トルコリラ円見通し 18円を割り込んでさらに続落、株安リラ安連動(20/2/28)

27日夜に26日未明安値を割り込んで一段安に入り、28日朝には17.57円まで大幅続落した。

トルコリラ円見通し 18円を割り込んでさらに続落、株安リラ安連動(20/2/28)

【概況】

トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日にイラン情勢緊迫でつけた安値17.94円を割り込んだ。その後は下げ渋っていたものの27日夜に26日未明安値を割り込んで一段安に入り、28日朝には17.57円まで大幅続落した。
世界的な連鎖株安が続いており、2月27日はNYダウが1190.95ドル安の大幅続落となり、1日の下げ幅としては2018年2月の1175ドル安を超えて過去最大となった。世界連鎖株安のなかでトルコのイスタンブール100株価指数も2月27日は前日比4.13%安の暴落商状となった。またドル/トルコリラも新興国通貨・資源輸出国通貨の下落基調のなかで2月24日から27日まで4連騰=ドル高リラ安となっている。

ドル円は2月20日深夜高値112.21円からの下落が続き28日朝には109円台序盤まで一段安している。
新型コロナウイルス感染拡大に対して、先週までは欧米市場もやや楽観的なスタンスを維持していたが、イタリアやイランへの拡大、米国での拡大懸念も強まる中でパンデミック不安が一段と増しており、投機的なポジションの整理売りが連鎖的に発生している。
トルコリラ円としてはドル高リラ安進行とクロス円での円高、株安による売り圧力が強まる中で下落基調が強まっている。さらにシリア・トルコの軍事緊張も拡大していることでリラが売られやすい状況もある。

【4か月サイクルの底割れによる下落感強まる】

トルコリラ円は1月6日の安値を割り込んだために、概ね4か月前後の底打ちサイクルにおいて新たな弱気サイクルに入っていると考えられる。このサイクルの底値は2018年8月以降で2019年1月3日、2019年5月9日、2019年8月26日、2020年1月6日とほぼ4か月周期でつけており、直近の底である1月6日安値を基準とすれば次の底形成期は5月序盤を前後する時期と想定される。
また2019年5月以降は2019年8月26日のフラッシュ・クラッシュによる一時的急落を除けば18円割れを切り返してきたため、18円弱から19円前後までのレンジ相場での推移であったが、1月6日安値を割り込んでさらに続落していることと、4か月サイクルにおける次の底形成期までの下落期間を踏まえると、18円割れを切り返してきたレンジ相場からの転落により、2019年8月26日のフラッシュ・クラッシュ時の安値16.82円を目指す可能性が考えられる。仮に2019年8月安値を割り込む場合は2018年8月のトルコ通貨危機による急落でつけた安値15.52円等へ下値目処が切り下がる可能性も出始めるかもしれない。

【世界連鎖株安とシリア情勢の緊迫】

NYダウの急落角度は2018年12月暴落時を超えて2008年のリーマンショック時にも近い印象となりつつある。リーマンショックはBRICs高度成長をエンジンとしたバブル景気が弾けたもので、米連銀を中心とした世界的な金融緩和と資金供給により恐慌化を回避し、逆に金融緩和による新たなバブル景気をもたらした。しかし今回は感染拡大による世界的な経済活動停滞を主因とした下落のため、感染拡大が落ち着かないことには金融政策的なてこ入れでは出直れない可能性もある。
大規模なリスク回避相場のなかでは、投機性の強い市場が手仕舞い売りに崩され、また売りのターゲットとされやすくなるものだが、トルコリラにとってはシリアとトルコの軍事衝突問題という独自の懸念材料も重石となってくる。

2月27日にシリア・アサド軍はシリアのイドリブ県に駐留しているトルコ軍を空爆してトルコ軍に29名の死者が出ている。エルドアン大統領は2月末までにシリアが軍事行動を止めなければ全面戦争も辞さない姿勢を示してきたが、27日の攻撃後に緊急治安会議を開催してアサド政権への報復を決定した模様だ。
シリアのアサド政権軍はロシアと共闘しており、最近ではロシア軍によるトルコ軍制圧地域への空爆も見られているため、ロシアも巻き込んだシリア・トルコの全面戦争化も懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月20日夜高値をサイクルトップとして下落してきたが、2月18日夕安値から4日目となる24日深夜安値でいったんサイクルボトムをつけ、25日夕刻高値からの反落で24日深夜安値を割り込んで新たな弱気サイクルに入った。このため27日朝時点では新たなボトム形成期は27日深夜から3月2日深夜にかけての間と想定されるのでさらに一段安が警戒されるとした。2月27日午前に一段安しているため、引き続きボトム形成中とみる。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化が続いている。遅行スパン好転のためには安値更新がストップする必要があり、安値更新が続く内は遅行スパンの悪化も続いてゆく。先行スパンからも大きく転落した状況が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転からは先行スパン下限試しへの反騰を想定するが、本格的な反騰入りには両スパン揃っての好転が必要と思われる。

60分足の相対力指数は2月27日深夜の反発でも50ポイントに届かずに20ポイント前後へ一段安している。相場が安値を更新するところで指数のボトムが切り上がる強気逆行はまだ見られないので一段安警戒とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.50円を下値支持線、17.75円を上値抵抗線とする。
(2)17.75円以下での推移中は一段安警戒とみる。17.50円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、17.50円割れをスルーして続落の場合は17.30円前後まで下値目処を引き下げる。また先行きの17円割れも警戒してゆく。
(3)17.75円を超える場合はリバウンドとして17.85円前後までの反騰を想定するが、17.80円以上は反落注意としてその後の17.65円割れからは下げ再開とみる。
※トルコリラ円の本格的な反騰入りにはドル円での円安、株暴落の連鎖がストップして反騰入りするようなリスク回避感の緩みが必要であり、リスク回避感が深刻化する場合は暴落商状が発生する可能性や、流動性の低い時間帯でのフラッシュ・クラッシュの発生も懸念される。

【当面の主な経済指標等の予定】

2月28日
 16:00 10-12月期GDP (前期 0.9%)
 16:00 1月貿易収支 (12月 -43.3億ドル)

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