トルコリラ円見通し ドル高リラ安+株安円高で大幅下落(3/2夕)

2月21日から28日まで6日間連続の日足陰線となり、29日未明には17.20円まで安値を切り下げた。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安+株安円高で大幅下落(3/2夕)

【概況】

トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日にイラン情勢緊迫でつけた安値17.94円を割り込み、2月21日から28日まで6日間連続の日足陰線となり、29日未明には17.20円まで安値を切り下げた。3月2日朝も17.08円までさらに続落している。
下落の背景は新型コロナウイルスの感染が欧米へ拡大したことにより、早期の終息期待が後退してパンデミックへの不安が急激に増長したことによるリスク回避の動きであり、世界連鎖株安により投機的なポジションが総じて手仕舞い・ポジション圧縮へ向かったことにより投機性の高い新興国通貨が売られている。
2月28日にはトルコの第4四半期GDPの発表があり、前期比は1.9%上昇となって第3四半期の0.8%を超え、年率も6.0%となり前期の1.0%を大幅に上回ったものの市場は金融市場全般の動向を優先して反応は限定的だった。

トルコのイスタンブール100株価指数は2月18日から20日へ3日間続落後、24日以降も26日を除いて下落基調が続き、2月27日は前日比4.13%安、28日も4.01%安と大幅下落している。株安がトルコリラへの売り圧力を増している。
ドル/トルコリラは2月18日から3連騰=ドル高リラ安となり、2月24日から28日まで6日間続伸して6.2605リラまで高値を切り上げており、2019年8月以降の高値を更新して2019年5月天井の6.2539リラを上抜いた。このためドル/トルコリラのチャート上の上値抵抗線は2018年8月の通貨危機でつけた7.2169リラまで見当たらなくなっている。
ドル高リラ安に加えてクロス円全般での円高が強まっており、特にドル円は2月28日に前日比1.98円の下落で107.51円まで大幅下落しており、昨年8月底以降の高値である2月20日の112.21円からは4.70円の円高ドル安となっている。

トルコにおいては2月3日以降のシリア・アサド政権軍とトルコ軍の軍事衝突が全面戦争化へ徐々に深刻化していることによるリスク回避感も強まっている。シリア北西部のイドリブ県において2月27日にアサド軍の空爆によりトルコ軍で33名が死亡、トルコは報復として200か所以上を砲撃したと報じられている。2月28日にトルコのエルドアン大統領とシリア・アサド政権の後ろ盾であるロシアのプーチン大統領は電話会談を行ったが、事態の収束はまだ見えない。

【4か月サイクル及び40週サイクルにおける底割れ】

トルコリラ円は1月6日の安値を割り込んだために、概ね4か月前後の底打ちサイクルにおいて新たな弱気サイクルに入ったと思われる。このサイクルの底値は2018年8月以降で2019年1月3日、2019年5月9日、2019年8月26日、2020年1月6日とほぼ4か月周期でつけており、直近の底である1月6日安値を基準とすれば次の底形成期は5月序盤を前後する時期と想定される。
2019年5月以降は2019年8月26日のフラッシュ・クラッシュによる一時的急落を除けば18円割れを切り返してきたのだが、2月の下落により2019年5月安値を割り込んだため、これまでのレンジ相場から転落している。4か月サイクルにおける次の底形成期までの下落期間を踏まえれば2018年8月のトルコ通貨危機による急落でつけた安値15.52円等まで下値目処が切り下がっている可能性も考えられる。

週足チャートでは概ね40週前後(8か月から10か月)の周期での底打ちサイクルが見られる。2014年1月27日底以降におけるこのサイクルの底打ちは38週目の2014年10月16日底、50週目の2015年9月24日底、40週目の2016年6月24日底、43週目の2017年4月14日底、34週目の2017年11月28日底、38週目の「2018年8月13日底、39週目の2019年5月9日底であるが、2020年1月6日安値は2019年5月底から36週目であり、このサイクルの直近の底だとすれば、既に底割れにより新たな40週サイクルの底形成期となる2020年10月から2021年1月にかけての間へと下落期がさらに長期化する可能性も考えられる。

仮に新型コロナウイルスの感染拡大問題がWHOによるパンデミック宣言(現在はパンデミックの可能性が高いという直前情勢)から一段と世界景気が冷え込めば、新興国への投資マネーが逆流=引き上げられてトルコ株安とリラ安が深刻化してゆくケース、20218年8月のような通貨危機的な状況の発生等も警戒しておく必要があるかもしれない。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

シリアとトルコの軍事衝突動向、世界連鎖株安及び新興国通貨安情勢を注視してゆく。金融市場全般のボラティリティーが上昇しているため、トルコリラ円の変動率も大きいと考え、中間的に大きなリバウンドも入りやすいものの短期的な反騰後に再び急落して一段安入りするような展開にも備える。
(1)当初、17.50円を上値抵抗とし、下回るうちは一段安警戒とみて17円を割り込む場合は16円、さらに2018年8月底15.52円を目指し、先行きは底割れへ進む可能性もあると考える。
(2)17.50円を超える反騰発生の場合は17.75円から18円手前への反発とその後の反落を警戒する。感染拡大問題やシリア情勢での劇的な好転があれば反騰も継続的となる可能性もあるが、劇的な好転が見られない場合は短期的なリバウンドの範囲として戻り一巡からの反落警戒とし、その後に17.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月02日
 16:00 2月イスタンブール製造業PMI (1月 51.3)
3月03日
 16:00 2月消費者物価 前年比 (1月 12.15%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 1.35%)
 16:00 2月生産者物価 前年比 (1月 8.84%)
 16:00 2月生産者物価 前月比 (1月 1.84%)
3月10日
 16:00 12月失業率 (11月 13.3%)
3月11日
 16:00 1月経常収支 (12月 -28億ドル)
3月13日
 16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
 16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
 16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る