NY原油がマイナスに(20/4/21)

マイナス価格、しかも最安値はマイナス40.32ドル、終値もマイナス37.63ドルとなりました。

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NY原油がマイナスに(20/4/21)

NY原油がマイナスに

びっくりとしか言えませんが、今回は悪条件が重なっていたためにCME(シカゴマーカンタイル取引所)もNY原油がマイナスとなる可能性を15日の時点で指摘していましたが、本当にマイナス価格、しかも最安値はマイナス40.32ドル、終値もマイナス37.63ドルとなりました。

NY原油がマイナスに

先物でも株価指数などと違い商品先物には現受けという仕組みがあり、最終日まで反対売買を行わないと売り手は買い手に現物を渡す義務が発生します。今回のマイナス価格は期近5月限で発生しましたが、コロナショックで原油の実需が無く、しかもNY原油の受け渡し場所であるオクラホマの貯蔵タンクも満杯となると、当業者(日本でいうと元売りとか商社)ではない買い手は、投げざるを得ないということになります。

これがこの時期でなければオクラホマから他の場所に移動させるという手段(輸送コストは20〜25ドル程度)もあるのでしょうが、時期が時期だけに動かせる業者もなかったのでしょう。結局投機的な買い手が保管できないために投げさせられたという結末となりました。

現受けを伴う商品先物では、保管コストがかかるため通常は先の限月ほど価格が上がるコンタンゴ(先高)の状態が通常です。また、スポットの需要がタイトな場合には稀に手前の限月ほど価格が上がるバックワーデーション(先安)ということも起きます。それにしても、次の6月限が20ドル台を維持する中での超マイナス価格は16年前の横浜馬鈴薯を思い起こさせました。

当時、日本の商品先物は取引が活発で(ピークは2003年)、横浜にも商品取引所があり馬鈴薯(じゃがいも)が取引されていたのですが、2004年4月15日に何が起きたのかが下のチャートです。

NY原油がマイナスに 2枚目の画像

4月14日には2359円(10kgあたり)だったものが、翌日には65円にまで大暴落を演じました。今回のNY原油の動きを見るまでは商品先物としての最大の暴落幅であったと思うのですが、この時も現受けできない買い手が投げたことによる大暴落となったのでした。

商品先物の場合、金融先物と違って現受けが出来ない投資家が圧倒的に多いわけですから、取引の仕組みとそもそも始まった理由が当業者のヘッジ目的であるということを忘れてはいけないということを思い起こさせる事件が久しぶりに起こった一日となりました。

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