トルコリラ円見通し 新興国通貨安・株安が全面化する中で一段安警戒(20/03/17)

今週も既に8.07%安で開始しているため、先週の下落率を超える続落へ進みかねない状況となっている。

トルコリラ円見通し 新興国通貨安・株安が全面化する中で一段安警戒(20/03/17)

【概況】

トルコリラ円は3月13日早朝に16.30円まで下落したが3月9日安値16.26円割れを回避し、13日夜はトランプ大統領の非常事態宣言等による持ち直しでNYダウが大幅反騰する中でドル円も円安へ進んだために14日早朝には17.12円まで得切り返して先週を終えていた。

3月16日は早朝から米連銀が今月二度目の緊急FOMCを開催して追加利下げと量的緩和拡大を表明したが、ダウ先物が1000ドル安を超える下落で開始してサーキットブレーカー発動となり、ドル円も急落したためにトルコリラ円は16.68円へ反落、いったん戻したものの午後の日銀による量的緩和拡大決定でも株安円高が止まらなかったため、夕刻には早朝安値を割り込んで一段安となった。さらに16日夜のNYダウが前日比2997.1ドル安と1日の下げ幅としての過去最大記録を更新する中で16.38円まで続落した。その後は下げ一服で16.50円を挟んでの横這いで小康状態となっている。

【ドル全面高で新興国通貨売り】

ドル/トルコリラは3月16日に前日比2.16%高のドル高リラ安となり、高値では6.4426リラをつけた。3月2日に6.2615リラの高値を付けて2019年5月高値6.2539リラを超え、3月9日から13日へ5連騰のドル高リラ安となり、週末はドル高一服となっていたものの週明けの新興国通貨売りとドル全面高のなかで高値を更新している。チャート上の上値目途となる高値はトルコ通貨危機の発生した2018年8月高値7.2349リラまで見当たらなくなっている。

3月16日のイスタンブール100株価指数は前日比8.07%安と暴落した。3月6日から3月12日まで大幅続落する中で3月12日には前日比7.26%安の下落に見舞われたが、12日の下落率を上回った。週間ベースでは先週に12.77%安となっており、今週も既に8.07%安で開始しているため、先週の下落率を超える続落へ進みかねない状況となっている。

新型コロナウイルス感染拡大がパンデミック宣言に至り、イタリアを中心として欧州が感染爆発状態となり、米国も非常事態を宣言するに至り、金融市場全体が同様している。3月16日のNYダウ下落率は凡そ13%安で1987年のブラックマンデーにおける22.6%安以来の衝撃となった。2月後半からのNYダウ下落開始の当初は1日で1000ドル規模の急落発生だったのが2000ドルを超え、16日は一時3000ドルを超える下落幅で暴落のスパイラルとなっている。

世界市場全体での手仕舞い・換金売りが投機マネーのドルへの還流を急がせ、特にハイリスクな新興国通貨・株への売り圧力が増している。ブラジルレアル等が対ドルでの史上最安値を更新し、豪ドル等資源通貨安も顕著となる中でトルコリラへの売り圧力も日々強まっている印象だ。
感染拡大による市場パニックのため、感染の終息と混乱状況の収束が見えないことには世界的なリセッション入りへの不安は解消されないため、財政力の弱い新興国での通貨危機も発生しかねないと警戒すべきところだ。

【トルコの感染者数も増え始める】

トルコの新型コロナウイルス感染者は18人に増えた。トルコと国境を接するイランは感染者1万4991人死者853人、ギリシャは感染者352人死者4人、イラクは感染者133人死者10人となっている。イタリアは感染者2万7980人で前日から3233人増え、死者2158人で前日から349人も増えている。初期の中国武漢・湖北省の状態に陥っている印象だが、欧米の出入国制限やイベント中止等はまだ未だ拡大中であり、欧州に近い中東諸国への感染拡大も懸念される。

シリア内戦問題は一服している。3月5日にロシアとトルコがイドリブ県での停戦に合意してからは大規模衝突が回避されているが、3月15日からロシアとトルコは北西部イドリブ県で停戦監視のための共同パトロールを開始しているようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前安値から4日目の3月13日早朝安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしていたが、16日の反落により13日早朝安値に迫るところまで下げたため、現状は3月14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと思われる。ボトム形成期は18日早朝から20日朝にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありと考える。

60分足の一目均衡表では16日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。一時的に遅行スパンが好転しても先行スパンを上抜けない内はその後の遅行スパン悪化から下げ再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は13日夜から14日早朝への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから下落に転じ、16日夜には30ポイント割れまで低下した。その後はやや戻しているものの50ポイントを抵抗とし、35ポイント割れからは下げ再開とみる。上昇再開感が強まるには60ポイントまで戻してその後も50ポイント以上で推移するような反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月9日午前安値16.26円を下値支持線、16.70円を上値抵抗線とみておく。
(2)16.70円以下での推移か、一時的に上回っても維持できない内は一段安警戒とし、3月16日夜安値16.39円割れからは3月9日午前安値16.26円試しとする。9日安値を割り込んで続落の場合は16.00円へ下値目処を引き下げ、さらに先行きは16円台序盤への一段安へ進みやすくなるとみる。
(3)16.70円超えからは強気転換注意とするが、16.80円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。16.70円を超えた後に16.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月19日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.75%、予想 10.25%)
3月23日
16:00 3月消費者信頼感指数 (2月 57.3)
17:00 2月観光客数 前年比 (1月 16.1%)
3月25日
16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5) 

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