リスクオン相場継続もリラの上値は重たい。下落リスクに要警戒
今週のレビュー(12/9−12/13)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.83円で寄り付いた後、重要イベントを前にした様子見姿勢から狭いレンジ内での横ばい推移が継続しました(12/11に週間安値18.66円を記録)。注目されたトルコ中銀・金融政策決定会合では、@前回に続いて大幅利下げ(結果▲200bp、予想▲150bp)が実施され、政策金利である1週間物レポレートは14.00%→12.00%まで引き下げられました(※7月の利下げ開始以降、4会合連続。計1200bpの大幅利下げ)。但し、A声明文で積極的な緩和サイクルの終了を仄めかす文言修正(従来までの「現在の金融政策スタンスは大部分で予測されたディスインフレの経路と一致している」との表現から「大部分で(to a large part)」の部分が削除)が見られたことから、市場ではこれが利下げサイクルの打ち止めとみなされ、リラ売りでの反応は一時的なものに留まりました(予想を上回るサプライズ利下げを受けたリラ売り圧力と、追加利下げ観測の後退を受けたリラ買い圧力が拮抗した形)。
週後半にかけては、米中合意成立や英与党圧勝といった外部要因に下支えされ、トルコリラ円は一時12/3以来となる19.01円まで急伸する場面も見られました。しかし、12/3に記録した直近高値19.02円を前に伸び悩むと、週末海外時間にかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間朝5時00分現在)では18.81円付近で推移しております。
来週の見通し(12/16−12/20)
今週のトルコリラ円相場は週後半にかけて一時19.01円まで上昇するも、直近高値19.02円に続伸を阻まれると、すぐに反落に転じました。この間、200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て「地合の悪さ」を印象付けるチャート形状となっております(米中合意成立や英与党勝利といったポジティブ材料があったにも関わらずトルコリラ円は19円台すら維持できず)。また、ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(市場やエルドアン大統領による利下げ圧力)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dシリアを巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入を巡る対米および対NATO同盟国との関係悪化懸念など、潜在的な不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が警戒されます。状況次第では、12/12に記録した「大陽線」の早期・全値戻しの可能性も視野に入ります。12/16に発表されるトルコ・9月雇用統計や、12/20のトルコ・12月消費者信頼感指数を睨みながらも、来週はトルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 18.55ー19.05
トルコリラ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2019.12.16
トルコリラ円見通し 10月末からの持ち合い下放れにいったんブレーキ(19/12/16)
12月14日未明には18.73円まで失速、その後に18.80円超えまでやや戻したが急落商状を解消できずに週を終えた。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2019.12.13
トルコリラ円見通し 米中第一段階原則合意報道で急反騰(19/12/13)
ドル円の下落に押されて12日朝には10日夕刻安値と同値まで下落したが、さらに重要イベントも続くとして新たな安値更新を回避して下げ渋りを続けた。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。