トルコリラ円レポート月曜版(2020年3月2日)

最近のトルコリラ円としては珍しく1円以上の下げを演じた一週間となりました。

トルコリラ円レポート月曜版(2020年3月2日)

トルコリラ円レポート月曜版

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、下抜けのほうがより動きが加速しやすいという点だけは注意した上で、もみあい継続を考え「18.05レベルをサポートに18.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が17.23レベル、高値が18.30レベルと、レンジを下抜け最近のトルコリラ円としては珍しく1円以上の下げを演じた一週間となりました。

先週のトルコリラは、前週まで同様に内憂外患状態でトルコ中銀による利下げ後の実質金利がマイナスとなっていることによる将来的なトルコ経済への懸念、そしてシリア問題がトルコにとってどちらも悪材料となり、トルコリラ安が継続しやすい状況となっていました。そこにコロナウイルス感染者拡大による米国株急落で、急速なリスクオフ相場を見ることとなり、トルコリラ円は最近のもみあいを大きく下抜けることとなりました。

リスクオフの時にはリスク資産から安全資産へと資金がシフトする流れに沿って、為替市場では高金利通貨から低金利通貨へと資金がシフトします。つまり、リスクオンの時には外貨建て資産(FXのスワップ金利狙いも同じです)に資金が向かいやすいのですが、株安を代表とするリスクオフの時には、それまで投資していた外貨建て資産のポジションを減らす流れになります。

このことは後ほど見ていただく、いつものトルコリラ円。ドルトルコリラ、ドル円の3つの通貨ペアを見ていただくと明確なのですが、ドル円がダウ急落の流れの中で112円台前半から107円台半ばにまで円高(円買い・ドル売り)が進むいっぽうで、ドルトルコリラは6.09近い水準から6.25台半ばまで大きくトルコリラ安(リラ売り・ドル買い)が進みました。動きとしては典型的なリスクオフ相場と言えます。

今週もリスクオフが続くのか、あるいはスピード調整から短期的な巻き返しが入るのかでまったく変わってくるのですが、不確定要因としてトルコ難民の欧州への移動の可能性があります。これは、シリアにおける紛争拡大に対してトルコは欧州への支援を求めていましたが、欧州からの動きが鈍いことから強硬手段としてトルコとギリシャの間の国境を開放し、難民がギリシャ経由で欧州に入れる動きを見せていることです。

現在、トルコにはシリアからの難民だけで350万人以上がいて、さらに90万人以上の難民がシリアからトルコに向かっているとされています。

また、トルコと欧州との国境はイスタンブールを更に西に進むと上にブルガリア、下にギリシャと接していますが、難民や移民が両国に向かって大移動しているというニュースが流れています。トルコの高官も移動を容認と話し、移動している人々もトルコ政府による国境開放を聞いて来たと話しているようです。ギリシャ、ブルガリアともこうした人々の流入を阻止するため治安部隊を国境に派遣しているそうですが、こうしたこともトルコリラ売りに繋がりそうな材料です。

引き続きトルコリラを取り囲む材料はトルコリラ売りにバイアスがかかりやすい状況ですが、今週は米国株式市場と米国だけでなく世界的に金融緩和の動きが出てくるかどうか、緩和の動きが出てくれば、高金利通貨のトルコリラにとっては金利差拡大の動きともなり、リスクオフの巻き返しの大きなきっかけとなり得ますが、緊急利下げでもない限りFOMCは18日とまだ2週間以上あります。今週は地区連銀総裁の講演も多いので、そのあたりから金融緩和の可能性と幅を読み解いていくこととなるでしょう。

いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版

先ほど書いた通り、中段のドルトルコリラではトルコリラ売り(ドル買い)、下段のドル円では円買い(ドル売り)とそれぞれが、フラッシュクラッシュの時のような動きを時間をかけてしてきたことがわかります。ただ、トルコリラ売りの動きは長い動きですが、円買いの動きは急速かつ値幅も大きいため、トルコリラ円については、今週は横方向のもみあいになりやすいのではないかと見ています。

今週はいったん安値を見たと考えるものの、戻りでは着実に売りが出てくると見て、大台に近い17.05レベルをサポートに17.65レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

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