ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、中国の景気悪化とムーディーズの格付け引き下げ懸念がある中で戻りは弱いと考えざるを得ず「6.75レベルをサポートに7.10レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が6.66レベル、高値が7.06レベルと、想定レンジよりもやや弱い値動きの一週間となりました。
先週のランドは、新型コロナウイルス感染者拡大によるリスクオフ相場の中で、週初はドルランドが下げる動きとともに比較的底堅い動きをしていました。しかし、火曜の欧州市場に入って発表された10〜12月期GDPが前期に続いてマイナス成長となったことで、米国基準で言うならばリセッション入りとなり、ランド買いの動きが鈍りました。その後も上値の重たい動きが続いていたところに、金曜にはムーディーズが先進国は厳しいシナリオの下でリセッションに陥る恐れがあると指摘する中で、新興国経済についても言及し南アフリカ経済もプラス成長は困難になるとしました。
この発言の影響もあり、週末のNY市場でのランドは対円、対ドルともに上値の重たい流れでの引けとなりましたが、週明けにはOPECプラスで減産継続の協議が決裂したことから原油価格が暴落し、株安と円高も進行する中でドルランドも大幅安となり、これまでトルコ円でよく見た新興国(高金利)通貨安+円(低金利通貨)高のフラッシュクラッシュ状態を演じています。
ドルランドは一時17.0の大台近くまで上昇し、ドル円は101円台半ばまで円高が進行したことで、ランド円は安値5.99レベルと6.0円の大台を割り込み2016年の史上最安値を更新することになっています。このような南アにとっての悪材料ばかりが続くと今月下旬のムーディーズによる格付け見直しでジャンクとなる可能性も高まりますので、そうした思惑が更にランドに売りを呼び込んでいると考えられます。
また現時点ではわかりませんが、本日の下げで本邦個人投資家のランドポジションにも一定の強制ストップがかかったと思われ、新型コロナウイルスの感染者拡大に歯止めがかかるまではランドを筆頭に新興国通貨は買いにくい地合いが続きそうです。
史上最安値更新状態ですので、テクニカルにはまず月足から見ていきます。
2016年安値6.37を割り込んできている動きがよくわかりますが、ここ数年の高値の起点としては2018年高値9.29(それまでの2016年最安値以降の戻り高値)となりますので、そこからの逆N波動を想定します。すると2019年安値6.78までの下げと、その後の戻り高値7.83を3点と見ることができそうです。
そうすると、フィボナッチ・エクスパンションでは78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが5.86とかなり現在の水準に近い水準に位置し、100%エクスパンションは5.32とかなり距離があるように感じられるものの、もしムーディーズの格付け引き下げがあれば、南アからの大量の資金流出で同水準どころでは止まらず、5.0円の大台を割り込むリスクもあるということは頭の片隅に置いておくべきでしょう。
次に、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
週明けにはギャップダウンして始まっていますので、先週安値6.66が現状ではレジスタンスとなります。またピンクの水平線が先ほどの78.6%エクスパンションの5.86となっていて、今週はこれら2つの水準を上下として考えたいところです。当面はランド円には戻り売りが強まる可能性が高いことも考え、5.86レベルをサポートに6.66レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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