『コロナショックと格下げリスクで軟調推移が継続か。SARBは25bp利下げ予想』
今週のレビュー(3/9−3/13)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.72円で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(株安→新興国通貨売り・円買いの流れ)や、A中国経済の下振れ懸念を受けた南アフリカ経済の先行き不透明感(※南アフリカは中国と経済的な結びつきが強い為)を背景に、週明けアジア時間には、史上最安値となる6.02円まで急落しました。
しかし、B日銀による度重なるレートチェックの噂や来週18ー19日に開催される日銀金融政策決定会合にてETF買い入れ目標が引き上げられる(追加緩和)との一部報道、Cトランプ米大統領による給与税減税を含めた景気対策案や、D米連邦準備理事会(FRB)による600億ドル規模の国債買い入れなど流動性供給策発表を受けてドル円が持ち直すと、南アフリカランド円相場も連れ高となり、週末にかけては、高値6.73円まで反発しました。もっとも、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、引けにかけては再び反落。結局6.64付近での越週となっております。尚、3/11に発表された南ア・第1四半期BER企業信頼感指数(結果18、予想24)は21年ぶり低水準に落ち込む結果となりました。
来週の見通し(3/16−3/20)
南アフリカランド円相場は、2/21に記録した約1ヶ月ぶり高値7.48円をトップに反落に転じると、今週初には史上最安値となる6.02円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております(足元ドル円の上昇に連れる形で反発に転じるも戻りは鈍い)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFやムーディーズは南アフリカ経済見通しを大幅下方修正。また新型コロナウィルスに端を発した中国経済の減速懸念も対中依存度の高い南アフリカに下押し圧力を加える恐れあり)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速→GDPの更なる悪化懸念)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、Cムーディーズによる格下げリスク(先週発表されたムボウェニ南ア財務相による予算発表が失望を誘ったことや、先週発表されたGDP統計が不冴な結果となったことから、ムーディーズは3/27に同国の格下げに踏み切る恐れあり。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクが意識)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクや、経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念、新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードが重石となる中、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週3/19に開催される南ア中銀政策決定会合では25bpの利下げが予想されておりますが、既に織り込み済みであり、相場への影響は限定的となりそうです)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.20ー6.90
南アフリカランド円日足
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