リスクはドル高だが、上値も重そう(週報12月3週)

先週のドル/円は、ドルが急反落。5月23日以来の110円台回復が期待されたものの結局上値トライに失敗、むしろ週末にかけてはドル売りが進む格好となった。

リスクはドル高だが、上値も重そう(週報12月3週)

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先週のドル/円は、ドルが小高い。一時109.71円まで値を上げ、2日に記録した月間高値に面合わせする局面も観測されていた。

前週末には、米NEC委員長から「米中合意は署名の用意ができていない」との発言が聞かれたうえ、北朝鮮国連大使による「非核化の問題は米朝協議から外された」といった指摘などが観測されるなか、週明けの為替市場は寄り付いた。

前述した発言やニュースの影響が懸念されたものの、ドル/円は前週末のNYクローズと大差ない108.55-60円でオープン。週末の影響は見られないまま、しばらくは108円台での揉み合いをたどるも、週末にかけて一転大荒れに。109円のレンジ上限を超えると週間高値となる109.71円を示現し、週末NYはやや小緩んだ109.30-35円で取引を終え越週している。

それとは別にポンドも荒れ模様。12日に実施された「英総選挙で与党保守党が過半数獲得見込み」と報じられたことを好感し、対円では短時間で4円近い急騰をたどる局面も。結局、英与党は過半数獲得どころか圧勝。定数650のうち実に365議席を占める歴史的な大勝だった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「米中通商協議」について。
前者は、注目のFOMCにおいて、大方の予想通り「現行目標水準での金利据え置き」かつ「現行の金融政策スタンスは適切」と発表されたものの、その後のパウエルFRB議長の記者会見で「利上げの必要性は少ない」とのコメントが聞かれたほか、参加者の「政策金利見通し(ドットチャート)」では来年いっぱいの金利据え置きが示され、FRBは利上げを急がないとの見方が改めて強まり、ドルの弱材料に。

それに対して後者は、前週末こそ先で指摘した米NEC委員長のような、やや悲観的な発言が聞かれたものの、その後は逆に楽観的なコメント一辺倒。たとえば、トランプ米大統領「対中交渉はうまくいっている」、米農務長官「対中関税が発動されると思わない」−−といった発言が観測されていた。週末にかけてはブルームバーグが「米中貿易交渉が原則合意、現地時間12日午後に正式発表も」と報道。また、米中が実際に「大筋合意」したとの後追い報道もでたことで、15日が期限とされていた「対中関税発動」も延期される見通しとなり、一気に米株高、ドル高が進展している。

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二転三転どころか、五転も六転もした「米中通商協議」だが、先週末に「第1段階合意」ということで一応の決着をみた。為替市場では、これが好感され一時109.71円、月間高値に面合わせするなどドル高の進行が観測されている。今週もそうした流れを継ぎ、基本的なリスクはドル高方向にバイアスが掛かるものの、ブルームバーグが「トランプ氏自賛の中国農産物購入目標に疑義」と指摘、米NEC委員長も「中国が合意条件不履行なら関税措置を講じる」と改めて述べるなど、この週末には早くも合意への懸念の声が聞かれ始めていた。そうでなくとも、米の野党・民主党は、今週にも本会議でトランプ氏の弾劾訴追決議案の採決を行う方針だ。場合によっては、ドルの上値追いよりも調整の動きが先行する可能性も否定出来ない。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など気になる継続案件が少なくない。そのいずれも要注意だが、とくにとなると依然として火種のくすぶる「米中情勢」と、「トランプ氏弾劾に向けた動き」。さらに、「北朝鮮情勢」や「日韓関係」への関心も高い。今週あたりから欧米勢にはチラホラとクリスマス休暇入りする向きもあり、売買が薄くなるなか、逆に「薄商い=乱高下」を警戒する声も聞かれる。

テクニカルに見た場合、先週は月間高値に面合わせするも抜けられず。110円トライも不発に終わった。
ただリスクとすれば、引き続きドル高方向で、先週越えられなかった月間高値109.73円をめぐる攻防にまずは注目。しっかりと超えれば、いよいよ心理抵抗の110円がターゲットに。さらには年初来高値112.40円を起点とした大きな下げ幅のフィボナッチ76.4%戻しに当たる110円半ばなどが意識されそうだ。

材料的に見た場合、12月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀指数、7-9月期のGDP確定値といった重要な米経済指標の発表が相次ぐ。前記したように、先週のFOMCなどを受け、「FRBは利上げを急がない」との見方が改めて強まっただけに、それを補強するような指標内容となるのか否かを注視している向きも多いようだ。
また、24日の日韓首脳会談に向けて、両国局長らが事前に会談を行う予定とされ、その進展度合いに対する関心も高い。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.30-110.10円。ドル高・円安については、今月に2度ドルの抵抗となった109.70-75円をめぐる攻防にまずは注視。しっかり超えれば、心理抵抗の110円超えを試す展開も。
対するドル安・円高方向は、先週上抜けてきた、それまでのレンジ上限にあたる109円レベルが最初のサポートか。ただ、仮に割り込んでも月間のドル安値圏である108.40-45円では取りあえず底堅そうなイメージ。

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