トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、テクニカルな観点から「次のターゲットとなる16.20レベルをサポートに、前週末の安値圏17.20レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が16.38レベル、高値が17.24レベルと、想定レンジの中で思ったほどの下げは見られない一週間となりました。
先週のトルコリラは、金融市場全体の混乱の中でトルコリラの動き以上に主要国の株価指数を見ながら上下に振れたドル円の影響が大きかったと言えます。ただ、そうした中でドルトルコリラの動きを見ていると週を通して着実にトルコリラの動きとなっていて、今後の株価の動き次第で新興国通貨市場にも影響が出てくるという見方は常にあるように思えます。
そうした中で欧州ほどではないにせよトルコ国内でも新型コロナウイルスの感染者が見つかり、現時点では18人と報告されています。しかもトルコの隣国にはイタリアに次いで感染者が多いイランがありますし、欧州とはギリシャ、ブルガリアと国境を接していてギリシャはここに来て感染者が増えていて、先日も聖火のセレモニーは無観客、国内リレーは中止となったばかりです。地理的にはリスクが高いということになるでしょう。
そして今週最大の注目材料は19日のトルコ中銀の会合です。ここまで6回連続で利下げを行い現時点で10.75%となっていますが、今回も0.5%の利下げを行うであろうというのがコンセンサスです。しかし各国の中銀会合で軒並み緊急利下げをしていることを考えると、トルコも10.25%ではなく10.0%や9.75%など予想以上の利下げをしてくる可能性はあります。
これまでは国内のインフレ率を下回る政策金利は実質マイナスとなりトルコリラ売りにつながりやすいという見方がされていましたが、米国までがゼロ金利へと緊急利下げを行っている状況ですし、エルドアン大統領も兼ねてから一桁金利という発言をしていたことも併せて考えると、エルドアン派の現中銀総裁は比較的目立たないこの時期に0.75〜1.0%の利下げをしてくる可能性があるのではないかと考えています。
その場合の為替市場の影響ですが、中長期的にはファンダメンタルを反映していない利下げということでトルコリラ売りにつながりやすいはずですが、短期的にどのように判断されるのかは悩ましいところです。金利差縮小という点ではトルコリラ売りが出ると思えますが、各国同様にトルコ国内のみならず世界的にウイルス感染者拡大の影響による景気減速が懸念される中での利下げといった説明をするはずですので、そうなると思いのほか動かずにということもありそうです。
ただ、今週もトルコリラだけでなくドル円の影響も大きいと思いますし、FRBの緊急利下げ後にストップ安となりサーキットブレーカー発動中のダウ先物や、日銀のETF購入金額の枠倍増の発表でも急落して引ける日経平均株価など、明らかにおかしな動きです。何かが起きそうな胸騒ぎがしてなりません。そうなると、金融市場はリスクオフに動くでしょうからトルコリラが動かなくてもトルコリラ円は売られるという展開になりそうです。
テクニカルに見てみましょう。いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
上側のレジスタンスラインは問題なさそうですが、下側のサポートはさすがに引きにくくレジスタンスと平行なチャンネルを引いてみました。今週はレジスタンスが17.20水準と先週の高値圏のレベル、下側のラインは大台16.00水準にまで下がって行きますが、動き次第では十分にあり得る水準です。
一応1円幅のレンジを考え、16.20レベルをサポートに17.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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