【概況】
ドル円は2月19日夜に2月12日高値110.13円、1月17日高値110.28円を超えて12月以降突破できなかった110円台序盤の抵抗帯を突破して持ち合い上放れとなり、20日深夜には112.21円まで急伸した。持ち合い上放れによるテクニカルな買いの連鎖反応がやや過剰な円安を演出した流れだが、新型コロナウイルス感染拡大もあって日本売り的な円安ではないかとの懸念も発生していた。
しかし、24日にNYダウが前日比1031.61ドル安の暴落となり世界連鎖株安感が強まると25日未明には110.32円まで急落して、株安発生時のリスク回避による円高という通常の反応に戻った。25日もNYダウは前日比879.44ドル安と大幅続落となり、世界連鎖株安が2周目に入ったことでドル円も2月26日未明には109.89円まで一段安した。26日朝は突っ込み警戒感からやや買い戻されて110円台を回復しているが、1月31日安値108.30円から2月20日高値112.21円までの上昇幅3.91円に対してその後の下落幅は2.32円となり、半値を超える下落となっている。
【欧米の楽観が崩れる】
新型コロナウイルスの感染拡大問題に対して欧米株式市場は自らへの影響は限定的とみて楽観的な上昇を続けてきたが、韓国や日本での感染拡大に加えてイタリアやイランでの感染拡大・死者発生により警戒感が強まった。米国で大流行しているインフルエンザについても新型コロナウイルスによる感染もあるのではないかと調査が始まっている。
2月25日には米疾病対策センター(CDC)が米国民に対して新型コロナウイルス流行に備えるよう注意喚起した。CDCのナンシー・メッソニエ国立予防接種・呼吸器疾患センター所長は25日の電話会見で「米国内でコミュニティーでの感染拡大が起きると予想している」「起きるか起きないかという問題ではなく、いつ起きるかの問題だ。必ず起きる」と述べた。これらCDCの警告は世界的なパンデミックと米国への影響を警告するものとしてNYダウ大幅続落の引き金となったようだ。
リスク回避感が強まる中で株安債券高となり、米10年債利回りは一時1.31%をつけてこれまでの史上最低だった2016年7月の1.321%を割り込んだ。
米連銀のクラリダ副議長は2月25日の講演で、新型コロナウイルスがもたらす米経済への影響について、米経済見通しに実質的な変化をもたらすかどうか考えるには時期尚早だとしたが、注意深く監視していると語った。市場では米連銀が予防的利下げを再開するのではないかとの見方も強まり始めている。
ドル円にとっては株安によるリスク回避感の強まりで投機ポジションの手仕舞い売り衝動が強まるために、クロス円での円買い戻しが円高を招き、米長期債利回りの低下による日米金利差縮小からも円買いドル売りが進む状況となっている。中国の感染爆発からアジアまでの感染拡大で日本への影響が目立つ状況に限定されれば、日本売りとしての円安ということもあり得るところだが、中東欧州への拡大により世界全体でのパンデミック懸念となれば、日本売り的な円安ではなく、本邦投資家によるクロス円手仕舞いでの円高、海外投資ポジションの換金売りによる円の買い戻しがドル円においても円高を招くということになるのではないか。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月18日夜安値をサイクルボトムとして上昇したが、20日深夜高値でサイクルトップをつけて弱気サイクル入りした。25日朝時点ではボトム形成期を21日夜から25日夜にかけての間と想定したが、25日未明安値から一旦戻して一段安となっているため、25日未明安値を直近のサイクルボトムとし、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしていると仮定する。新たなボトム形成期は28日未明から3月3日未明にかけての間と想定される。強気サイクル入りには25日午前高値を上抜く反騰が必要と考える。
60分足の一目均衡表では24日の急落により遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。新たな安値更新を回避して下げ渋りが続くと遅行スパンが一時的に好転する可能性もあるが、その後に再び悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。
60分足の相対力指数は2月25日未明安値から26日未明安値への一段安において指数のボトムが切り上がっているため強気逆行の気配となっている。このため50ポイントを超えてくるようだと反騰入りの可能性が高まるが、再び30ポイントを割り込む場合は強気逆行が崩れて新たな下落局面入りとなるため、20ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月26日未明安値109.89円を下値支持線、110.50円から110.75円を上値抵抗線とみる。
(2)110.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、109.89円割れからは109円台序盤への下落を想定する。109.25円以下は反発注意とするが、110円以下での推移が続く場合は27日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)110.50円から110.75円にかけては戻り売りも出やすいとみるが、110.75円を超える場合は25日午前高値111.04円試しを想定する。
【当面の主な予定】
2/26(水)
23:45 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 前月比 (12月 -0.4%、予想 3.5%)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (12月 69.4万件、予想 71.0万件)
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
2/27(木)
06:45 (NZ) 1月 貿易収支 (12月 5.47億NZドル、予想 -5.49億NZドル)
09:00 (NZ) 2月 NBNZ企業信頼感 (1月 -13.2)
09:30 (豪) 10-12月期 民間設備投資 前期比 (前期 -0.2%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 102.8、予想 101.5)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感・確定値 (速報 -6.6)
22:30 (米) 10-12月期 GDP改定値 前期比年率 (前回 2.1%、予想 2.2%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費改定値 前期比 (前回 1.8%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE改定値 前期比 (前回 1.3%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 2.4%、予想 -1.5%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.6万人)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -4.9%、予想 2.0%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 6.8%)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、イベントに参加[メキシコ市]
29:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、会合で挨拶
オーダー/ポジション状況
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