ランド円ショートコメント
まず、先週の振り返りですが、テクニカルに上下ともに限定的な動きとなってきたことから「7.35レベルをサポートに7.48レベルをレジスタンスとする週(中心レンジ)」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.31レベル、高値が7.63レベルと思った以上に動きが出たこと、しかもランドがかなり強い動きをした週となりました。
先週のランド円は、週明け月曜に電力会社エスコムが最大で6000メガワット分の計画停電を行うと発表、これは計画停電が始まった2008年以降で最大規模となることから、南ア経済への悪影響を懸念した売りが先行しました。前週末に7.43レベルだったランド円は、翌10日には7.31レベルの安値をつけましたが、その後FOMCを経てほぼ下げる前の水準までじり高。さらに木曜にはトランプ大統領の米中通商協議合意間近の発言に大幅上昇となりました。
南アにとって最大の貿易国である中国の対米通商交渉がとりあえず第1段階の決着を見そうなことからランドが対ドルで買われると同時にドル円はリスクオンで上昇と、ランド円はダブルで上昇の後押しを受け7.63まで上昇。その後、金曜は中国の懸念含みの合意とトランプ大統領弾劾訴追のヘッドラインにやや下押ししての引けとなりました。
これまで長い間の懸案事項だった米中通商協議はとりあえず合意署名が1月に見えたことで、いったん好材料から落ちる可能性が高い一方で、南ア国内の経済状況に対する懸念や来年の選挙戦に向けての米国内での民主党によるトランプ大統領への訴追など、どう見てもランド円にとっては悪材料のほうが多い状況です。しかも、徐々に年末に向けて取引が細ってくるでしょうから、基本はもみあいの中でやや上値が重たくなりやすいというのが冷静な見方かと思われます。
特に目立った材料がありませんので、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)を見てみましょう。
先週の値幅が大きかったこともあって、明らかに安値も高値も見てしまったというチャートです。現状はその半値7.47レベルをサポートにしつつも、61.8%押しの7.43がトランプ大統領発言前の水準と重なりますので、最大で同水準までの押しは考えられます。また上値に関しては先週の高値を当面のレジスタンスと見てよいでしょう。今週は7.43レベルをサポートに7.63レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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