【概況】
トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日にイラン情勢緊迫でつけた安値17.94円を割り込んだ。その後は新たな安値更新を回避しているものの18円台を回復できずにいる。
2月20日夜にかけてのトルコリラ円の上昇は欧米株高によるリスク回避感の緩みとドル円が110円台序盤の壁を突破して急伸したことを背景としていたが、2月21日からNYダウが下落に転じて24日から25日にかけての2日間で1900ドルを超える大幅下落となったことでドル円も円高へ急旋回し、ドル/トルコリラでのドル高リラ安も進行したためにトルコリラ円にはクロス円での円高とドル高リラ安の両面で売り圧力がかかった状況となった。
【4か月サイクルの底割れ】
2月26日未明安値の後は下げ一服ではあるが、1月6日の安値を割り込んだことにより、概ね4か月前後の底打ちサイクルにおいては底割れによる新たな弱気サイクル入りとなっている。このサイクルの底値は2018年8月以降、2019年1月3日、2019年5月9日、2019年8月26日、2020年1月6日とつけてきた。次の底形成期は5月序盤を前後する時期と想定されるが、2019年5月以降は2019年8月26日のフラッシュ・クラッシュによる一時的急落を除けば18円前後を下値支持線としてきたが、2月26日未明への下落により1月6日安値を割り込んで日が浅いことと4か月サイクルにおける残りの下落期間を踏まえると18円割れを切り返してきたこれまでの下値支持線を割り込んでもう一段階下の水準へ向かってゆく可能性が高まりつつあると思われる。
【新興国通貨・株安】
ドル/トルコリラはリスク回避感が強まる中で2月24日から26日まで3日間上昇=ドル高リラ安となり、26日は高値で6.1638リラをつけてこの間の高値を更新している。
2月26日はNYダウが前日比123.77ドル安と続落したが24日の1031.61ドル安や25日の879.44ドル安の様な暴落商状がやや減速していること、取引序盤には前日までの暴落に対する反動で400ドル超の反発も入った。このためイスタンブール100株価指数も24日と25日続落していたが26日はこの間の安値を更新したものの終値では前日比0.71%高と下げ渋った。しかし1月22日高値を当面の天井とした下落基調の範囲にあり、新興国株安が続く場合はイスタンブール100指数もさらに安値を試して行く流れと思われる。
新興国市場への売り圧力は強まっている。ブラジルのボベスパ指数は26日に前日比7.0%安となりブラジルレアルは対ドルでの最安値を更新した。またアルゼンチン株価も一時6.6%安まで急落し、アルゼンチンペソも対ドルで史上最安値を更新している。
資源国通貨の代表である豪ドルも対米ドルでの下落が続いており、2月26日も続落して2011年7月天井以来の安値を更新してリーマンショック時の安値水準に迫っている。
【感染拡大問題とシリア情勢】
新型コロナウイルス感染拡大問題では、国境を接するイランでの感染拡大によりトルコはイランとの国境を封鎖している。トルコでの感染者はまだ報告されていないものの、イスラエル、レバノン、イラク、パキスタン、ルーマニア、ギリシャと感染エリアは拡大している。イタリアの感染者数は400人となり死者も12人に増え、イランの死者も19人へ増加している。内戦状態のあるシリアでの感染状況は見えてこないが、国境を超えて感染がトルコ領内にも波及する懸念は日々強まっているのではないかと思われる。
2月3日からシリアのアサド軍とトルコ軍が軍事衝突を繰り返し、停戦合意が事実上破たんしている。シリアの後ろ盾であるロシアとトルコはこの問題解決への協議を何度が行っているが結果は出ていない。
トルコのエルドアン大統領は2月26日に、シリアのアサド大統領との交渉再開を提案したトルコ野党勢力の呼びかけを拒否した。エルドアン大統領はシリア軍がイドリブ県での攻撃を停止して2月末までにトルコの停戦監視所エリアから撤退するようにアサド大統領へ圧力をかけることをロシアのプーチン大統領に要請したと述べた。しかしロシアがこの要請に応える可能性は低いようだ。エルドアン大統領はシリア軍が2月末までに撤退しなかった場合は軍事行動に踏み切るとしている。引き続きシリア・トルコ情勢については注視しておく必要がある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月20日夜高値をサイクルトップとして下落してきたが、2月18日夕安値から4日目となる24日深夜安値でいったんサイクルボトムをつけ、25日夕刻高値からの反落で24日深夜安値を割り込んで新たな弱気サイクルに入った。新たなボトム形成期は27日深夜から3月2日深夜にかけての間と想定されるが、26日未明安値の後も横ばい程度の下げ渋りのためまだ一段安警戒とみる。
60分足の一目均衡表では2月26日未明安値の後は下げ渋りの横這いとなっているので遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンから大きく転落した状況のままとなっている。18円台を回復できない内は一段安余地ありとし、26日未明安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月26日未明安値以降の持ち合いにより40ポイント台を中心とした横ばいに止まっている。50ポイント超えから急伸できない内は一段安警戒とし、35ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月26日未明安値17.83円を下値支持線、18.00円を上値抵抗線とする。
(2)18円以下での推移中は一段安警戒とし、26日未明安値更新からは17.70円前後への下落を想定する。17.70円以下は反発注意とするが、1月6日安値を割り込んで一段安しているので、先行きは17.50円以下を目指すと考える。
(3)18円超えの場合は18.05円前後試しとするがその後の反落注意とみる。リスク回避感が大きく改善するような株高が発生しないと若干戻しても戻り売りにつかまりやすい状況はまだ続くのではないかと思われる。
【当面の主な経済指標等の予定】
2月27日
16:00 2月経済信頼感指数 (1月 97.1)
2月28日
16:00 10-12月期GDP (前期 0.9%)
16:00 1月貿易収支 (12月 -43.3億ドル)
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