米中合意成立でランド買い気運が高まるも、上値余地は限定的
今週のレビュー(12/9−12/13)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.43円で寄り付いた後、@エスコムによる計画停電や、A上記@を受けた南ア経済の悪化懸念を背景に、翌12/10に約3週間ぶり安値7.31円まで下落しました。しかし、A一目均衡表雲上限や、B8/26安値と10/8安値を結んだサポートラインに続落を阻まれると、その後は、C南ア・製造業生産高(結果2.7%、予想0.4%)の良好な結果や、D南ア・11月消費者物価指数(結果3.6%、前回3.7%)の小幅鈍化(インフレの落ち着きを好感)、E米中合意期待の高まり(南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気先行き懸念の後退)が支援材料となり、週末にかけては、8/1以来、約4ヶ月半ぶり高値7.63円まで上昇しました。もっとも、急激に上昇した反動から利食い売りに押されると、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間朝5時00現在)では7.53円前後で推移しております。
来週の見通し(12/16−12/20)
南アフリカランド円相場は週末にかけて急伸し、約4ヵ月半ぶり高値7.63円まで上昇しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、これまで何度も行く手を阻まれた200日移動平均線の突破にも成功しました。強い買いシグナルを表す三役好転も出現するなど、テクニカル的に見て「地合の強さ」が意識されます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカ経済を巡る先行き不安や、A国営電力会社エスコムの負債問題(=政府の財政悪化懸念→ムーディーズによる南ア国債の格下げリスク)、B米中貿易摩擦の再燃リスク(米中協議はこれまでも楽観と悲観で二転三転)、Cムーディーズによる来年3月審査での格下げリスク(=2020年2月に予定されている南ア・予算発表で財政健全化見通しが示されなかった場合、翌3月に格下げが行われる可能性大。格下げとなればWGBIからの除外を通じて、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクあり)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に見て「底堅さ」が意識されるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが「続伸」を阻むシナリオが想定されます(今週の急騰劇も米中合意期待や英国リスク後退といった外部要因主導であり南アフリカランド独自の好材料が出たわけでは無い)。ムーディーズによる格下げリスクなど、不安材料目白押しの中、南アフリカランド円相場の上値余地は乏しいと考えられます。来週は、米中に絡むヘッドラインや、中国の主要経済指標(鉱工業生産や小売売上高、固定資産投資など。※南アフリカの経済指標は予定されていない)を睨みながらも、やや伸び悩む展開をメインシナリオとして予想いたします。
南アランド円の予想レンジ ZARJPY 7.40ー7.70
南アフリカランド円日足
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安値が7.31レベル、高値が7.63レベルと思った以上に動きが出たこと、しかもランドがかなり強い動きをした週となりました。
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2019.12.09
ランド円レポート月曜版(2019年12月9日)
予想よりも若干狭く上値の重いレンジでの取引となった一週間でした。
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