ドル円見通し 2月20日深夜高値から5円近い下落、週明けは下げ一服も勢い付かず(20/3/3)

NYダウの反騰が続いたもののドル円は伸び悩み、2日深夜には107.40円まで下げるなど108円を挟んだ下げ渋り程度の持ち合いにとどまっている。

ドル円見通し 2月20日深夜高値から5円近い下落、週明けは下げ一服も勢い付かず(20/3/3)

ドル円見通し 2月20日深夜高値から5円近い下落、週明けは下げ一服も勢い付かず

【概況】

新型コロナウイルスの感染拡大問題を背景とした世界連鎖株安が深刻化する中でドル円は2月20日深夜高値112.21円から下落に転じ、2月28日深夜には108円を割り込み、週明け3月2日朝には107.25円まで続落となり、この間の下げ幅は4.96円に拡大した。しかし週明けは中国の景気対策、G7の協調利下げへの期待から株式市場が反騰に転じ、週末に大幅下落していたものが総じて買い戻しの動きとなってドル円も2日夕刻には108.57円まで戻した。しかしその後もNYダウの反騰が続いたもののドル円は伸び悩み、2日深夜には107.40円まで下げるなど108円を挟んだ下げ渋り程度の持ち合いにとどまっている。

【感染拡大不安の暴落一服から景気対策期待で揺れ返す】

新型コロナウイルスの感染拡大が続いて欧米へ広がる中、世界各国の中央銀行が協調利下げに踏み切るとの期待が強まっており、NYダウは2日に先週末比1293.96ドル高と急騰した。1日の上昇幅としては過去最大となった。NYダウは2月27日に前日比1190.95ドル安と1日の下げ幅としては過去最大の下落となり、7営業日の続落で先週は週間で3583.05ドル安となり過去最大の下落規模となっていたのだが、週明けは暴落一服となって揺れ返しの動きとなった。

G7の財務相・中央銀行総裁は3月3日午後(日本時間夜)に緊急の電話会議を行うと表明した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機の封じ込めへ向けた緊急共同声明の発表も予想される。米国は今年のG7議長国だがG7協調による金融緩和や財政出動等の共同声明を出す方向で検討に入ったと報道されている。トランプ大統領は米連銀への利下げやドイツの財政出動等を求める発言を3月2日も繰り返している。

中国の景気対策期待で上海総合株価指数は前日比3.15%高と大幅上昇した。重慶市や河北省などの7省・直轄市がインフラ投資を柱とした景気刺激策の大枠を公表しており、向こう数年の総額で25兆元、今年だけで3兆5000億元規模の景気対策となる見込みで、リーマンショック時の景気対策での4兆元を上回る期待も出ているようだ。

株式市場が暴落一服で落ち着きを見せているものの、感染拡大は続いており、WHOは2日時点ではまだパンデミックを宣言しないが、十分な根拠があればパンデミック宣言をためらわないとした。
中国の感染拡大ペースは公式発表では大幅に鈍化し、湖北省以外では封じ込めが成功している印象があるものの感染者は8万人を超え、死者も2900人を超えている。
中国以外の感染者拡大は続いており、韓国は感染者4335人、死者26人、イタリアは感染者2036人、死者52人、イランが感染者1501人、死者66人と目立っている。
米疾病対策センター(CDC)は2日にこれまでの感染者が91人へ増加したと発表、報道では死者は3人増えて5人となっている。

先週末にかけては感染拡大による景気後退、金融市場総崩れへの不安感が増長したが、週明けは一服となっている。世界連鎖株安に歯止めがかかればリスク回避感が緩んで株高同調でドル円も戻したいところだが、G7による協調的な利下げ・金融緩和・財政出動等で株高反応となっても、金利面ではドル円に対してはかえって上値を重くする側面もある。また2月19日から20日にかけては抵抗線突破のテクニカル要因も加わったために円安が加速する場面も見られたが、その後の急落が20日への上昇に対する倍返しの下落規模となったために、揺れ返しの反騰入りに対する慎重な市場心理もうかがえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日朝安値を割り込んで底割れによる弱気サイクル入りとなっていたが、3月2日朝安値からの反発により直近のサイクルボトムを付けたと思われる。26日深夜高値を基準として今回のトップ形成期は2日から4日深夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にある。このため、3月2日朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、2日朝安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして5日朝から9日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月2日朝からの下げ渋り持ち合いにより遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパン下限が上値抵抗となっている。先行スパン突破へ進めば揺れ返しの上昇継続感が強まるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを突破できないうちは一段安警戒とし、3月2日朝安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は週末の下落場面で20ポイントを割り込んだがその後は持ち直している。60ポイントを超えてくれば上昇に勢いがつきやすいが、60ポイント前後が抵抗となるうちは反落注意とし、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円を下値支持線、108.80円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、3月2日夕高値108.57円超えからはまず108.80円試しを想定する.108.80円手前から失速するうちは下落再開警戒感が残るが、108.80円を超える場合は反騰感が強まるために109.20円から109.50円にかけてのゾーンを試して行くと想定する。109.20円以上は反落注意とするが、108円以上での推移なら3月4日も高値を試しやすいとみる。
(3)107.50円割れからは3月2日早朝安値107.25円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして昨年10月3日安値106.50円試し、さらに2月最終週と同レベルの下落規模となる場合には昨年8月26日安値104.45円へ迫る可能性もあると考える。

【当面の主な発表予定】

3/3(火)
米大統領選スーパーチューズデー
12:30 (豪) 豪準備銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 39.1、予想 38.1)
15:45 (ス) 10-12月期 GDP 前期比 (前期 0.4%、予想 0.2%)
15:45 (ス) 10-12月期 GDP 前年同期比 (前期 1.1%、予想 1.3%)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.0%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 -0.7%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 7.4%、予想 7.4%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (1月 1.4%、予想 1.2%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (1月 1.1%、予想 1.2%)

3/4(水)
06:45 (NZ) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 9.9%)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前年同期比 (前期 1.7%、予想 2.0%)
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 51.8、予想 48.0)
17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 52.8、予想 52.8)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.2)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.6%、予想 0.6%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 1.3%、予想 1.1%)

22:15 (米) 2月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (1月 29.1万人、予想 17.0万人)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 49.4、予想 49.5)
23:45 (米) 2月 総合PMI改定値 (速報 49.6)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:00 (米) 2月 ISMサービス業景況指数 (1月 55.5、予想 55.5)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る