トルコリラ円見通し 感染爆発による金融市場全般の混乱続く、新興国売りに圧迫される展開か(20/3/16)

14日未明高値108.50円まで大幅上昇となり、トルコリラ円はドル/トルコリラでのドル高リラ安に圧されながらも円安に押し上げられて3月14日早朝高値17.12円まで切り返した。

トルコリラ円見通し 感染爆発による金融市場全般の混乱続く、新興国売りに圧迫される展開か(20/3/16)

【概況】

トルコリラ円は3月9日に16.26円まで急落して3月2日安値を割り込んだが、その後の持ち直しで3月11日未明には17.26円の高値をつけた。しかし世界連鎖株安が深刻化して新興国通貨売り圧力が強まる中で3月13日早朝には16.30円まで続落して3月9日安値に迫った。
米トランプ大統領が13日に非常事態宣言を発して500億ドル規模の対策を打ち出す姿勢を示したことで12日に暴落していたNYダウが前日比1985.012ドル高の反騰、ドル円もリスクオン心理回復から急伸して14日未明高値108.50円まで大幅上昇となり、トルコリラ円はドル/トルコリラでのドル高リラ安に圧されながらも円安に押し上げられて3月14日早朝高値17.12円まで切り返した。

新型コロナウイルスの感染拡大問題はWHOによるパンデミック宣言となり、欧州での感染爆発に加え米国でも拡大し始めたことで金融市場全般が動揺している。先の見えないリスク回避感から新興国の通貨と株はポジション整理・換金売りにより売られ、NYダウが1日の下げ幅で2千ドル安を超えることが週に2度も発生する等、混乱の規模は2008年のリーマンショック級となりつつある。
米連銀は3月16日早朝に緊急利下げと量的緩和の再開を発表した。3月17日からは定例のFOMCが予定されていたが、3月3日に続いて二度目の緊急利下げ・金融緩和の発表となった。ECBはマイナス金利の深掘りは見送ったが量的緩和を拡大、英中銀も定例会合を待たずに利下げし、カナダ中銀等も利下げに踏み切っている。これら各国中銀の対応は現状がリーマンショック級の危機的状況にあることを示している。トルコ中銀は3月19日に金融政策決定会合を予定しているのでそこでも連続の利下げが予想される。

【感染拡大問題、トルコ経済への影響はこれから】

3月13日に発表されたトルコの1月鉱工業生産は前年比7.9%となり12月の9.0%から鈍化、予想の8.2%を下回った。1月の小売売上高は前年比で9.6%となり12月の11.9%から鈍化、市場予想の9.8%を下回った。前月比はマイナス0.8%で12月の1.1%から悪化して予想の-0.6%も下回った。
1月の統計はまだコロナショックの反応が出ていないため、2月の数字がどうなるのか注目される。一時的には中国の経済活動封鎖による影響でトルコへの衣料品等の代替需要が拡大していたようだが、経済活動停滞が世界的に拡大しているため、2月から3月の統計では新興国での経済指標悪化も懸念される。3月23日には2月のトルコ観光客数の統計発表もあるので注目されるが、これもまた3月、4月の数字が悪化見込みとなりやすい状況だろう。

ドル/トルコリラは3月2日に6.2615リラの高値を付けて2019年5月高値6.2539リラを超えた後は反動安で3月3日安値6.0307リラまで下げたが、その後は新興国通貨売りが進み、3月9日から13日へ5連騰のドル高リラ安となり、3月13日には6.3392リラの高値をつけた。既に2019年5月高値を超えているため、チャート上の上値目途となる高値は2018年8月高値7.2349リラまで見当たらなくなっている。3月16日朝は米連銀の緊急利下げ発表からドルが反落しているためドル/トルコリラも反落開始だが、大きな流れは新興国通貨安基調の継続と思われる。

イスタンブール100株価指数は3月6日から3月12日まで大幅続落となり、12日は欧米株安が深刻化したことで前日比7.26%安の暴落的な下げに見舞われた。3月13日はダウが持ち直したために2.10%高と反発しているが、3月6日から12日までの下落率は17.26%であり、1月22日高値124,536.63から3月13日安値91,644.28までの下落率は27%安まで拡大している。

感染拡大による経済活動の停滞が世界的に波及すればトルコも巻き込まれることになる。トルコでは暫くは国内感染者がゼロの状況が続いて水際作戦が機能していたが、3月16日朝時点の統計では感染者が前日比12人増の18人へと増え始めた。国境を接するイランは感染者13938人で死者724人、シリア難民問題で対立しているギリシャでは感染者331人死者4人、イラクも感染者124人死者10人となっている。欧州全域が感染爆発のため、トルコも今後は感染者急増による国内経済活動停滞へと追い込まれかねないことや、世界的な渡航禁止のなかでの観光収入減少等も懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前安値から4日目の3月13日早朝安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしている。今回のトップ形成期は11日未明高値を基準として14日未明から18日未明にかけての間と想定される。3月16日朝に反落しているので既にサイクルトップをつけた可能性がある、いったん下げてから持ち直しているためまだ上昇余地は残っているが、16日朝安値16.68円割れからは弱気サイクル入りとして18日早朝から20日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では13日の反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いたが、16日朝の反落により遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンからの転落回避中は遅行スパンが一時的に悪化してもその後の好転から上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開トム見て遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は13日夜から14日早朝への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。50ポイント割れを切り返す内は上昇余地が残るが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初3月16日朝安値16.68円円を下値支持線、3月14日早朝高値17.12円を上値抵抗線とみておく。
(2)16.68円を上回る内は上昇余地ありとし、17.12円超えからは17.40円前後への上昇を想定する。
17.30円以上は反落警戒とするが16.68円以上での推移なら17日も高値を試す余地ありとみる。
(3)16.68円割れからは弱気サイクル入りとみて3月9日午前安値16.26円試しへ進むとみる。16.30円以下は反発注意とするが、16.68円以下での推移が続く内は17日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月19日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.75%、予想 10.25%)
3月23日
 16:00 3月消費者信頼感指数 (2月 57.3)
 17:00 2月観光客数 前年比 (1月 16.1%)
3月25日
 16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
 16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
 20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
 16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5) 

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