トルコリラ円見通し 金融市場全般の持ち直しで3月2日朝安値から戻す(20/3/3)

3月2日夕刻に17.49円まで反発、夜に17.16円までいったん反落したものの新たな安値更新を回避して3日早朝には17.57円まで戻り高値を切り上げている。

トルコリラ円見通し 金融市場全般の持ち直しで3月2日朝安値から戻す(20/3/3)

トルコリラ円見通し 金融市場全般の持ち直しで3月2日朝安値から戻す

トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日にイラン情勢緊迫でつけた安値17.94円を割り込み、2月21日から28日まで6日間連続の日足陰線となり、29日未明には17.20円まで安値を切り下げた。週明けの3月2日朝も17.08円まで続落して開始したが、中国株やダウ先物の反騰により先週後半に総崩れしていた金融市場全般が持ち直しに入り、トルコリラ円も3月2日夕刻に17.49円まで反発、夜に17.16円までいったん反落したものの新たな安値更新を回避して3日早朝には17.57円まで戻り高値を切り上げている。

週明けは中国の景気対策、G7の協調利下げへの期待から株式市場が反騰に転じたため、新興国通貨をはじめ先週末に大幅下落していたものが総じて買い戻された。大幅下落していたドル円は3月2日朝に107.25円まで下げてからは108円台前半へ戻した。

トルコのイスタンブール100株価指数は世界連鎖株安のなかで2月18日から崩れ、2月27日は前日比4.13%安、28日に同4.01%安と大幅下落したが、3月2日は1.24%高と反発した。しかし直前の大幅下落に対する戻りはまだ小さい。

3月2日に発表された2月のイスタンブール製造業PMIは52.40となり1月の51.30から上昇、市場予想の51.50を上回った。感染拡大やシリア情勢による景況感の悪化はまだ限定的というところか。
ドル/トルコリラは2月18日から3連騰=ドル高リラ安となり、2月28日への6連騰で6.2605リラの高値を付けて2019年8月以降の高値を更新し、2019年5月天井の6.2539リラを上抜いたが、3月2日はリスク回避感が緩んで1.26%安と下落した。

【感染拡大での金融市場混乱とシリア情勢】

新型コロナウイルスの感染拡大が欧米へ広がる中、世界各国の中央銀行が協調利下げに踏み切るとの期待が強まって3月2日は世界的に株式市場は盛り返した。NYダウは3月2日に先週末比1293.96ドル高と急騰して1日の上昇幅としては過去最大となり、2月27日に前日比1190.95ドル安と1日の下げ幅として過去最大の下落となった流れにブレーキがかかった。市場は感染拡大による景気悪化への予防的な金融緩和政策・財政出動を期待しているのだが、果たして資産バブルが崩壊した後の対策として有効だった金融緩和が自然災害でもある感染拡大問題の解決策になるのかは疑問符も付く。ひとまず暴落一服でも再び悲観が強まれば先週と同様に世界的な連鎖株安を発生しかねず、その時には投機性の高く投資マネーの逆流を引き起こしやすい新興国や資源輸出国の通貨・株式が売られやすくなる。まだリーマンショックの再来不安を抱える危機的な状況が快方へ向かい始めたと判断するには時期尚早だろう。

G7の財務相・中央銀行総裁は3月3日午後(日本時間夜)に緊急の電話会議を行うと表明しているので、結果次第では金融市場全般が楽観的反応を示す可能性もあるが、期待を裏切る場合は失望売りを誘いかねない。感染対策同様に景気対策も後手後手に回ると事態収束への時間もかかる。

トルコでの感染者報告はまだないが、イタリアは感染者2036人、死者52人、イランが感染者1501人、死者66人と目立っており、ドイツ、フランス、スペインへの拡大、中東でもクウェート、バーレーン、イラク、イスラエル等へと拡大している。

トルコにおいては2月3日以降のシリア・アサド政権軍とトルコ軍の軍事衝突が全面戦争化へ徐々に深刻化していることによるリスク回避感も強まっているが、3月1日も両軍による攻撃がエスカレートしており、トルコ軍はドローンによる空爆や砲撃を繰り返し、シリア駐留のロシア軍への攻撃もなされたと報じられている。

2月28日にトルコのエルドアン大統領とシリア・アサド政権の後ろ盾であるロシアのプーチン大統領は電話会談を行い、その後も両国の協議は持たれているようだが事態の収束はまだ見えない。
シリアからの難民がトルコ領域へ大量に流入している問題で、トルコ政府は国境を開放して国内の難民を欧州に流入させると表明した。ギリシャ北東部の国境地帯にはトルコ側からの難民が越境を目指して集結している。

シリア等の難民は2015年に欧州へ押し寄せ、その数は100万人以上に膨れ上がり、難民流入が欧州各国で深刻な問題となり、難民への対応で政権が揺らぐ状況も発生した。2016年6月のイギリス国民投票がEU離脱賛成となったことも難民問題が大きな要因になったといわれている。

2016年以降はEUとトルコが協定を結んでトルコが難民を引き留めてEUがトルコへ経済援助を行うことで合意してきた。この協定が事実上反故となれば欧州での難民問題が再びクローズアップしかねない。シリアとトルコの軍事衝突、トルコとロシアの関係悪化、中東への感染拡大問題とともに今後は欧州の難民問題再燃により、欧州中東の政治外交リスクも錯綜して危機感が強まる可能性があると注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月24日夜安値を割り込んで底割れによる弱気サイクルに入って下落してきたが、3月2日朝安値からの反発が続いているため、3月2日朝安値を直近のサイクルボトムとしてリバウンドに入っていると思われる。今回のトップ形成期は2月25日午後高値を基準として3月3日午後にかけての間と想定されるので既に反落警戒期にあるが、トップ形成期が延長入りする可能性もあるので、17.25円以上での推移中は上昇余地ありとし、17.25円割れからは弱気転換注意とし、3月2日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして5日朝から9日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパン上限に来ている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は28日から3月2日朝にかけての間への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて上昇しているので、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れを弱気転換注意、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.25円を下値支持線、3月3日早朝高値17.57円を上値抵抗線とみておく。
(2)17.25円以上での推移中は上昇余地ありとし、17.57円超えからは17.75円、さらに17.90円を目指す可能性があるとみる。17.75円以上は反落警戒とし、その後の17.50円割れからは下げ再開の可能性が高まるとみるが、17.50円以上での推移が続く場合は3月4日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)17.25円割れからは下げ再開を警戒して3月2日朝安値試しとし、底割れからは16.50円前後への下落を想定する。16.75円以下は反騰注意とするが、17.25円以下での推移が続く場合は4日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月03日
16:00 2月消費者物価 前年比 (1月 12.15%)
16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 1.35%)
16:00 2月生産者物価 前年比 (1月 8.84%)
16:00 2月生産者物価 前月比 (1月 1.84%)
3月10日
16:00 12月失業率 (11月 13.3%)
3月11日
16:00 1月経常収支 (12月 -28億ドル)
3月13日
16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)

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