トルコリラ円見通し 10月末からの持ち合い下放れにいったんブレーキ(19/12/16)

12月14日未明には18.73円まで失速、その後に18.80円超えまでやや戻したが急落商状を解消できずに週を終えた。

トルコリラ円見通し 10月末からの持ち合い下放れにいったんブレーキ(19/12/16)

【概況】

トルコリラ円は12月6日の米雇用統計後の下落で12月3日安値を割り込み一段安となり、10月後半からの持ち合い相場の下限だった11月15日未明安値18.77円も割り込んで持ち合い下放れに入り、12月10日には18.64円まで安値を切り下げた。しかしその後は米連銀のFOMC、トルコ中銀の政策金利発表、ECB理事会、英国総選挙、トランプ政権の通商協議合意へ向けた大詰めの状況を見定めたいとして18.70円を挟んでの下げ渋り小持ち合いとなっていた。

12月12日未明の米FOMCは市場予想通りに政策金利を据え置き当面は利上げしない姿勢を示したことでドル高円安となり12月12日朝には10日夕刻安値と同値まで下落したが新たな安値更新を回避した。12月12日20時にトルコ中銀は政策金利を従来の14.0%から12.0%へと大幅に引き下げ、過去3会合連続での利下げでも市場の事前予想を上回る利下げ率だったが、今回も予想を超えた。発表後は多少の乱高下もあったが米連銀が利下げ状態を当面維持する姿勢を事前に示していたため市場反応は限定的だった。

12月12日夜、トランプ大統領が米中通商協議の第1段階合意を承認したと報じられ、リスクオン全開となってドルストレートではドル安が進んだため、ドル/トルコリラも12日深夜にかけてはドル安リラ高で推移したが、それとともにクロス円全般が円への安全資産買い後退として円安となったため、トルコリラ円は12月10日夕刻からの安値圏持ち合いから上放れとなり13日未明には18.91円まで上昇、英国総選挙での与党保守党大勝によりリスクオンがさらに進んだために13日夕刻には18.95円まで戻した。

この段階では10月後半からの持ち合い相場からの転落がいったん仕切り直しとなり、元の持ち合いレンジに回帰した状況にあった。12月13日夜に米中合意内容は、事前報道程でもなく既発の関税引き下げは限定的なものにとどまり、第2段階の協議も難しくなりそうだという印象となった。そのためにリスクオンで上昇していたユーロやポンド、豪ドル等が下落してドルストレートでのドル高感が強まり、ドル/トルコリラもドル高リラ安となり、ドル円も反落したために12月14日未明には18.73円まで失速、その後に18.80円超えまでやや戻したが急落商状を解消できずに週を終えた。

12月13日16時発表のトルコの10月鉱工業生産は前月比0.9%低下となり9月の3.4%上昇から悪化した。前年同月比は3.8%上昇となり9月の3.6%上昇から連続でプラスを維持した。市場の反応は限定的だった。

【10月後半からの持ち合い下放れには続くか】

【10月後半からの持ち合い下放れには続くか】

トルコリラ円は12月2日からの下落が進んで10月以降の持ち合いを下放れ、日足のボリンジャーバンドは収縮から膨張へと転じ始めてさらに下落が加速してゆきやすい状況に入っていたが、12月13日への反騰により一段安継続にはいったんブレーキがかかった。しかし13日夕刻への上昇では19円台には届かずに深夜に反落したために、週明けへ続落の場合は持ち合い下放れによる下落も再開しやすくなるとみる。
トルコリラ円は概ね4か月周期の高値・安値形成サイクルで推移している。ここ1年の安値は昨年8月13日暴落安値とのダブルボトムとなった8月30日、今年1月3日、5月9日、8月26日とつけてきた。高値は昨年11月29日高値の後は3月27日、7月31日とつけてきたが、今回の持ち合い下放れにより10月30日と12月2日の両高値によるダブルトップでサイクルのピークを付けたと思われる。

8月26日の前回ボトムを基準とすれば、持ち合い下放れにいったんブレーキを掛けた12月10日安値でやや短めのボトムを付けた可能性もあるが、平均的には12月末からやや長引けば年明けにかけてもう一段安する可能性が残る。このため19円台回復へ進む場合は4か月サイクルのボトムをつけて持ち合い下放れによる下落をキャンセルして上昇期に入る可能性も多少あると思われるが、19円に乗せきれないで12月10日安値を割り込む場合はボトム形成の継続、持ち合い下放れの継続、いったん切り返しかけての底割れによる失望売りでの急落型の下落に入る可能性もある。
トルコリラを巡る独自材料的には大きな動きを発生させる情勢の緊張感は乏しいため、新興国通貨動向及びクロス円動向全般を見ながらリスクオン優勢なら上昇再開へ、リスクオンが進まずに失速し始める場合は下落再開へ向かうと考えておく必要がある。また下落感が強まる場合は市場規模の小さいところや時間帯ではフラッシュクラッシュ型での急落商状に陥る可能性も抱えていると注意したい。

【当面のポイント】

(1)当初、12月14日未明安値18.73円を下値支持線、18.85円を上値抵抗線とみる。
(2)18.85円を下回るうちは13日夕高値で戻り一巡となって下落再開に入っている可能性を優先し、14日未明安値割れからは12月10日安値18.64円試しを想定する。18.65円以下は反発注意とするが、18.64円割れから続落の場合は10月末からの持ち合い下放れによる下落続行として下げが加速しやすいと注意し、18.50円前後への下落、さらに先行きで18.30円前後を目指す流れを想定する。
(3)18.85円超えから続伸の場合はまず12月13日夕高値18.95円試しを想定する。高値更新できずに18.80円割れするところからは下げ再開とみるが、18.95円超えからは19円試しを想定する。19円手前では反落警戒とするが、18.85円を超えた後も18.80円以上での推移なら戻りを試す流れが継続しやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月16日
 16:00 9月失業率 (8月 14.0%)
 16:00 10月小売売上高 前月比 (9月 0.6%)
 16:00 10月小売売上高 前年比 (9月 2.7%)
12月20日
 16:00 12月消費者信頼感指数 (11月 59.9)
 19:30 11月自動車生産 前年比 (10月 0.7%)
 23:30 トルコ中央政府債務残 (10月 126.1億トルコリラ) 
12月26日
 16:00 12月景況感 (11月 102.00)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 77.2%)
12月30日
 16:00 12月経済信頼感 (11月 91.3)
12月31日
 16:00 11月貿易収支(10月 -18.1億ドル)

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