<< 東京市場の動き >>
13日の東京市場は、ドルが堅調裡。株価を中心に大荒れとなった、ほかの金融市場の動きをにらみつつもドルは総じて右肩上がり。一時106円レベルまで上昇している。
ドル/円は104.60円レベルで寄り付いたのち、ドルはじり高に推移。途中、105.20円レベルで一旦上げ渋ったものの、上抜けると日中高値である106円前後まで一気に値を上げた。時間外で取引されているNYダウ先物などの乱高下もさることながら、日本株についても東証が裁定取引に制限措置を講じるなど荒れ模様。ただ、最終的には前者のNYダウ先物がプラス圏を大きく回復したことなどが好感されていた。ドルは高値示現後、16時時点では小緩んだ105円半ばで推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「日米中心の金融市場対策や発言」と「新型ウイルスをめぐる各国の対立姿勢」などについて。
前者は、産経新聞が「日米首脳、13日午前に電話会談実施へ」と報じ期待感が高まるなか、12日にG7が次官級電話協議を実施していたことが明らかとなり、そのなかで「新型ウイルスめぐり国際協調継続を確認した」と発表されている。そののち実際に行われた日米首脳の会談はいまひとつパッとしなかったが、西村経財相「市場を日々注視、日銀と強い緊張感も共有」、麻生財務相「為替市場を注意深く見ていく」、武内財務官「市場介入の可能性はコメントしない」といったように日本サイドからのコメントが相次ぐなど、金融市場への関心の高さをうかがわせていた。
対して後者は、前日にハリウッド俳優のトム・ハンクス氏の感染や、トランプ米大統領による感染者への接触が取り沙汰されるなか、米国と中国あるいは欧州との対立構造が一部で話題に。米中については、米要人が「中国発生説」などを取り沙汰したことに中国外務省報道官が強く反論。「米軍が新型コロナの流行を武漢に持ち込んだのかもしれない」と指摘したという。一方、米欧はトランプ米大統領が欧州からの米国入国を30日間禁止すると発表したことに対し、EU大統領らが「相談なしに一方的に渡航禁止の強化を決定した」と非難したうえで、「決定をEUは認めない」と強い不快感を示していた。
<< 欧米市場の見通し >>
金融市場の動揺は多方面に広がっており、昨日から本日にかけては仮想通貨(暗号資産)も大荒れの展開をたどっている。ただ、本丸とも言えるものはやはり米株で、ここがもう少し落ち着きを取り戻さない限り、為替を含めた金融市場全般に平穏は訪れないだろう。もっとも、昨日もレポートしたが、株価の変動に対する為替市場の感応度は少し低下。と言うより米株が高値から20%下落し弱気相場入りしたことで、「最後に頼れるのは、やっぱりドル」といった具合に「リスク回避=ドル買い」へと様相が変化しつつある。動静には引き続き注目だ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は山積みだ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。これまでにも英連立与党のジンガレッティ民主党党首や、フランスのリーステール文化相が感染したというような話は幾つか聞かれていたが、ついに、「トランプ米大統領による感染者への接触」が取り沙汰されたうえ、カナダにおいては「トルドー首相夫人の感染を確認、首相も自主隔離」となったという。さらなる感染拡大の報にはとくに注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドルは昨日東京時間に103円割れに接近するも不発。そののち急反発に転じ、一時106.10円近くまで上昇したがしっかりとは上抜けられなかった。まだ断定はできないが、やはり先日レポートした103-106円程度の若干ワイドなレンジ内での一進一退が続く公算が大きい。
なお、上記レンジを下抜けた場合には当然101.19円がターゲットとなる反面、上抜けた際には107円後半から108円レベルを目指す展開か。
本日は、3月のミシガン大学消費者信頼感指数速報などの米経済指標が発表される予定となっている。通常であれば関心も高い、重要な指標だが今回はよほどの数字とならない限り、影響は限られるだろう。それよりも、引き続き新型コロナウイルスに関する報道や、ほかの金融市場の動きに為替市場は左右される展開が見込まれている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.10-107.10円。ドル高・円安方向は、先日示現したドル高値の106.10円が最初の抵抗。超えたら、強い抵抗はしばらくなく、107円後半から108円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、弱いサポートが位置する105円前後の攻防にまずは注目。割り込むと104円半ばや103円半ばなどが意識されそうだ。
ドル円時間足
オーダー/ポジション状況
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