来週の為替相場見通し 『米中、英国を巡る2大リスク要因が後退。来週はリスクオンが継続か』(12/14朝)

今週のドル円相場は、週初108.68で寄り付いた後、早々に安値108.42まで下落しました。

来週の為替相場見通し 『米中、英国を巡る2大リスク要因が後退。来週はリスクオンが継続か』(12/14朝)

米中、英国を巡る2大リスク要因が後退。来週はリスクオンが継続か

今週のレビュー(12/9−12/13)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初108.68で寄り付いた後、早々に安値108.42まで下落しました。しかし、直近安値108.28(11/21)や一目均衡表雲上限(108.24)を前に下げ渋ると、@米WSJ社よる「米中が追加関税の延期を協議している」との報道や、A米下院が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の採決に踏み切るとのヘッドラインが支援材料となり、週央にかけて持ち直す展開となりました。

注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利の据え置き(1.50%ー1.75%、7 月から3会合連続で実施されてきた利下げが打ち止め)、ドットプロット(スタッフ予測)での「2020年の金利変更なし」「2021年及び2022年に1回ずつの利上げ」示唆、声明文における「不確実性が残る」との文言削除が実施されました。当面の様子見姿勢が強調されたことで、直後はドル買いが先行しました。しかし、BパウエルFRB議長が記者会見で「利上げの必要性は1990年台より低い」「利上げには著しく持続性のあるインフレ加速が必要」とややハト派的な見解を示すと反落し、12/12日本時間朝方には、一時108.47まで下げ幅を広げる場面も見られました(※但し、週初に記録した安値108.42には到達できず)。

週後半にかけては、Cトランプ米大統領による「中国と大きな取引の合意が近づいている(Getting VERY close to a BIG DEAL with China)」とのツイートや、D米WSJ紙による「約3600億ドル相当の中国製品に対する現行関税を最大50%引き下げ、また12/15に予定していた対中制裁関税も発動見送りを提案」との報道、E一部メディアによる「米中が貿易協議で原則合意し、トランプ米大統領の署名待ち」とのヘッドライン、F英総選挙の世論調査結果で「与党保守党・圧勝」と報じられたこと、G上記材料を受けてリスク選好の「円売り・米株高・米長期金利上昇」が重なったこと等が支援材料となり、ドル円は週末にかけて、12/2以来となる高値109.71まで急伸しました。もっとも、その後は、米中報道が二転三転する中、ドル円は利食いに押され、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では109.31近辺まで値を落としております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1056で寄り付いた後、早々に安値1.1052まで下落しました。しかし、ボリンジャーミッドバンドや90日移動平均線に続落を阻まれると、その後は、@ドイツ・12月ZEW景況感調査(結果10.7、予想0.0)が市場予想を大幅に上回ったことや、A米FOMC後のパウエル議長・記者会見で「ハト派的な見解」が示されたこと(利上げへのハードルの高さを示唆→ドル売り)、BECB(欧州中央銀行)理事会後のラガルド総裁・記者会見で、「景気の下方リスクが軽減したという事実に幾分勇気付けられる」「リスクは依然下サイドだがあまり深刻では無い」とやや楽観的な見方が示されたこと(市場では「ややタカ派寄り=ハト派的では無い」と受け止められ、ECBによる追加緩和観測後退→ユーロ買い)、

C英総選挙の世論調査結果で「与党保守党・圧勝」と報じられたこと(英ポンドの急伸に連れてユーロドルも上昇)などが支援材料となり、12/13朝方には、約4ヶ月ぶり高値1.1200まで急伸しました。もっとも、短時間で上げ過ぎた反動から利食い売りに押されると、週末海外時間にかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では1.1118付近で推移しております。

来週の見通し(12/16−12/20)

<ドル円相場>
ドル円は週後半にかけて急伸し、一時109.71まで上昇しました。この間、200日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、一目均衡表転換線など主要チャートポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを表す三役好転も実現するなど、テクニカル的にみて「地合の強さ」が意識されるチャート形状となりつつあります(週末にかけて反落するも下がったところでは押し目買い勢力が待ち構えており下値は堅い)。来週は12/2高値109.73や、5/30高値109.94、心理的節目110.00を試す動きとなりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク(米下院司法委員会は12/13、トランプ大統領弾劾訴追案を賛成多数で可決)、B米国ファンダメンタルズの不冴な結果(米小売売上高など)、C世界的な貿易戦争波及リスクなど、ドル売り・円買いに繋がり得る悪材料がいくらか燻ってはいるものの、D米中対立激化と、E英合意なき離脱といった今年の2大リスク要因が揃って後退したことで、来週はひとまず楽観ムード(リスク選好地合い)が続くと考えらえます。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「更なる上昇」が期待されます。米経済指標や、米当局者発言、日銀金融政策決定会合、トランプ米大統領弾劾を巡るヘッドライン、米中や英国を巡る続報を睨みながらも、来週はやや底堅い動きが続くと予想いたします。

ドル円の予想レンジ:108.50ー110.50

<ユーロドル相場>
今週のユーロドルは、週後半にかけて急伸し、約4ヶ月ぶり高値1.1200まで上昇しました。この間、90日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線、一目均衡表転換線、200日移動平均線を突破するなど、テクニカル的に見て「地合の強さ」が確認されます(急激に上げた反動から週末にかけて反落するも、一目均衡表転換線がサポートとして機能)。

ファンダメンタルズ的に見ると、@欧米対立リスクの高まり(米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク)や、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不安、Bイタリアの財政悪化懸念など、ネガティブ材料が燻るものの、C英総選挙を巡る先行き不透明感や、DECBによる追加緩和観測が後退したことで、ひとまず、ユーロ買いに転じ易い地合いが出来つつあると判断できます(ドイツ経済に復調の兆しが見られることもユーロをサポート)。

以上の通り、ユーロドル相場はテクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「続伸リスク」が期待されます。欧州当局者発言(デギンドスECB副総裁講演、レーンECB専務理事講演、ラガルドECB総裁講演、クーレECB専務理事講演など)や、欧州経済指標(ドイツIfo指数など)、英国を巡る続報を睨みながらも、ユーロドルの上昇をメインシナリオとして予想いたします。

ユーロドルの予想レンジ:1.1050−1.1250

米中、英国を巡る2大リスク要因が後退。来週はリスクオンが継続か

ドル円日足

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