【概況】
トルコリラ円は2月25日未明安値で17.83円まで下落して1月6日にイラン情勢緊迫でつけた安値17.94円を割り込んだ。その後はやや戻しているものの1月6日安値を割り込むところまで下落したことにより、1月17日高値を戻り天井とした下落基調がさらに続きやすい状況になってきたと懸念される。
新型コロナウイルスの感染拡大問題が中国や日本・韓国などアジアに止まらずにイラン、イタリア等での拡大が顕著となったことで、これまで楽観的な上昇基調を継続してきた欧米市場がリスク回避に転じ始めていたが、NYダウが24日に1031.61ドル安、さらに25日も879.44ドル安と大幅下落したことで世界連鎖株安の様相となり、リスク回避感の強まる中で投機的ポジションの圧縮により新興国通貨・資源通貨が全面安となっている。
2月25日に米疾病対策センター(CDC)のナンシー・メッソニエ国立予防接種・呼吸器疾患センター所長は「米国内での感染拡大が起きると予想している」「起きるか起きないかという問題ではなく、いつ起きるかの問題だ。必ず起きる」と述べたことで米国市場のリスク回避感も強まっている。
【株安+円高+リラ安】
ドル/トルコリラは新型コロナウイルス感染拡大問題とシリア・トルコの軍事緊張問題を背景にドル高リラ安が進んでおり、2月21日には6.1002リラをつけて2019年8月底以降の高値を更新し、24日も6.1604リラまで高値を更新した。25日は新たな高値更新へは進めなかったが終値ベースではこの間の高値を更新しており、徐々に2019年5月高値6.2539リラに迫ってきている。週足では先週まで6週連続の陽線だが、今週も7週連続での陽線気配となっている。
イスタンブール100株価指数もシリア情勢を背景に2月18日から下落に転じ、20日から25日にかけてはNYダウが大幅続落する中で24日に2.98%安となり、21日にいったん戻したものの24日に1.75%安、25日も0.37%安と続落している。
新型コロナウイルス感染拡大問題では、国境を接するイランでの感染拡大によりトルコはイランとの国境を封鎖している。トルコでの感染者はまだ報告されていないものの、イスラエル、レバノン等への感染拡大によりトルコでも感染者が出てくることが懸念される。
感染拡大問題によるトルコ経済への影響としては2月25日にジェトロが報告しているが、衣料品では中国製品の輸出減少によるトルコへの代替需要が見込まれることがプラスとされるものの、中国製造業の活動停滞による世界規模のサプライチェーン寸断でトルコの製造業にもマイナスの影響が出ることが懸念されている。
ドル円は2月19日から急激な円安となり、その時点では感染拡大問題による日本売りの懸念も発生していたが、21日からは株安の深刻化で円高へ進んでおり、トルコリラ円はドル/トルコリラにおけるドル高リラ安と、クロス円全般での円高の両面から圧迫され、トルコ株安とシリア情勢という独自要因でも圧迫感が強まるという状況にあるようだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月18日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして上昇したが、20日夜高値からの反落により21日午前時点では20日夜高値でサイクルトップを付けた可能性があるとし、24日朝の下落で弱気転換目安とした21日未明安値を割り込んで弱気サイクル入りした。2月18日夕安値から4日目となる24日深夜安値でいったんサイクルボトムをつけて戻したが、25日夕刻高値からの反落で24日深夜安値を割り込んでいるため、現状は底割れにより新たな弱気サイクルに入ったと思われる。新たなボトム形成期は27日深夜から3月2日深夜にかけての間と想定されるので、25日夕高値を超えない内は一段安警戒とみる。
60分足の一目均衡表では2月25日夕刻の反騰では遅行スパンが好転しきれずに反落しており、現状は遅行スパンが悪化中で先行スパンからの転落も継続している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、一時的に遅行スパンが好転しても再び悪化するところからは下げ再開と考える。強気転換には両スパン揃って好転する必要がありそうだ。
60分足の相対力指数は2月日深夜安値からの一段安では指数のボトムが切り上がっているもの40ポイント前後を抵抗とした横ばいに止まっているのでまだ一段安余地が残る。30ポイント割れからは20ポイント前後への低下を想定し、強気転換には50ポイント超えから続伸するような上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月26日未明安値17.83円を下値支持線、18.00円から18.05円までを上値抵抗線とする。
(2)18円以下での推移中は一段安警戒とし、安値更新からは17.70円前後への下落を想定する。17.70円以下は反発注意とするが、1月6日安値を割り込んで一段安しているので、先行きは17.50円以下を目指すと考える。
(3)18円超えの場合は18.05円前後試しとその後の反落注意とみる。リスク回避感が大きく改善するような株高が発生しないと若干戻しても戻り売りにつかまりやすい状況が続くのではないかと思われる。
【当面の主な経済指標等の予定】
2月26日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事録要旨公開
2月27日
16:00 2月経済信頼感指数 (1月 97.1)
2月28日
16:00 10-12月期GDP (前期 0.9%)
16:00 1月貿易収支 (12月 -43.3億ドル)
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