朝時点では遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパン突破からは戻りを試しにかかるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は24日深夜に30ポイント台前半へ低下したがその後は50ポイントまで戻している。55ポイント超えからは上昇継続の可能性が高まるとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月21日夜安値15.32円を下値支持線、23日夜高値15.53円を上値抵抗線とする。
(2)15.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、15.32円割れからは15.20円前後への下落を想定する。15.20円以下は反発注意だが、先行きは15円試しへ向かう流れと考える。
(3)15.50円超えからは上向きとし、23日夜高値15.53円超えからは15.60円前後への上昇を想定する。15.60円以上は反落警戒とするが、15.50円以上での推移が続く場合は28日の日中も高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

4月29日
 16:00 4月経済信頼感指数 (3月 91.8、予想 65.0)
4月30日
 16:00 3月貿易収支 (2月 -29.8億ドル)
 16:00 第1四半期観光収入
 16:30 トルコ中銀インフレレポート
 17:00 3月観光客数・年率 (2月 3.8%、予想 -30.0% 
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(MPC)議事要旨
5月04日
 16:00 4月消費者物価 前年比 (3月 11.86%)
 16;00 4月消費者物価 前月比 (3月 0.57%)
 16:00 4月生産者物価 前年比 (3月 8.5%)
 16:00 4月生産者物価 前月比 (3月 0.87%)

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