【概況】
トルコリラ円は3月9日午前安値16.26円から3月11日早朝高値17.26円まで戻した後はこの高安レンジ内での推移に止まっている。3月13日朝安値16.30円で安値更新を回避し、17日の安値も16.40円前後で支えられている。3月14日早朝高値は17.12円に止まって戻り高値はやや切り下がり気味であり、3月17日夜の上昇でも16.84円に留まっている。
ドル円は3月9日までの暴落から切り返しに入って3月14日早朝高値までには直前の下げ幅に対する3分の2を戻してその後も確りしているが、ドル/トルコリラでのドル高リラ安によりトルコリラ円の上値が抑えられている状況のため、トルコリラ円はドル高リラ安に上値を抑えられつつ円安に支えられる持ち合いの継続となっている。
【トルコ中銀、前倒しで利下げ、対ドルでのリラ安続く】
トルコ中銀は3月17日に19日に予定されていた金融政策決定会合を前倒しで開催して政策金利の1週間物レポ金利を1%引き下げて9.75%とした。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の停滞に対応する動きであり、利下げは7会合連続となった。利下げ発表後にトルコリラは対ドルで一時、前日比1%近く下落した。
ドル/トルコリラは3月9日から16日まで6連騰のドル高リラ安となり、3月17日もトルコ中銀による利下げの前倒しにより6.4947リラまで高値を更新した。既に3月2日への上昇で2019年5月高値6.2539リラを超えており、チャート上の上値目途となる高値はトルコ通貨危機の発生した2018年8月高値7.2349リラまで見当たらなくなっている状況だ。17日夜高値の後はNYダウの上昇等によりいったん反落したが、深夜からはドル高リラ安がぶり返している。
新型コロナウイルス感染の世界的な拡大により新興国通貨は売られているが、ブラジルレアルやアルゼンチンペソは3月17日も対ドルでの史上最安値を更新している。
世界経済の停滞により資源輸出国通貨も下落が目立ち、豪ドル米ドルは3月17日安値で0.5956ドルをつけてリーマンショック時の2008年10月安値0.6004ドルを割り込んでいる。タイバーツやインドネシアルピア等の東南アジア通貨安も目立ってきている。
トルコの代表的株価指数であるイスタンブール100株価指数は3月16日に前日比8.07%安と暴落したが、3月17日も1.26%安と続落している。安値では81936.40をつけて2019年5月安値を割り込み2017年1月以来の安値水準となっている。週間ベースでは先週が前週比12.77%安だったが、今週は3月17日時点で9.23%安となっている。
3月17日はNYダウが下げ渋ったとはいえ、3月16日には前日比で一時は3000ドル安を超える下落も発生したばかりであり、新型コロナウイルス感染拡大の終息感が見えない内は先安不安が継続し、特に投機性の高い新興国株は売られやすい。
【トルコも感染拡大期に】
トルコでの新型コロナウイルス感染者は3月10日までゼロだったが、3月11日に初の感染者が発見され、3月16日時点では18人に増加、3月18日朝時点では98人に急増して初めて死者1人もでている。既に感染爆発の発生している諸国並みにトルコでも感染拡大、経済活動の停滞等が進む可能性があると思われる。
トルコと国境を接するイランは感染者1万6169人死者988人、ギリシャは感染者387人死者5人、イラクは感染者154人死者11人となっている。イタリアは感染者3万1506人で前日から3526人増え、死者2503人で前日から345人も増えている。
米国は欧州からの入国制限を行ったが、3月17日にはEUの緊急TV首脳会議で入国規制が合意されている。
トルコにとっては国外の経済活動停滞による間接的な影響レベルから国内感染拡大による直接的な影響が出始める状況に入ってきたと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前安値から4日目の3月13日早朝安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしていたが、16日の反落により13日早朝安値に迫るところまで下げたため、3月17日午前時点では3月14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を18日早朝から20日朝にかけての間と想定した。17日夜に反発したが深夜以降は失速しているのでまだ一段安余地ありとし、新たな強気サイクル入りは14日早朝高値超えからと考える。
60分足の一目均衡表では17日夜の反発で遅行スパンが好転し、先行スパンからも上抜けたが、その後の反落で先行スパンに潜り込み始めている。このため先行スパンから転落せずに先行スパンを再び突破するところからは戻りを試す上昇へ進む可能性があるとみるが、先行スパンから転落の場合は下げ再開と仮定し、遅行スパン悪化からは一段安警戒と考える。
60分足の相対力指数は17日深夜に60ポイント台後半へ上昇したがその後は失速しているので50ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、16.50円下値支持線、3月17日深夜高値16.84円を上値抵抗線とみておく。
(2)16.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、17日深夜高値を超える場合は17円試しを想定するが、17円以上は反落警戒とし、その後に16.70円を割り込むところからは下落再開と考える。
(3)16.50円割れからは3月9日安値16.26円試しへ向かう流れとみる。世界連鎖株安が強まる場合、円高が進む場合は16.00円試しへ下値目処を引き下げ、先行きはさらに安値試しが続きやすくなると考える。
【当面の主な経済指標等の予定】
3月23日
16:00 3月消費者信頼感指数 (2月 57.3)
17:00 2月観光客数 前年比 (1月 16.1%)
3月25日
16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5)
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