ドル円見通し 110円割れを買い戻されるが戻りは鈍い(20/2/27)

2日間続いた暴落商状が減速したことでドル円は110円割れを買い戻された状況を維持している。

ドル円見通し 110円割れを買い戻されるが戻りは鈍い(20/2/27)

【概況】

ドル円は2月19日に1月17日高値を超えて110円台序盤にあった抵抗帯を突破し、20日深夜高値112.21円まで続伸したが、21日からは新型コロナウイルス感染拡大によるリスク回避感からNYダウが下落に転じて24日から25日にかけての2日間の1900ドル以上の大幅下落となる中で25日未明に110.32円、26日未明に109.89円まで下落してきた。26日もNYダウは続落、世界連鎖株安が継続しているものの、2日間続いた暴落商状が減速したことでドル円は110円割れを買い戻された状況を維持している。

【パンデミック懸念続く、暴落中のダウは持ち直しきれず】

先週までは新型コロナウイルス感染拡大問題に対する欧米市場の認識は自らへの影響を限定的とみて楽観的な推移を続けてきた。しかしイランやイタリアへの感染拡大や、2月25日には米疾病対策センター(CDC)が米国民に対して新型コロナウイルス流行に備えるよう警告したことから世界的な感染爆発=パンデミックへの懸念が拡大したとして欧米株は急落に転じた。
2月26日にも米食品医薬品局(FDA)高官がパンデミック(世界的な大流行)に向かいつつあると述べ、27日朝時点ではイタリアでの感染者は400人、死者は12人に増えた。フランスの死者は2人、スイス、ルーマニア、ギリシャでも初の感染が確認されており欧州全域での感染が広まりつつある。
イランの死者は19人に増加、南米でも初の感染報告があった。米国内の感染者も6人増えて累計60人となったが、NY州では8人が検疫、83人が監視対象とされているとの報告もあった。米国で大流行しているインフルエンザ感染者にも新型コロナウイルスの感染者がいるのではないかとの懸念も強まっている。

NYダウは26日に123.77ドル安と続落した。一時は前日までの暴落に対する反動で400ドルを超える反発も見られたが終盤はマイナスに転じた。米10年債利回りは一時1.30%まで低下して前日に続いて過去最低を更新、終値は前日比では0.02%低下の1.34%で終了している。南米株の暴落的な下げも懸念材料となった。ブラジルのボベスパ指数は前日比7.0%安、アルゼンチン株価も一時6.6%安まで急落している。
米商務省が発表した1月の新築一戸建て住宅販売件数は、季節調整済みで前月比7.9%増の76万4000戸(年換算)となり市場予想の3.5%増を上回った。前年同月比は18.6%増だった。新型コロナウイルス感染拡大による影響は今後拡大してゆくため、現状の経済指標に対する市場の反応は限定的だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月20日深夜高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしてきた。ボトム形成期を21日夜から25日夜にかけての間と想定していたため、26日朝時点では25日未明安値を直近のサイクルボトムとし、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしていると仮定した。しかし、26日未明安値から26日深夜へ戻したため、直近のサイクルボトムを26日未明安値と改める。新たな底割れ回避の内は27日深夜にかけての間への上昇余地ありとするが、既に反落警戒期にあるので、27日未明安値110.18円割れからは弱気転換注意とし、26日未明安値109.89円割れからは新たな弱気サイクル入りとして29日未明から3月4日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日深夜への上昇で遅行スパンが好転したが再び悪化しやすい位置にある。また先行スパン下限が抵抗となっている。このため27日未明安値割れ回避の内は26日深夜高値超えから戻りを試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、27日未明安値割れを伴う遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月25日未明安値から26日未明安値への一段安において指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せたが、60ポイントに届かずに上げ渋りに止まりそうな印象だ。60ポイントを超えれば上昇に勢いも付きやすいが、35ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月27日未明安値110.18円、次いで26日未明安値109.89円を下値支持線、26日深夜高値110.69円を上値抵抗線とみる。
(2)110.18円を上回る内は上昇余地ありとし、26日深夜高値超えの場合は110.75円から111.00円にかけてのゾーンを試すとみるが、その後に110.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)27日未明安値110.18円割れを弱気転換注意として26日未明安値試しとし、底割れからは109円台前半への下落を想定する。109.25円以下は反発注意とするが、26日未明安値割れの後も110円以下での推移が続く場合は28日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/27(木)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 102.8、予想 101.5)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感・確定値 (速報 -6.6) 

22:30 (米) 10-12月期 GDP改定値 前期比年率 (前回 2.1%、予想 2.2%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費改定値 前期比 (前回 1.8%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE改定値 前期比 (前回 1.3%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 2.4%、予想 -1.5%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件) 
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.6万人)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -4.9%、予想 2.0%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 6.8%)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、イベントに参加[メキシコ市]
29:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、会合で挨拶

2/28(金)
08:30 (日) 1月 失業率 (12月 2.2%)
08:30 (日) 1月 有効求人倍率 (12月 1.57)
08:30 (日) 2月 東京都区部消費者物価指数 生鮮食料品除く 前年同月比 (1月 0.7%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産・速報値 前月比 (12月 1.2%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (12月 -3.1%)
08:50 (日) 1月 小売業販売額 前年同月比 (12月 -2.6%)
09:01 (英) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -9)
14:00 (日) 1月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (12月 -7.9%)
16:00 (ト) 1月 貿易収支 (12月 -43.3億ドル)
16:00 (ト) 10-12月期 GDP 前年比 (前期 0.9%)
17:55 (独) 2月 失業者数 前月比 (1月 -0.2万人)
17:55 (独) 2月 失業率 (1月 5.0%)

19:00 (欧) 2月 消費者物価指数速報値 前年同月比
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比
22:00 (独) 2月 消費者物価指数 速報値 前月比 (1月 -0.6%)
22:00 (独) 2月 消費者物価指数 速報値 前年同月比 (1月 1.7%)
22:30 (加) 10-12月期 GDP 前期比年率 (前期 1.3%)
22:30 (加) 12月 月次GDP 前年同月比 (11月 1.5%)

22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 個人消費 前月比 (12月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 1.6%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.2%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 1.6%)
23:15 ブラード・セントルイス連銀総裁、米経済と金融政策について講演
23:45 (米) 2月 シカゴ購買部協会景況指数 (1月 42.9、予想 46.0)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報値 (速報 100.9)

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