トルコリラ週報:『シリアを巡る地政学的リスクと実質金利のマイナス化がリラの重石』(2/29朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。

トルコリラ週報:『シリアを巡る地政学的リスクと実質金利のマイナス化がリラの重石』(2/29朝)

シリアを巡る地政学的リスクと実質金利のマイナス化がリラの重石

今週のレビュー(2/24−2/28)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.29円で寄り付いた後、早々に高値18.31円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発したグローバルなリスク回避ムードや、A上記@を受けた株安→新興国通貨売り→円買いの波及経路、Bシリアを巡る地政学的リスクの高まり(シリア北西部イドリブ県を巡る警戒感)、C先週の利下げを受けた実質金利のマイナス深化(投資妙味の後退)が重石となり、週末にかけて、2018年9月13日以来、約1年5ヶ月ぶり安値となる17.24円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6時50分現在)では、17.35円近辺で推移しております。

来週の見通し(3/2−3/6)

トルコリラの対円相場は、2/20に記録した約1ヶ月ぶり高値18.44円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1年5ヶ月ぶり安値17.24円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転や、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象づけるチャート形状となっております。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを通じた実質金利のマイナス化(※政策金利の引き下げとインフレ率の上昇を受けてトルコの実質金利は大きくマイナス転)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、D中東(シリア北西部イドリブ県)を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F新型コロナウィルスに端を発したグローバルなリスク回避ムード(株安・新興国通貨売り)など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。トルコ中銀による6会合連続利下げ(※直近6会合で計13.25%もの利下げ幅)を受けて、実質金利(名目金利-インフレ率)はマイナスに転じており、機関投資家による投資妙味の減退を通じた「トルコ離れ(トルコSell)」が続いております。来週は、トルコ経済指標(2月製造業PMI、2月消費者物価指数)や、新型コロナウィルスに絡む続報、シリア北西部イドリブを巡るヘッドライン、プーチン露大統領との会談を睨みながらも、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):16.95ー17.65

シリアを巡る地政学的リスクと実質金利のマイナス化がリラの重石

トルコリラ円日足

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