楽観ムードの賞味期限切れに要注意。Sell the factがメインシナリオ
今週のレビュー(3/9−3/13)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初104.22(※先週末終値105.31からギャップダウン)で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードや、A上記@を受けた世界的な株価の暴落、B米長期金利の急低下(※米10年債利回りは一時0.318%まで急低下し、史上最低利回りを大幅に更新)、COPECと非OPECで構成される「OPECプラス」で減産合意が決裂し原油価格が急落したこと(※WTI原油先物は 2016年2月12日以来、約4年1ヶ月ぶり安値となる27.34ドルまで急落)、D上記@からCを受けた投資家心理の急速な悪化が重石となり、週明け米国時間には、2016年11月9日以来、約3年4ヶ月ぶり安値となる101.19(※2016年の米大統領選でトランプ氏が勝利を収めた直後に記録した安値に並んだ格好)まで急落しました。
しかし、E日銀による度重なるレートチェックの噂や来週18ー19日に開催される日銀金融政策決定会合にてETF買い入れ目標が引き上げられる(追加緩和)との一部報道を受けて下げ渋ると、Fトランプ米大統領による給与税減税を含めた景気対策案の発表や、G米連邦準備理事会(FRB)が600億ドル規模の国債買い入れなど流動性供給策を発表したこと、H上記Fをきっかけに米長期金利が上昇に転じたこと(※米10年債利回りは週初に記録した0.318%から週末には一時0.954%へ急上昇)、I世界的な財政出動期待を受けて楽観ムードが広がったこと等が支援材料となり、週末にかけては、ショート勢のロスカットを巻き込む形で、一時108.50まで急伸する展開となりました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時50分現在)では、108.00近辺で推移しております。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1293で寄り付いた後、@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたキャリートレードの巻き戻しや、A米長期金利の急低下(※米10年債利回りは一時0.318%まで急低下し、史上最低利回りを大幅に更新)、BECBの追加緩和限界論(※ECBによる追加緩和手段の乏しさを見越したユーロ買い)が支援材料となり、週明けアジア時間には、昨年1/31以来、約1年1ヶ月ぶり高値となる1.1494まで急伸しました。しかし、心理的節目1.1500を前に伸び悩むと、Cトランプ米大統領による給与税減税を含めた経済対策案の発表や、D上記Cを受けた米長期金利の急上昇、Eトランプ米大統領による「欧州からの入国を30日間停止する」との発言、FECB理事会での追加緩和決定(※政策金利を据え置くも、2020年末までの資産買入総額を1200億ユーロ増額すると発表)が重石となり、週末にかけては、1.1055まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時50分現在)では、1.1105近辺で推移しております。
来週の見通し(3/16−3/20)
<ドル円相場>
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました(僅か3週間で11円02銭の暴落劇)。この間、一目均衡表雲転換線や基準線、一目均衡表雲上限及び雲下限、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転及び、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(※世界的な財政出動期待を背景に週末にかけて急反発に転じるも、200日移動平均線が走る108円台前半で伸び悩む展開に)。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。来週開催される日米の金融政策イベントを経て両者の金融政策格差が鮮明となれば(※米国では75bp−100bpの追加利下げやQE4の可能性が織り込まれている一方、日本ではETF買い入れ増額に留まるとの見方が根強い)、日米金利差縮小を通じて、ドル円には再び下押し圧力が加わると考えられます。また、新型コロナウィルスの感染拡大を巡るネガティブな報道や、原油価格の不安定化が見られた場合にも、「世界的な株安→投資家心理の悪化→リスク回避の円買い」の波及経路が想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、日米金融政策イベント、米株及び米債市場の動向、世界各国による景気対策を睨みながらも、当方では引き続きドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(金融政策や財政政策発表後のSell the factに要注意)。
来週の予想レンジ(USDJPY):104.00ー110.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、2/20に記録した約2年10ヶ月ぶり安値1.0777をボトムに反発に転じると、今週初に(3/9)には一時1.1494まで急伸しました。しかし、心理的節目1.1500に続伸を阻まれると、週末にかけて反落するなど、上値の重さが改めて意識されるチャート形状となっております(一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線、一目均衡表雲上限を割り込む結果に)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、Aイタリアを巡る財政悪化および政局不透明感、B冴えない欧州ファンダメンタルズを背景としたECBによる金融緩和長期化観測、C英国情勢の先行き不安、D新型コロナウィルスの感染拡大を受けたリスク回避ムードの再燃リスク(対ユーロでのドル買い・円買い・スイス買い)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚たくさん残っている状態です。
以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「上値の重さ」が意識されます。先週初に見られた急騰を受けてショート勢のロスカットが大規模で進んだことから(ポジションが軽くなったことから)、ユーロドルは再び下がりやすい地合いになったと判断できます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、日米金融政策イベント、欧米株及び欧米長期金利の動向、世界各国による景気対策、ドイツ経済指標(3月ZEW景況感調査)の結果を睨みながらも、当方では引き続きユーロドルの下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0800−1.1300
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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