ユーロ週報「もみあいが基本も下値をトライする可能性あり」 (4月第4週)

先週のユーロは、ドル円が狭いレンジで方向感が無いのとは対照的に、値幅は伴わなかったものの週初から金曜欧州市場序盤まで一貫してユーロが売られる流れが続きました。

ユーロ週報「もみあいが基本も下値をトライする可能性あり」 (4月第4週)

もみあいが基本も下値をトライする可能性あり

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、ドル円が狭いレンジで方向感が無いのとは対照的に、値幅は伴わなかったものの週初から金曜欧州市場序盤まで一貫してユーロが売られる流れが続きました。これは、弱い経済指標とスペインで新型コロナウイルスの感染者が増加に転じる動きなど、材料的にはこれまでと同じということは可能ですが、主要国において欧州がドイツを除くと最も景気への悪影響が大きいという認識が強いということがあります。

また、テクニカルにもここ2週間は下げていますが、3週間前に1.07台後半から1.09台後半まで買い戻しが入ってからの下げとなったことで、3月高値から着実に高値を切り下げる弱い動きになっていたところに4月安値を更新する動きが重なり、ユーロ売りに回った市場参加者が増えてきているということも影響していると見ています。

今週は月曜の日銀、水曜のFRBに続いて木曜にはECB理事会がありますが、事前の思惑としては日銀が国債購入の上限撤廃と社債購入範囲の拡大、FRBはこれまでの政策をコミットする程度で、ECBは緊急資産購入プログラムの枠(7500億ユーロ)の増額がコンセンサスと言えます。最低でも2500億、多くは5000億ユーロ以上の増額を見込んでいますが、やはり欧州の状況が最も厳しいという現状を考えると倍増までの可能性はあるかと思います。

また欧州は各国の集合体であるため、機動的に動きにくい上に規律も厳しいということがネックとなる可能性もあるため、不安につながり得ることはすべて棚上げして今は景気回復に向けて取れる手段は何でも取るという方向は間違いないでしょう。ただ、それで市場が反応するかというと好材料ではあるものの、ユーロ買いにまではつながらないというところでしょうか。また、例年とは違いますが、1日はメーデーで英国を除いて欧州は休日となり、実質的に4日しかない月末となることから、積極的には動きにくい一週間となりそうです。

週前半はドル売りの動きからユーロドルは買いが先行しましたが、1.10の大台超えではユーロ売りオーダーも控えていた様子で、目前まで行ったところで折り返し、週後半は高値、安値とも切り下げる動きとなっていました。ドル円の上げに比べるとユーロの下げがやや強かった印象です、前週までのユーロ円の上げに対する売り直しもユーロドルの上値を抑える結果となったようです。

テクニカルには日足チャートを見ていきましょう。

もみあいが基本も下値をトライする可能性あり

3月末以降の動きは青で示した下降ウェッジの中で高値安値ともを切り下げる動きを続けていると見られます。すると下降の波動として2つの逆N波動を考えることが出来ますが、ひとつは3月高値、3月安値、3月末高値を3点とする動き(赤のターゲット)、もうひとつは3月末高値を起点に4月初めの安値、その後の戻しを3点とする動き(ピンクのターゲット)です。

すると前者の61.8%エクスパンションが1.0617、後者の100%エクスパンションが1.0612となりますので、1.0615前後の水準が今回の下値の目途という計算が可能です。その手前には3月安値の1.0637もあり、1.06台前半にはテクニカルなターゲットも集中しているため、下げる動きが出始めた時には気にしておくべき水準と言えるでしょう。一方で上値に関しては先週まで高値圏が続いた1.09前後が考えられます。

今週は動かない可能性もありますが、動くとしたら下値を拡大する可能性が高いと見て1.0690レベル(小さい逆N波動の78.6%エクスパンション)をサポートに1.0900レベルをレジスタンスとするレンジを見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の月足を見てください。ユーロドルは本文に示した通りで下値を試しやすいもののまだそこまでは行っていませんが、ユーロ円は既に昨年安値を下抜けています。より長期の視点で考えるとどうかを考えます。

もみあいが基本も下値をトライする可能性あり 2枚目の画像

現在の水準は2016年安値109.54と2018年高値137.50の78.6%(61.8%の平方根)押しの115.52と重なっています。またこの水準は2017年安値ともほぼ一致しているのですが、逆にここを下抜けると2016年安値までサポートがありません。

弱いユーロドルの動きに円高の動きが重なるとすると、株安がきっかけとなりそうですが、いまのユーロ円は長期的には110円の大台を視野に入れ始めているということを頭の片隅に入れておいた方がよいかもしれません。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

4月27日(月)
**:** 日銀会合結果発表

4月28日(火)
15:45 フランス4月消費者信頼感
**:** FOMC(〜29日)

4月29日(水)
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感
21:00 ドイツ4月CPI速報値
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表

4月30日(木)
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:45 フランス4月CPI速報値
15:45 フランス3月PPI
16:55 ドイツ4月失業率
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値
18:00 ユーロ圏3月失業率
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見

5月1日(金)
**:** 中国、香港、シンガポール、欧州市場休場
17:30 英国4月製造業PMI

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月20日(月)
ユーロドルは東京時間中にはあまり動かず、後場にドル円の動きと同様ドルの動きとしてユーロ売り後のユーロ買いとはなったものの、方向感がはっきりせず目立った動きが無いまま1.08台後半のもみあいに終止していました。

4月21日(火)
ユーロドルは東京前場に北朝鮮関連ニュースに反応してユーロ円が下げたことから、ユーロドルも引っ張られて売りが先行しました。その後、NY市場までは安値圏でのもみあいを続けていましたが、欧州市場から買いが目立っていたユーロポンドの動きがユーロ全般でのユーロ買いとなり、ユーロ円もユーロドルも東京朝方の水準に戻しての引けとなりました。

4月22日(水)
ユーロドルは、東京市場ではユーロ円が下げる動きからユーロドルも上値が重くなっていましたが、海外市場に入りユーロ円の上昇に転じるとユーロドルも1.0885レベルまで買い戻しが入りました。しかし、ユーロ圏の経済指標が予想よりも弱かったことをきっかけにユーロは再び売りに転じ、前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながらNY後場には1.0803レベルへと反落、引けにかけて若干戻しての引けとなりました。

4月23日(木)
ユーロドルは、東京後場に一時的な上下はあったものの欧州市場に入り欧州の弱い経済指標とスペインでの感染者が再び増加に転じた動きを嫌気してユーロが対ドル、対円で売られる動きとなりました。ユーロドルは一時1.0756レベルの安値をつけたものの、NY市場ではユーロ円の買い戻しに追随し一時的に反発。しかし、引けにかけては改めて売りが入り行って来いの動きとなりました。

4月24日(金)
ユーロドルは、欧州市場序盤に週間安値を更新する動きとともにテクニカルなユーロ売りの動きが見られましたが、1.0727レベルの安値をつけた後はすぐに元の水準へと戻し、逆にユーロ買いが目立つ流れへと転じました。週末を前に売った向きのストップもあり1.08台を回復後も底堅い動きとなり、1.0830レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

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