サプライズがなければもみあい継続(週報4月第4週)

先週のドル円は、107円台前半の買いと後半の売りに挟まれ、方向感が出にくい一週間となりました

サプライズがなければもみあい継続(週報4月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、107円台前半の買いと後半の売りに挟まれ、方向感が出にくい一週間となりましたが、週間レンジも76銭に留まり久しぶりに落ち着いて以前の動かないドル円に戻ったかのような週でした。今週も気になるイベントが控えていることや、東京市場では非常事態宣言下でのゴールデンウィークで多くの企業の活動が一段と低下することを見越してポジションも傾かない状況になったと見ることが出来そうです。

そして、今週は月曜に日銀の金融政策決定会合がありますが、FRBやECBに続いて国債購入額の上限を撤廃することや社債の購入を拡げることによる資金供給のコミットといったところは既に想定されているものですが、それに加えて新たなものが出てくるとも思えませんので、予想通りで波乱無しの発表となる可能性が高いように思えます。

また国内関連の経済指標では明日の失業率、1日の東京区部CPIといったあたりが目立つものですが、日本の場合欧米に比べて雇用がそれほど流動的ではないこともありますし、非常事態宣言が出る前の数字であることを考えると驚くような数字が出てくるとも思えません。またCPIも単月の数字でどうこうというものでもありませんので、基本的には大きな材料とはなりにくいように思えます。

外部要因としては水曜にFOMCと週間原油在庫の発表があります。FRBは既に打てる手を全て打ってきた状態ですが、今回のFOMCではマイナス金利を導入するのではないかという見方も出ています。しかし、マイナス金利は欧州や日本の導入後の効果を見ても決して効果があるとは言えない状況ですし、マイナス金利を導入することによる金融機関のシステム面での問題につながることも考えられます。これまでも米国はマイナス金利の導入には否定的だったことから、可能性としては低いのではないかというのが個人的な見解です。おそらくは、これまでの施策に対する経過観察と今後起こりうるリスクの分析と対処策を市場に対して示すことで終わるのではないかと思います。

また木曜にはECB理事会がありますが、ECBもこれまで追加緩和として様々な手を講じてきましたが、緊急資産購入プログラムの枠(7500億ユーロ)を増額する可能性が高いと見られています。金利には手を付けず、枠を2500億〜倍増することで市場の安定化を図りつつ機動的に債券購入を行う方向性を示すと思われます。日本、米国、欧州と今週は主要3極の中銀が市場に安心を与える動きに対して、株式市場を中心にどのような動きが出てくるのかそれ次第です。

経済指標も連日出てきますが、悪い数字が出てくるのは当然という状況ですから、予想に対して多少の上下があってもあまり材料とはならないでしょう。テクニカルには日足チャートをご覧ください。

4月に入ってからのレンジは着実に狭くなってきていて、下降ウェッジの中で膠着状態を示しています。どちらかに抜けた方向に動くと見るのが妥当ですが、今週来週と非常事態下のゴールデンウィークで、国内企業の活動は一段と低下することが予想されますし、取引自体も低調になってくると考えらえます。おそらくはどちらに抜けても大きくはレンジを伸ばすことなく横方向への動きを続ける可能性が高そうです。

もし一連の金融政策でサプライズがある場合、またどうなっているのかは誰にもわからないのですが、北朝鮮の金正恩死亡が事実となる場合には、一時的に近場のリスクオフ材料として日本株売り、円売りという動きになる可能性があり、動くとすれば北朝鮮材料と言えそうです。

今週はサプライズが無い前提で、107.00レベルをサポートに、108.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月27日(月)
**:** NZ市場休場
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見


4月28日(火)
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
15:45 フランス4月消費者信頼感
22:00 米国2月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国4月消費者信頼感
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業景況指数
**:** FOMC(〜29日)

4月29日(水)
**:** 東京市場休場
07:45 NZ3月貿易収支
10:30 豪州1〜3月期CPI
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感
21:00 ドイツ4月CPI速報値
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
23:00 米国3月住宅販売保留件数
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

4月30日(木)
**:** 香港市場休場
10:00 中国4月製造業PMI
10:30 豪州1〜3月期輸入物価指数
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:45 フランス4月CPI速報値
15:45 フランス3月PPI
16:00 トルコ3月貿易収支
16:55 ドイツ4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値
18:00 ユーロ圏3月失業率
20:45 ECB理事会
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 ラガルドECB総裁会見
21:30 米国3月個人所得・消費支出
21:30 米国1〜3月期雇用コスト
22:45 米国4月シカゴ購買部協会景況指数

5月1日(金)
**:** 中国、香港、シンガポール、欧州市場休場
08:30 本邦4月東京区部CPI
10:30 豪州1〜3月期PPI
17:30 英国4月製造業PMI
22:45 米国4月製造業PMI
23:00 米国4月ISM製造業景況指数
23:00 米国3月建設支出

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月20日(月)
ドル円は仲値に向けて実需のドル買い、買い先行の株価にも引っ張られ107円台半ばから107.78レベルの高値をつけました。その後は高値圏でのもみあいを続け、東京後場には107.95レベルの高値をつけましたが、108円台では売りも見られ海外市場以降は107円台後半の狭いレンジの中でもみあいを続けました。


4月21日(火)
ドル円は前夜の原油価格がマイナスとなった動きにも影響無く、NY後場以降は仲値過ぎまで狭い値幅でのもみあいを続けていました。東京の昼前に米国TV局が相次いで北朝鮮の金正恩が重体、脳死かといったニュースを流し、それを受けリスクオフの動きから株安・そして円高の動きとなりました。欧州市場まで株価とともにじり安の展開を辿り、一時前日安値を割り込み107.28レベルの安値をつけましたがそこまで。NY市場に入ると日計り組の買い戻しに加え、ユーロ円が上昇した動きにも引っ張られNY昼過ぎには107.89レベルの高値をつけたものの、前日高値を抜けられないままやや押して引けました。

4月22日(水)
ドル円は前日の上げに対する調整と上値の重たい株価が意識され東京市場ではドル売りが続き、欧州市場序盤には107.51レベルの安値をつけました。海外市場に移ってからは株価指数先物が上昇する動きを見て、NY市場前場には107.94レベルの高値をつけましたが、108円台では相変わらずドル売りオーダーが並んでいることもあって引けにかけては押し、東京朝方の水準で引けました。


4月23日(木)
ドル円は東京市場では動かず、欧州市場序盤にユーロ円の売りに引っ張られての円買いに。NY市場の朝方には107.35レベルの安値をつけましたが、日銀が週明けの会合で国債購入額の上限撤廃等、追加緩和策を示すとのヘッドラインに反応し、108.05レベルへと急速に円売りが見られました。しかし、108円台ではドル売りオーダーが見られたこと、引けにかけては株安の動きも重なって円高へと転じ、NY市場で買われる前の水準に押しての引けとなりました。

4月24日(金)
ドル円はNY市場までは底堅さはあったもののほとんど動かない状態が続きました。NY市場に入りNY前場は株安とユーロドルの買い戻しをきっかけに押しが入り、後場は週末前のポジション調整による売りが見受けられたものの前日安値は抜けられずと、比較的静かな動きの週末相場となりました。

ディスクレーマー

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