リセッション入りで格下げリスク一段と高まる。ランド売り地合継続か
今週のレビュー(3/2−3/6)
今週の南アフリカランド円相場は、週初6.90円で寄り付いた後、翌3/3に高値7.07円まで上昇しました。しかし、@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(株安→新興国通貨売り・円買いの流れ)や、A中国経済の下振れ懸念を受けた南アフリカ経済の先行き不透明感(※南アフリカは中国と経済的な結びつきが強い為)、B南アフリカ・10ー12月期GDP統計(結果▲1.4%、予想▲0.1% ※前期比年率)の冴えない結果(リセッション入り)、C先週のムボウェニ南ア財務相の予算発表における失望感(更なる債務増加を示唆)、D上記BCを受けたムーディーズによる格下げリスクの高まり等が重石となると、週末にかけては、2016年6月以来、約3年8ヶ月ぶり安値となる6.66円まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、6.72円近辺で推移しております。
来週の見通し(3/9−3/13)
南アフリカランド円相場は、2/21に記録した約1ヶ月ぶり高値7.48円をトップに反落に転じると、今週末(3/6)にかけて、約3年8ヶ月ぶり安値となる6.66円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を強く印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFやムーディーズは南アフリカ経済見通しを大幅に下方修正。また新型コロナウィルスに端を発した中国経済の減速懸念も対中依存度の高い南アフリカに下押し圧力を加える恐れあり)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速→GDP統計の悪化)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、Cムーディーズによる格下げリスク(先週発表されたムボウェニ南ア財務相による予算発表が失望を誘ったことや、今週発表されたGDP統計が不冴な結果となったことから、ムーディーズは3/27に同国の格下げに踏み切る恐れあり。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクが意識)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクや、経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念、新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムードが重石となる中、当方では引き続き、南アフリカランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.40ー7.00
南アフリカランド円日足
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