期待外れの予算発表を受けてムーディーズによる格下げリスクが一段と高まる
今週のレビュー(2/24−2/28)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.45円で寄り付いた後、早々に高値7.46円まで上昇しました。しかし、@新型コロナウィルスの感染拡大を背景にグローバルにリスク警戒ムードが強まると(株安→新興国通貨売り・円買い)、A中国経済の下振れ懸念を受けた南アフリカ経済の先行き不透明感(※南アフリカは中国と経済的な結びつきが強い)、B注目されたムボウェニ南ア財務相の予算発表における失望感(更なる債務増加を示唆→ムーディーズによる格下げリスクの高まり)等が重石となり、週末にかけては、昨年8/26以来、約半年ぶり安値となる6.82円まで急落しました。引けにかけて持ち直するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間6時20分現在)では、6.90円近辺で推移しております。
来週の見通し(3/2−3/6)
南アフリカランド円相場は、先週金曜日(2/21)に記録した約1ヶ月ぶり高値7.48円をトップに反落に転じると、今週末(2/28)にかけて、約半年ぶり安値6.82円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的にみて、地合いの弱さを印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ経済を巡る先行き不透明感(IMFやムーディーズは南アフリカ経済見通しを大幅に下方修正。また新型コロナウィルスに端を発した中国経済の減速懸念も対中依存度の高い南アフリカに下押し圧力を加える恐れあり)や、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題(度重なる計画停電→南アフリカ経済減速への連想)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、Cムーディーズによる格下げリスク(今週発表された予算発表が失望を誘う内容となったことから、ムーディーズは3/27に格下げに踏み切る可能性あり。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされる可能性も。但し、ムボウェニ南ア財務相は予算発表の際に「ムーディーズが格下げするとは思わない」と発言)、D中東を巡る地政学的リスクなど、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。ムーディーズによる格下げリスクや、経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念が燻る中で、南アランドの上値余地は乏しく、来週は、新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、南アフリカ経済指標(第4四半期GDPなど)を睨みながらも、南アフリカランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.50ー7.00
南アフリカランド円日足
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