『TCMBが7会合連続利下げに踏み切ればリラ売り再開の恐れも』
今週のレビュー(3/9−3/13)
今週のトルコリラ円相場は、週初17.29円で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムードや、A上記@を受けた株安→新興国通貨売り→円買いの流れ、B隣国イランでの感染者数急増(※3/11にトルコ国内で初となる感染者の確認を発表)が重石となり、週明けアジア時間には、2018年9月以来、約1年6ヶ月ぶり安値となる16.44円まで急落しました。しかし、C日銀による度重なるレートチェックの噂や来週18ー19日に開催される日銀金融政策決定会合にてETF買い入れ目標が引き上げられる(追加緩和)との一部報道、Dトランプ米大統領による給与税減税を含めた景気対策案や、E米連邦準備理事会(FRB)による600億ドル規模の国債買い入れなど流動性供給策発表を受けてドル円が持ち直すと、トルコリラ円相場も連れ高となり、結局17.04円まで持ち直しての越週となっております。
来週の見通し(3/16−3/20)
トルコリラの対円相場は、2/20に記録した約1ヶ月ぶり高値18.44円をトップに反落に転じると、今週初には、約1年6ヶ月ぶり安値16.44円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(週末にかけて反発するも一目均衡表転換線を抜けられず失速)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感(今週発表された12月失業率や、1月鉱工業生産は共に悪化)や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス化(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けてトルコの実質金利はマイナス転)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)を巡る地政学的リスク(ひとまず停戦に至るも事態は依然流動的)、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムード(株安・新興国通貨売り)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。トルコ中銀(TCMB)は来週3/19の会合で7会合連続の利下げに踏み切る公算が大きく(※直近6会合で既に13.25%もの利下げ幅)、実質金利(名目金利?インフレ率)のマイナス深化を通じた「トルコ離れ(トルコSell)」の流れは続くと考えられます。日米トルコの金融政策イベントや、新型コロナウィルスに絡む続報、シリア北西部イドリブを巡るヘッドラインを睨みながらも、来週はトルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):16.60ー17.40
トルコリラ円日足
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