【概況】
ドル円は4月15日午前安値で106.91円を付けて4月2日未明安値と同値としたが、安値更新をひとまず回避した。4月16日午後に108.08円まで戻してから16日深夜に107.16円まで反落し、17日朝に再び108.07円まで戻したものの戻り高値切り上げへ進めずに17日夜には107.30円まで再び反落した。
4月20日は序盤に3月の本邦貿易統計で輸出が前年比11.7%減となったことからやや円安となり108円に迫ったものの届かず、夜はNYダウ下落や原油暴落によるリスク回避感からやや円高推移となったが107円台後半にとどまった。
【原油相場がマイナス価格という前代未聞の下落】
4月20日のNY原油先物では21日に納会を迎える2020年5月限が暴落した。先週末は1バレル18.27ドルだったが、納会前の買い方による投げ売りが殺到して10ドル割れ、1セント割れと暴落し、ついには取引所始まって以来のマイナス価格に入り、マイナス37.63ドルまで大暴落した。2番限の2020年6月限は前日比4.6ドル安の20.43ドルで終了しているので、納会まで時間がない中で反対売買を強いられた買い方が現物を引き当てるわけにもいかずに反対売買の損切売りに走ったことでパニックが発生したと思われる、取引所ルールとしてはあり得るマイナス価格取引だが、取引所始まって以来の事態となった。それだけコロナショックによる原油需要の長期低迷懸念、当面する在庫過剰が深刻であることを反映していると思われるが、コロナショックのによる経済活動の停止が急激に発生したために原油在庫は世界中であふれかえる状況に陥っている。
原油価格暴落も影響してNYダウは前日比592.05ドル安と下落し、米10年債利回りは株安債券高を反映して0.04%低下の0.61%となった。
コロナショックはリーマンショックのような時間をかけた金融資産バブルの崩壊ではなく、いきなり市場の予想を超える事態へ進んだ。リーマンショック後の金融市場全体の持ち直し経験から今回もコロナショック後の復興需要期待を先取りする動きもあるが、100年ぶりのパンデミックでありワクチン開発にも相当な時間がかかることや効果が不確実であること、経済活動停止をいったん緩めた後には第二波、第三波が発生しかねないことからいつ再びパニック的な金融市場動揺が発生しても不思議はないことを原油相場のマイナス圏への暴落が示唆したのではないかと思われる。
【ダブル底と三角持ち合い】
4月2日未明(4月1日付け日足)安値を割り込めば3月24日の戻り高値からの下落は二段下げ型へと発展して円高感が強まるところだったが、4月15日午前安値は同値で踏みとどまったことによりダブル底形成から持ち直す可能性が残った。
4月16日と17日の二度の108円超えは維持できなかったが、4月15日午前から16日深夜、17日夜と安値ラインはほぼ1直線であり、21日早朝へのややジリ安推移でもこの下値支持線を上回る状況を維持している。このため4月15日以降は108円強をフラットな上値抵抗線とし、ほぼ1直線で切り上がり気味の下値支持線により三角持ち合いを形成しているところといえる。
4月16日高値を超えて続伸に入れば三角持ち合い上放れとなり、ダブル底形成による揺れ返し上昇へ進む可能性がある。ダブル底完成にはその中間にある4月6日高値109.37円を超える必要があり、超えないかわずかに超えても失速する場合は、ダブル底というよりも107円弱から109円強までのレンジ内でのボックス型持ち合いに留まる可能性もある。
4月17日安値を割り込む場合は4月15日からの下値支持線割れ、三角持ち合い下放れにより下げ再開感が強まり、ダブル底ラインの106.91円を割り込めば3月24日高値からの下落が二段下げ型に発展して3月9日安値101.23円を再び目指す先安感が強まると思われる。いずれへ進むのか、方向感を探るところにあると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは4月15日午前安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇期に入ったが、4月16日と17日の両高値をダブルトップとして下落に転じた。しかし下値支持線切り上がり型の三角持ち合いを形成しているため、4月16日高値を超えないうちは支持線割れによる一段安入りが警戒され、16日高値を超える場合は持ち合い上放れによる上昇期入りへ進むことが考えられる。
4月16日高値を超えないうちはダブルトップからの弱気サイクル入りによる一段安余地ありとし、4月17日安値を割り込む場合は21日の日中から22日午前にかけての間への下落を想定する。また4月17日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとなりボトム形成期が22日夜から24日夜にかけての間へ延長される可能性も検討される。
4月16日高値超えからは強気サイクル入りとして21日の日中から23日午後にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では三角持ち合い中のために遅行スパンも先行スパンも実線と交錯して方向性に乏しい。4月16日高値超えからは持ち合い上放れに入るので遅行スパン好転中の高値試し優先とし、17日夜安値割れからは持ち合い下放れにより遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合い中のため50ポイントを挟んだ横ばいにとどまり方向感に欠ける。60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント超を目指し、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指すと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月17日夜安値107.30円を下値支持線、4月16日高値108.08円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円割れからは持ち合い下放れ警戒とし、107.30円割れからは下放れとして106.91円試しを想定する。106.91円割れからはダブル底破れによる一段安入りとなるので、106.50円、さらに先行きで105円台を目指す流れへ進むとみる。
(3)108.08円超えからは持ち合い上放れとして当初108.50円前後試しを想定する。108.50円前後は戻り売りも出やすいとみるが、108円以上での推移なら22日の日中も高値試しへ進みやすくなるため、4月6日高値109.37円を目指す流れと考える。
【当面の主な予定】
4/21(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行、金融政策会合議事要旨
14:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
17:30 (英) 3月 失業保険申請件数 (2月 1.73万件、予想 17.25万件)
17:30 (英) 3月 失業率 (2月 3.5%)
17:30 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 3.9%、予想 3.9%)
18:00 (独) 4月 ZEW景況感・期待指数 (3月 -49.5、予想 -42.3)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (2月 577万件、予想 530万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 6.5%、予想 -8.1%)
4/22(水)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.4%、予想 0.0%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 1.7%、予想 1.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.7%、予想 1.6%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前月比 (2月 0.5%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.2%)
15:00 (英) 3月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.5%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 9.75%、予想 9.25%)
22:00 (米) 2月 住宅価格指数 前月比 (1月 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感速報値 (3月 -11.6、予想 -20.0)
オーダー/ポジション状況
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